2020年8月9日 日曜日

 神奈川県葉山町にある神奈川県立近代美術館 葉山館で開催中の「コレクション展 ゴッホから中園礼二まで」「日本・チェコ交流100周年 チェコ・デザイン100年の旅展」を見ました。

 

神奈川県立近代美術館 葉山館公式サイト

 

 8月8日から三連休ですが東京を中心に新型コロナウィルスが感染拡大。しかし美術館は感染対策をした上で開いているし、県境を超えていないから許されるだろう、と考えてコロナ禍後久しぶりに神奈川県立近代美術館葉山館に行くことにしました。

 

 この美術館に行くことにしたのは夏らしく風光明媚でリゾート気分を味わいながら美に浸れるからです。

 ただし古賀太さんの「美術展の不都合な真実」ではこの美術館はアクセスが悪いので評価が下げられていました。でもそれは仕方ないでしょう。皇室の方々が静養される葉山御用邸のある葉山町の振興のために鎌倉から移転した経緯があります。

 

 少し脱線しますが神奈川県の美術館・博物館は観光地の近くが多いです。箱根のポーラ、ラリック、成川、岡田美術館。小田原の地球博物館、鎌倉の神奈川県立近代美術館鎌倉別館…、とほとんどが観光地の近くにあります。横浜美術館もみなとみらい地区が観光地区化してるので同じと言えなくもないし川崎市岡本太郎美術館も生田緑地が観光地区に近いので似たようなものでしょう。

  英語のmuseumは近代市民社会を支える市民の教養を深めるために作られたはずですが、神奈川県内のmuseumの立地はその観点からすれば明らかに間違えてますね(^^ゞ

 

 もっとも横浜美術館は横浜市民のために優れた美術を鑑賞する場所を提供する、という理念のもとに立地を選び、運営されていますし、周囲はオフィスも多いので本来の意味でのmuseumであるのは間違いないですね。

 

 これは日本では美術館はいわゆるハコモノ行政の一つとして考えられていたからです。本来の目的を外れて観光施設と化するのも無理はないのかもしれません。

 でもこのままで良いとは思えません。

 古賀太さんが「美術展~」で提案されていたような案に近いものとして神奈川県内の美術館同士でネットワークを作り、立地の良い横浜美術館でポーラ美術館など他の美術館の作品を定期的にテーマ別に展示する、と言うのが良いかもしれません。

 神奈川県民の皆様も神奈川県内の美術館はこれで良いのか、今一度考えてみてはいかがでしょうか。

 

 話を戻します。

 いつもの通りJR横須賀線逗子駅からバスに乗って神奈川県立近代美術館葉山館へ。以前も書いていますが、美術館へ向かうバスの旅もおすすめです。

 

 

 

 

 着いたのは10時過ぎでした。

 当初は人はそれほどいませんでしたが、途中から人が入ってきました。おそらく葉山観光がてら入ってきた客だと思われます。ぼつりぼつり一人、あるいは若い女性二人、という客がいますが、それがはじめからこの美術館を目当てに来た客ではないかと思います。

 

 まずは「コレクション展」を鑑賞。

 

 

 今回はすべての作品が撮影不可でした。

 以下作品を紹介します。(美術館公式サイトから画像転載)

 

 

 フィンセント・ファン・ゴッホ 「パイプをくわえた医師ガシェの肖像」

 ゴッホの唯一の版画。そう言えばゴッホの版画を今まで見たことがありませんでした。

 

 

 ヴィクトル・ニカンドロヴィチ・パリモフ 「水浴場」 1920年頃

 パリモフの名前は初めて聞きました。このブログを書くために検索したところ、ロシアの未来派の画家で、1920年に来日して展覧会を開いているそうです。

 この作品「水浴場」となってますが、タイトルとあっていない気がします。

 

 この他イスラエルのモシェ・クプファーマンの抽象絵画が印象に残りました。

 

 そして企画展「日本・チェコ交流100周年 チェコ・デザイン100年の旅」展へ。

 

 この展覧会については公式サイトによると

 

「 神奈川県立近代美術館では、これまで2002年の「チャペック兄弟とチェコ・アヴァンギャルド」展、2005年の「造形と映像の魔術師 シュヴァンクマイエル展 幻想の古都プラハから」、2014年の「東欧アニメをめぐる旅 ポーランド・チェコ・クロアチア」展など、チェコの歴史と文化を紹介してきました。日本と旧チェコスロバキア共和国が外交関係を築いてから100年となる今年2020年、チェコ国立プラハ工芸美術館との共催で、220点以上の作品・資料によって、チェコのデザインを100年にわたって振り返る待望の展覧会を開催します。
新型コロナウイルス感染拡大を防止するため「ステイ・ホーム」が奨励され、家庭で過ごす時間を意識するようになりました。その中で、洗練された日用品を生み出してきたチェコのデザインは、今日の私たちにも日常の中の豊かさを感じさせるでしょう。 」

 

 作品数は226にも及びます。特に展示室3の第3章~10章は作品数の多さに圧倒され、チェコ・デザインの素晴らしさを堪能することが出来ます。

 本来はここから構成について書くべきですが第10章まであり、文字数も多く、コピー・アンド・ペーストしようにも公式サイトにはないので省略いたします。

 

 以下作品を紹介します。(画像公式サイトから転載)

 

ヤロスラフ・イェジェク
ロイヤル・ドゥクス社
ボウルセット 1958年頃
チェコ国立プラハ工芸美術館蔵 

 

ランプ 1940年代
チェコ国立プラハ工芸美術館蔵 

 

マクシム・ヴェルチョフスキー
花瓶《ウォータープルーフ》 2001年
チェコ国立プラハ工芸美術館蔵 

 

ヤン・シュラーメク、スビニェク・フジヴナーチュ、ヤン・ボチャン
アームチェア《オオサカⅠ》 1969年
チェコ国立プラハ工芸美術館蔵 

 

ラジスラフ・ストナル
カヴァリエル・ガラス工房
耐熱ガラスのティーセット 1931年
チェコ国立プラハ工芸美術館蔵 

 

ヤロスラフ・イェジェク
カルロヴィ・ヴァリ磁器社レソフ開発工場
コーヒーセット《ダグマル》 1960年
チェコ国立プラハ工芸美術館蔵 

 

 

リブシェ・ニクロヴァー、ファトラ社
(左から順に)
《ライオンのアコーディオン》 1964年 個人蔵
《ネコのアコーディオン》 1963年 個人蔵
《キツネのアコーディオン》 1964年 個人蔵 

 

 その他アイロンなどの電化製品、あるいはオートバイなど、工業製品のデザインにも良いものがありました。チェコということでアール・ヌーヴォー期に活動したアルフォンス・ミュシャ、作家のカレル・チャペックとその兄ヨゼフ・チャベックの作品も展示されています。

 これだけ優れた作品があるのに撮影できず、紹介しきれないのが残念です。

 

 鑑賞時間は40分程度だったと思います。

 

 この後美術館の周囲を散策。

 野外展示作品です。

 

 

 

 

 

 

 

 一色海岸です。

 ミュージアムショップに行き、絵葉書を二枚購入。

 

 美術館を出て一色海岸へ出ます。

 

 

 ここは海水浴場を開いています。

 なお、この近くには葉山御用邸があります。

 

 バスに乗り、次の目的地森戸神社へ向かいました。

 

 続く。