2024年6月16日 日曜日。

 夜8時からNHK Eテレ 日曜美術館「美を見つめ、美を届ける(2)名画を見る眼 高階秀爾」の再放送を見ました。

 

 美を見つめ、美を届ける(2)名画を見る眼 高階秀爾 NHK 日曜美術館公式

 

 恐らく近いうちに見逃し配信すると思います。

 

 この本を元に制作されたようです。

 

 

 1969年に初版が出され、昨年カラー版化された「名画を見る眼 Ⅰ・Ⅱ」

 帯にある通り、82万部も売れているそうです。

 私は旧版を20代の時に購入し、昨年カラー版をすぐに買いました。

 この本を超える西洋美術史の入門書はいまだに出ていないのではないかと思います。

 

 高階先生は若い頃、5年間フランスに留学され、留学中に西欧のあちこちの美術館で名画を鑑賞。

 帰国後、国立西洋美術館で主任研究員をされ、西欧美術史の研究に勤しみ、最新の研究成果を世に問い続けつつ、この本を書かれたのでした。

 番組ではその辺りの事も話されていました。

 

 今回の番組を見て高階先生の表現力の豊かさに気付きました。

 例えばパブロ・ピカソ「アヴィニヨンの娘たち」の紹介。

 

 「…西欧の長い美術の歴史においても、これほどまでに官能的魅力に乏しい、さらに言えば醜い裸婦像が描かれたことはかつてなかったと言ってよい。」

 

 …これ誉め言葉ですか?

 それともほめ殺しですか?(^^;

 天下のピカソの絵をここまで辛辣に、しかし素直に表現してみせる高階先生の筆力。

 今まで気づきませんでした。

 

 他にもエドゥアール・マネ「オランピア」では

 「…今にも崩れ去ろうとする壮麗な建築を最後の一点で辛うじて支えているような緊張感と不安感とがある。」

 すごい。

 言葉の魔術を見るようです。

 これを読んだアーティストの方の発言も中々でした。

 

 私も高階先生のように展覧会評、あるいは書評を見事な筆致で書いてみたいのですが、無理そうです(^^;

 高階先生、どうしたら貴方のような素晴らしい文章が書けるのでしょうか?

 イエス様にお祈りしようかな?

 でもイエス様はそう言うツマラナイ祈りは聞いてくださらないな(^^;

 「貴方はもっと人のためになるような祈りは出来ないのかね!」

 …すみません、イエス様m(__)m

 まだまだ精進が足りません。

 

 以前この本は小田原のKさんが主催する読書会で紹介した事がありますが、このブログでは紹介していませんでした。

 せっかくなのでこの機会に読書メーターの書評を貼っておきます。

 

 「 旧版を持っているが、カラー版が出たので購入して読んでみた。この本はカラー版になったことによりようやくその真価を発揮したと言える。旧版の白黒印刷ではせっかくの高階さんの優れた解説と言えども作品と照らし合わせて読む魅力が半減、いや大幅に減少していたことが良く分かるのだ。本文の変更はしてないそうだが、それで正解。高階さんの解説が元々大変すばらしいものであるからだ。それにしても出版以来53年間も文章の魅力が衰えず、今回のカラー版によって一層の魅力を増す文章を書いた高階さんは本当にすごいとしか言いようがない。」

 

「 高階秀爾先生の名著のパートⅡのカラー版。Ⅱはモネからモンドリアンまでを扱う。ルネサンス以降写実主義をを目指し続けた西欧絵画が印象派が写実主義を追求するあまり色彩分割に走り、それが写実主義からの離反、表現主義への志向をもたらしたことが分かる。近代と言う時代は何もかも合理主義に基づいて作られなければならない、と言う規範を持った時代だが、合理主義を突き詰めた結果非合理主義的なものが再び頭をもたげだした、と言う事が絵画においてもそうだった、と言う事であろう 。」

 

 美術ファンも、そうでない人も、高階秀爾先生の名著「名画を見る眼Ⅰ・Ⅱ」を読もう!