2024年6月22日 土曜日

 前回の日記の続きです。

 前回書いた企画展「内藤コレクション」展の前に国立西洋美術館 常設展に行きました。

 

 国立西洋美術館 公式

 

 

 ロダン「地獄の門」

 

 館内に入ります。

 常設展で最初に目に入るのはこの作品。

 

 

 「聖ミカエルと竜」

 聖ミカエルはキリスト教だけでなく、ユダヤ教、イスラム教においても重要な天使の一人。

 一時は日本の守護天使だったこともありますが、今は聖フランシスコ・ザビエル師に代わっています。

 

 

 カルロ・クリヴェッリ 「聖アウグスティヌス」

 「告白」「神の国」で知られる神学者です。

 手に持っている重そうな本は「告白」?

 それとも「神の国」?

 あるいは聖書?

 

聖ルチア伝の画家 「聖ヒエロニムス」

聖書をラテン語に訳した事で知られる神学者。

私が聖ヒエロニムスを知ったのは1993年に来日したヴァティカン美術館にあるレオナルド・ダ・ヴィンチの「荒野の聖ヒエロニムス」でした。

レオナルドが途中で制作を放棄した未完成作品でしたが、衝撃的でした。

 

 

 ルカス・クラーナハ(父)「ゲッセマネの祈り」

 ここにはクラーナハのような西洋絵画の巨匠の作品もあるのです。

 ゲッセマネの祈りはイエスが逮捕される前に神様に祈った場面。

 ゲッセマネの祈りをテーマにした作品は他にもあります。

 

 

 こちらはジョルジョ・ヴァザーリの「ゲッセマネの祈り」。

 クラーナハもヴァザーリも構図は良く似ています。

 ヴァザーリは「ルネサンス画人伝」で有名な最初の美術史家と言われる人でもあります。

 

 

 

 16世紀エミリア派 「ヴィーナスとキュービット」

 この絵はあまり記憶がありませんでした。

 

 

 ドメニコ・プリーゴ 「アレクサンドリアの聖カタリナを装う婦人の肖像」

 この作品もあまり見た事はなかったです。

 でもこの絵は良いです。

 フィレンツェで1492~1527年生きた人。

 背景の窓から見える風景が何だかルネサンス風だな、と思ったらそう言う事だったのですね。

 

 アレクサンドリアの聖カタリナ様と言えば、この作品もあります。

 

 パオロ・ヴェロネーゼ 聖カタリナの神秘の結婚

 ちなみに私は長い間このカタリナ様をシエナの聖カタリナ様と思ってました(^^;

 あはは。

 すみません、あまり聖人様の事は良く知らないのです。

 …と言ったらカトリックの信仰を持った人に怒られそうだな(^^;

 すみません、石投げないで(^^;

 

 以下、コメントは適当に付けておきます。

 

 

 

 

 アンドレア・デル・サルト 「聖母子」

 アンドレア・デル・サルトはなぜか夏目漱石の作品によく出てきます。

 当時は有名だったのでしょう。

 

 アリ・シェフェール 「戦いの中、聖母の加護を願うギリシャの乙女たち」

 以前は近代の画家たちと一緒の部屋に展示されていた作品がどうしてここに、と思いました。

 恐らくはイコンのマリア様に祈りをささげる姿が今の場所の近くにある絵画と共通性があるからでしょう。

 

 

 

 ルカス・クラーナハ 「ホロフェルネスの首を持つユディト」

 旧約聖書続編 ユディト記の女性主人公の肖像画。

 このユディトが切り落としたホロフェルネスの首を持つ姿はこの作品と通ずるものがあります。

 

 

 ティツィアーノ・ ヴェチェッリオと工房  「洗礼者聖ヨハネの首を持つサロメ」

 

 この作品と先ほどのユディトを描いた作品と構図が似ています。

 そのためこの作品は一時ユディトと間違えられていたそうです。

 その事がその動画で説明されています。

 


 

 

ルドヴィーコ・カラッチ 「ダリウスの家族」

かつて松方コレクションに入っていましたが、残念ながら債務の方に売り立てさせられた作品。

諸事情で旧松方コレクションとして他の松方コレクションと一緒に展示されています。

 

 

 

 

カルロ・ドルチ 「悲しみの聖母」

人気あるらしく、カメラを向ける人が多かったです。

 

 

 

 スペインのバロック派画家、スルバランの「聖ドミニクス」

 ドミニコ修道会の祖です。

 中世最大の神学者トマス・アクィナスはドミニコ会出身。

 

 

エル・グレコ「十字架のキリスト」

西美にはエル・グレコもあるのですよ(^-^)

 

 

アンソニー・ヴァン・ダイク 「レガネース侯爵ディエゴ・フェリーペ・デ・グスマン」

私の好きな作品の一つ。

この堂々とした体躯の男性の肖像画。

ヴァン・ダイクらしいです。

そう言えばヴァン・ダイクと言えば…。

 

 

 別の部屋にある 「ターベット、スコットランド」と言うダイナミックな風景画。

 この作品の作者名は…

 「アンソニー・ヴァンダイク・コプリー・フィールディング 」でした。

 名前を見た瞬間、「え!アンソニー・ヴァン・ダイクがこういう風景画描いたの!」と驚いたのですが、別人でした(^^;

 こんな偉そうな名前を付けたのは誰なのでしょう。

 親?

 それとも「俺はアンソニー・ヴァン・ダイクみたいな偉大な画家になるのだ!」と言う本人の思い込みから本人が付けた…のでしょうか。

 だとしたら面白い(^-^)

 

 

 

 

 この作品は長い間撮影不可だったのですが、最近撮影可になりました。

 「ヨハネス・フェルメールに帰属する」「聖プラクセディス」

 2000年大阪市立美術館で開催された伝説的な「フェルメールとその時代」にもフェルメール作として出店されていました。

 ただ、「帰属」とあるように真のフェルメール作である可能性は低いようです。

 以前ソーシャルメディアのある美術家ファンのグループでとんでもない裏話を聞いたこともあります。

 詳しいことは怖くて言えません。

 と言うよりも忘れました。

 

 

 

 クロード・ロラン「踊るサテュロスとニンフのいる風景」

 ロランは好きです。

 

 

これ、フラゴナールの作品だったのですね。

「丘を下る羊の群」です。

すっかり忘れてました(^^;

 

 

 

 

 

 

「廃墟のロベール」ことユベール・ロベール

「モンテ・カヴァッロの巨像と聖堂の見える空想のローマ景観」

「マルクス・アウレリウス騎馬像、トラヤヌス記念柱、神殿の見える空想のローマ景観」

 ロベールも好きな画家の一人です。

 

 

 

ウィリアム・アドルフ・ブーグロー 「純潔」

ブーグローは19世紀フランスのアカデミズム派の画家。

印象派と同時代で当時はむしろアカデミズム派の方が人気がありました。

その後印象派の擡頭でアカデミズム派は嫌われてしまいましたが、最近見直しが進んでいます。

確かにこの作品は大衆受けしそうです。

明らかに聖母子としか思えない母子がイエス様の象徴と言うべき子羊を抱いていて、カトリックの信徒が大半だったフランス国民には受けそうな画題です。

 

 

 

 

 

 

 ここからはモネルーム。

 

 

 

 

 

 

 

 ミニ企画展です。

 

 

 

 

 

 

 最近人気の出ているデンマークの画家ハンマースホイの作品。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ピカソの作品です。

 

 

 こちらもピカソ。

 キュビズム時代です。

 しかし何でピカソはこの頃このような作品を描いたのでしょうか。

 キュビズム時代のピカソの迷作、じゃなかった(^^;名作「アヴィニヨンの娘たち」についてこのような文章を書いた方がいらっしゃいます。

 先週、先々週にEテレ「日曜美術館」で放映されました。

 

 「…西欧の長い美術の歴史においても、これほどまでに官能的魅力に乏しい、さらに言えば醜い裸婦像が描かれたことはかつてなかったと言ってよい。」

 

 日本の優れた美術史家高階秀爾先生の「名画を見る眼Ⅱ」からの引用です(^^;

 遊ぶな(^^;

 う~ん、でもキュビズム時代のピカソはどうも納得できないです…。

 

 

 

 常設展の鑑賞時間は1時間半ぐらいでした。

 12時40分ごろ見終わりました。

 早速その後前回書いた「内藤コレクション」展に向かいました。

 

 なお、今回はいつもと異なり、常設展を先に見ましたが、そのためか企画展の「内藤コレクション」を見る時あまり疲れを感じることなく見る事が出来ました。

 常設展もじっくり見る事が出来ました。

 今後は常設展を先に見てから特別展を見た方がエネルギーを温存できて良いのかもしれません。

 もっとも「内藤コレクション」展は分量が少なかったのであまり疲れなかった可能性もあります。

 次回の特別展で常設展を先に見て特別展に行く、と言う形を試みても良いのかもしれません。

 

 最後になりましたが、国立西洋美術館の松方コレクション、そしてオールドマスターのコレクションは大変充実しています。

 この常設展を見る事でルネサンス以降の西洋絵画の歴史を辿る事が出来るのです。

 このような美術館は日本では他にないと思います。

 皆さんもぜひ一度、常設展「だけ」を見るために国立西洋美術館を訪れて見る事をお勧めします。