2024年5月1日 水曜日

 今日から5月ですね。

 そして今日はメーデー。

 

 「メーデーは、英語で書くと“May Day”。ヨーロッパでは「夏の訪れを祝う日」として古くから祝日とされてきましたが、始まりは1886年の5月1日、アメリカのシカゴで、1日12~14時間勤務が当たり前だった労働環境の改善を求めて労働者がゼネラルストライキ(全国的な規模で行われる労働争議)を起こし、8時間労働の実現を要求したことに由来します。
 以降、労働者たちが集まり、権利を主張する日として、ヨーロッパをはじめ各地に広がったのがメーデーです。今では5月1日を「労働者の祭典」として祝日とする国も多く、世界中で労働者たちのイベントやデモ行進などが行われています。」

 日本最大のナショナルセンター、連合の公式より引用しました。

 

 もっとも連合も5月1日にメーデーを祝わないのは何だかなあ(^^;  

 

 さて、本題です。

 5月最初の日記は2024年4月に読んだ本。

 今月は14冊読みました。

 

 

4月の読書メーター
読んだ本の数:14
読んだページ数:4745
ナイス数:177

東方キリスト教の世界 (ちくま学芸文庫 モ-21-1)東方キリスト教の世界 (ちくま学芸文庫 モ-21-1)感想
東方キリスト教会、カトリックの私から言えばカトリック、プロテスタント派からなる西方キリスト教会以外の教会、と言う事になります。著者がスラブ学者なので、どうしても記述がギリシャ語を典礼語として用いる正教会(オーソドックス)中心になってしまうのはやむを得ないでしょう。とは言え入門書としてはとても良くまとまっている。イコン、そして東方典礼カトリックが成立した理由の記述はとても有難かった。教派は違っても同じクリスチャン仲間の東方キリスト教会について日本では分かりやすく簡単に手に入る入門書がまだまだ少ないのは残念。
読了日:04月07日 著者:森安 達也


ダンテ『神曲』講義 下 (河出文庫 ひ 15-2)ダンテ『神曲』講義 下 (河出文庫 ひ 15-2)感想
ダンテ「神曲」講義の下巻。地獄篇の解説が一番長いのはどうよ?といぶかる向きもあろうが、地獄篇が一番面白いのだから良いのでは。カトリックの私も天国篇はあまり面白くなかった。ダンテの鼻持ちならなさを批判する平川先生の言葉も適切。平川先生は斯様なダンテを持ち上げたがるキリスト教徒を批判しているのだが、平川先生に一言申し上げます。先生はキリスト教の一面しか見ておられません。ボッカッチョ的な寛容性もキリスト教は持っているのです。神様はダンテやボッカッチョが体現する人間の弱さをも愛しているのです(^-^)
読了日:04月07日 著者:平川 祐弘


イスラーム金融とは何か (小学館新書 466)イスラーム金融とは何か (小学館新書 466)感想
国民の多くがイスラーム教徒であるイスラーム諸国で最近増えているイスラーム金融についての入門書。イスラーム金融はクルアーンの利子を取ってはならない、と言う教えに反しないように設計された金融制度のこと。投機的な取引には融資しない、融資対象は「モノ」の取引に限る事が特徴である。そのため従来の金融制度よりもリスクが低く、持続可能であると言われる。イスラーム金融は本当にうまく制度設計がされていると思った。
読了日:04月08日 著者:


どろどろの聖人伝 (朝日新書)どろどろの聖人伝 (朝日新書)感想
清涼院流水さんの「どろどろ」シリーズ第三弾。今までの中では一番面白かった。私は受洗後20年になりますが、意外と聖人の生涯には詳しくなかったので著名な聖人の生涯を簡潔に知る事が出来て有難かった。アビラの聖テレサ、リジューの聖テレサ、ドン・ボスコ様などの近現代の聖人たちはこのような生涯を送られたのか。初期の聖人の記述で処刑が多い事に眉をひそめている方が多いですが、これは後世になって美化されているからでしょう。中国の皇帝たちがやたら美化されたり貶めたりされてるのとそれはど変わらないと思います。人間は弱いのです。
読了日:04月09日 著者:清涼院 流水


ベーシックサービス: 「貯蓄ゼロでも不安ゼロ」の社会 (小学館新書 470)ベーシックサービス: 「貯蓄ゼロでも不安ゼロ」の社会 (小学館新書 470)感想
三回お会いした事がある情熱溢れる財政社会学者井手英策さんの新著。単行本「どうせ社会は変えられないなんてだれが言った?」の新書化。新書化による文章の見直しで論旨はむしろ分かりやすくなっている。似た語感のある「ベーシックインカム」と井手さんの唱える「ベーシックサービス」との違い、どうして「ベーシックサービス」の方が優れているのかを説得力のある文章で語り、そのベーシックサービスを実現するための財源論についてもこれまた説得力のある言葉で語る。井手さん、またお会いして情熱ある貴方の語りを聞いてみたいものです。
読了日:04月12日 著者:井手 英策


統計学入門 (ちくま学芸文庫)統計学入門 (ちくま学芸文庫)感想
4年ぶりに再読した。前回よりは理解できたと思う。それでも統計独特の概念、クロス表、回帰分析、計量モデルなどは難しい。13~15章についてはここを読めば統計をどのように見たら良いのか、使ったら良いのかが分かり、世の中がより良く見えるようになるのでここだけでも理解しておいた方が良いと思います。
読了日:04月15日 著者:盛山 和夫


中央公論2024年5月号 [雑誌]中央公論2024年5月号 [雑誌]感想
特集は「日本に根ざす閥の研究」「ほぼトラのアメリカ」なのだが、もう一つ「人口減少と言う有事」と言う隠れ特集あり。林玲子さんの「国際比較で見る日本の人口減少」が良かった。世界的にも人口減少へ向かっており、2064年もしくは2070年で100億人になる直前で地球人口はピークを打つ、と言う見方もあるとか。日本は人口減少が叫ばれて久しいが人口減少により就業率が上がり、(なかなか進んでいないが)女性の地位向上につながっている、などの社会変革をもたらしている面もあり、あまり悲観的に見ない方が良いのではないかとの事。
読了日:04月17日 著者:


財政と民主主義 人間が信頼し合える社会へ (岩波新書 新赤版 2007)財政と民主主義 人間が信頼し合える社会へ (岩波新書 新赤版 2007)感想
財政学者の井手英策さんがFBでこの本を勧めていたので「ベーシックサービス」を読了後、購入して読んだ。井手さんの言葉に偽りなし。井手さんはFBで度々師匠の神野先生の事を敬意を込めて言及されるのだが、その理由が良く分かった。神野先生はこの本で井手さんと同様に北欧の社会民主主義の理念を分かりやすく解きほぐして伝えている。北欧の高福祉・高負担の社会民主主義が様々な困難を乗り越えて生き延びてきているのか。それは国民自らが考えながら実践する民主主義にある事が良く理解できる。
読了日:04月21日 著者:神野 直彦


経済セミナー2024年4・5月号 通巻 737号 【特集】経済学で格差を読み解く経済セミナー2024年4・5月号 通巻 737号 【特集】経済学で格差を読み解く感想
特集は「経済学で格差を読み解く」教育と経済格差、最低賃金、職業スキルと男女賃金格差について経済学的見地から考察。新書などの啓蒙書ではない専門的な記述は読むのは大変だったが、なるほど、経済学ではこのように考察するのだな、と言う気づきがあった。
読了日:04月21日 著者:


現代人のためのイスラーム入門-クルアーンからその真髄を解き明かす一二章 (単行本)現代人のためのイスラーム入門-クルアーンからその真髄を解き明かす一二章 (単行本)感想
私が初めて読んだムスリム自身によるイスラームの入門書。著者はヨルダン・ハシム王国の王子様で預言者ムハンマドの41代目の子孫。英米の大学で文学を学び、イスラム世界最高峰の大学アズハル大学でイスラーム学を学ばれた。文中にブレイク、ロセッティ、イェイツなど欧米の詩人を引用するなど大変な教養と学識をお持ちの方。イスラーム教はどのような宗教なのか、今イスラームはどのような状況にあるのか、とてもよく理解できた。そしてムスリムは私たちクリスチャンと同じ神様を信じている仲間である事も。多くの人に読んで欲しい本です。
読了日:04月27日 著者:ガーズィー・ビン・ムハンマド王子


神曲 地獄篇 (講談社学術文庫)神曲 地獄篇 (講談社学術文庫)感想
名作コミック惣領冬美「チェーザレ」の監修者原基晶さんによる最新日本語訳 ダンテ「神曲」日本語最良の翻訳になる事を目指したとの事。その言葉に偽りなし。冒頭に神曲執筆当時のイタリアの政治状況が詳しく書かれ、歌ごとの解説がなされていて良く理解できる。もちろん訳も良く、平川訳よりも遥かに良い。これからはこの原訳が日本語訳「神曲」のスタンダードになるのではないか。
読了日:04月28日 著者:ダンテ・アリギエリ


キケロー弁論集 (岩波文庫 青 611-6)キケロー弁論集 (岩波文庫 青 611-6)感想
10数年ぶりの再読。共和制末期の政治家・弁論家・哲学者のキケローの弁論4つを集める。有名なカティリーナ弾劾演説をはじめいずれも政治の場で行われたもの。カティリーナ弾劾はさすがなのだが、ピーソー弾劾は明らかにやりすぎで読んでいて疲れてくる。もっともローマ共和制下の弾劾演説はこんなものだったらしい。良くも悪くもキケローの人間の強さと弱さの両面が現れているのだが、それがルネサンスのユマニストペトラルカに再評価された理由らしいので再読して正解だったのだろう。
読了日:04月29日 著者:キケロー


やさしさの贈り物: 日々に寄り添う言葉366やさしさの贈り物: 日々に寄り添う言葉366感想
再読。前の書評を読んで気付いたのだが、これは三冊目でしたか…。最初に読んだのはこれだと思い込んでそのまま読んでしまいました(^^; 最初の5分の一を読んでしばらくほったらかしにして今日残りを一気に読んだ。多分それで良いのでしょう。片柳神父様の言われることは本当に小さなことなのだがそれを実行するのはとても難しい事なのだ、と言う事に改めて気づいた。神父様と私が信じているキリスト教について多くの日本人は思い違いをしているようですが、私たちクリスチャンは大きなばかりを考えているわけではないのです(^-^)
読了日:04月29日 著者:片柳弘史


田中耕太郎ーー闘う司法の確立者、世界法の探究者 (中公新書 2726)田中耕太郎ーー闘う司法の確立者、世界法の探究者 (中公新書 2726)感想
この人も日本の忘れられたキリスト者の一人。内村鑑三に傾倒するも決別してカトリックの洗礼を受け、商法学者として出発し、カトリック的な自然法思想を奉じて「世界法」を構想しナショナリズムに反対。戦後は日本国憲法と教育基本法の制定に尽力、最高裁判所長官として司法権の確立に取り組み、最後は国際司法裁判所判事として裁判所改革に取り組む、と彼の歩みは「巨人」と呼ぶにふさわしい。戦後の世論をリードした知識人から嫌われてしまった事が彼の評価を下げてしまったようだ。この本が少しでも田中耕太郎の再評価につながる事を望みたい。
読了日:04月30日 著者:牧原 出

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