この「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」展の元となったコレクションを所蔵するウスター美術館の事は全く知りませんでした。
幸いにも展覧会の最後の方で動画を上映しており、ある程度分かりました。
ウスター美術館のあるウスター市は米国東部マサチューセッツ州にあり、洲第二の都市で⑩数万人の人口を擁する重工業により発展した都市。
なお、ウースターと表記する場合もあるようです。
美術館は1898年開館で古代から現代まで4万点のコレクションを有するとのこと。
さすがはハーヴァード大学、マサチューセッツ工科大学のあるマサチューセッツ州にある都市らしいですね。
余談ながらウスターにもホーリークロス大学と言うカトリックの有力大学があるそうで、ホーリークロス、すなわち聖十字架とは何だかすごい名前だな、と思ったらイエズス会系の大学だそうです。
…日本で言えば上智大学にあたるのでしょうか。
前置きが長くなりました。
会場に着いたのは18時40分ごろ。
鑑賞時間は約1時間。
観客は少なく、じっくり鑑賞できました。
ただし、この展覧会はこれから混雑すると思いますので早めに行くことをお勧めします。
観客は若い人、特に女性一人、と言うが多いです。
和装の人が一人いて、ちょっと気になりました。
展覧会の内容を紹介した動画がありました。
これは予習にとても良い動画です。
展覧会の構成です。
1.伝統への挑戦
2.パリと印象派の画家たち
3.国際的な広がり
4.アメリカの印象派
5.まだ見ぬ景色を求めて
印象に残った作品です。
写真はありませんが、先述の動画、あるいは公式サイトの作品紹介を眺めながら読んでいただけるとありがたいです。
(私も公式サイトの画像を見ながら感想を書きました。)
トマス・コール《アルノ川の風景、フィレンツェ近郊》
冒頭に展示された作品です。
川を中心に配した風景画。
「お、いいな、アメリカらしい風景だな」と思ったのですが、後でイタリアのフィレンツェの風景と気づいてちょっとガックリしました(^^;
クロード・モネ《睡蓮》
数多く描かれたモネの「睡蓮」の一枚。
この作品は世界で一番最初に美術館が購入した「睡蓮」との事です。
松方コレクションの「睡蓮」に比べると色があっさり目です。
松方コレクションの睡蓮の方が好ましく感じました。
ジョン・シンガー・サージェント《キャサリン・チェイス・プラット》
アメリカ出身の肖像画家サージェントの作品。
この作品は後ろに花を描いたことが注文主の意に添わず、未完成に終わったとの事です。
そんなに悪いとも思えないのですが…。
花の絵も遠近感を踏まえて描かれており、人物との調和も良いと思います。
我儘な注文主に出会うと画家も色々大変なのですね(^^;
チャイルド・ハッサム《コロンバス大通り、雨の日》
モノクロ写真風の作風が印象的です。
チャイルド・ハッサムは今回の展覧会で初めて知りました。
アメリカの印象派の画家です。
同じハッサムの作品《シルフズ・ロック、アップルドア島》はフランスの印象派の作品とそれほど変わらない作風でした。
エドマンド・チャールズ・ターベル《ヴェツィアン・ブラインド》
左にこの作品の習作も展示されています。
女性の後ろ姿が描かれています。
習作と比べると手の位置などに変化が見られます。
ターベルについて今まで知りませんでしたが、検索してみると相当な情報がネット上にあり、人気のある画家のようですね。
ジョルジョ・ブラック《オリーヴの木々》
昨年末に行った西洋美術館のキュビズム展にも多くの作品が展示されていたブラック。
こちらはキュビズムに走る前の作品です。
キュビズム展で彼のキュビズム的な作品に食傷気味でしたのでこの作品はむしろ新鮮でした。
デウィット・パーシャル《ハーミット・クリーク・キャニオン》
太陽光に照らされた壮大な峡谷の作品。
グランド・キャニオンなどアメリカにはヨーロッパにはあまりなさそうな雄大な峡谷が沢山あるのに峡谷を描いた作品をあまり見かけないな、と感じました。
アメリカの壮大な風景を描いた作品を特集した展覧会も何回か開催され、良い作品も多いのですが、最近はあまり開催されていないように感じます。
アメリカ美術と言えば第二次世界大戦後のニューヨークを中心に展開された現代アートを思い浮かべる人が多いですが、アメリカらしい風景を描いた作品もとても良いものが多いです。
今回の展覧会は68点で、作品数はちょうどいいくらいでした。
アメリカの印象派は日本ではまだよく知られていないのですが、良い作品が多かったです。
第二次世界大戦以前のアメリカ美術にももっと関心が寄せられて良いと思います。
特設ミュージアムショップで絵葉書6枚購入。
最後にSNS向けに設定されている撮影スポットで撮影した写真を掲載しておきます。
これらの作品はInstagramにも投稿しておきました。