2018年3月31日の日記です。

 

この日は猫町倶楽部東京アウトプット勉強会 畑村洋太郎「失敗学のすすめ」読書会に行きました。

猫町倶楽部公式サイト

 

今回の課題本はこちら。

 

 

畑村洋太郎さんの「失敗学のすすめ」

2000年に単行本が出て2005年に文庫された、東京アウトプット勉強会としては少し古い本です。

勘違いしてほしくないですが、これは「失敗のすすめ」ではありません(-_-;)

「失敗学のすすめ」です。

「失敗学」とは著者の畑村さんの造語(元々は立花隆さんが言い出したことが文中に書かれています)。

人間はどうしても失敗してしまうものであり、失敗は避けられない、ではどうしたら失敗を少なくできるのか、どうすれば失敗から学び次の成功に結び付けられるのか考えよう、と言う学問なのです。

 

今回東京アウトプット勉強会に久しぶりに参加してみる気になったのは、著者の畑村さんが2015年にお書きになった「技術大国幻想の終わり」を読んで面白く感じ、畑村さんが「失敗学」を構想されたことをその時に知り、「失敗学」についても読んでみたいとは思っていましたが、機会がなく今回課題本で取り上げることになったのを幸い読むことにしました。

この本は畑村さんがやらかした大失敗についてもかなり詳しく書いてあり、面白く読むことが出来ました。

 

例によって読書メーターに書いた感想を転載しておきます。

猫町倶楽部東京アウトプット勉強会の課題本。失敗は成功の母と言う言葉をよく理解できた。著者の畑村さんもかなりやばい失敗を過去にやってしまったそうで、その失敗を隠さずに今後の成功のために生かそうとする姿勢には頭が下がる思い。失敗がなぜ起こるか、そして失敗を今後の成功にどう生かしていくかがとても具体的かつ実践的に書かれている。猫町倶楽部東京アウトプット勉強会の今までの課題本では一番分かりやすくて実践的な本になる気がしてきた。」

他にも畑村さんの「失敗学」に関する本で参考になりそうな本を数冊読みました。

 

さて読書会の当日です。

この日は自宅の近くにある相模女子大学で花見会が予定されており、今年は昨年よりは桜の花を見ることができそうだったので読書会の前に行くことにしました。

 

 

今年は天気にも恵まれ、良い桜を楽しめました。

 

 

「百年桜」

戦時中まで存在した陸軍通信学校時代に植えられたと伝わる古い桜の木です。

 

 

近くで撮影した百年桜。

その他陸軍通信学校だったころの名残が大学の一角にあります。

 

 

茜館(旧第一本部棟)

フランス庭園。

 

花見会を楽しんだ後で小田急線と東京メトロ千代田線で会場の最寄り駅の乃木坂駅まで行きます。

今回の会場はいつもの六本木の東京ミッドタウンの近くにあるオフィスビルの会議室です。

いつもであれば美術館に事前に行っていますが、今回は少し空き時間が微妙だったので近くのスターバックスと檜町公園で時間調整。

ちなみに檜町公園の桜はこのような状態。

 

 

花のお江戸の桜は散りぬるかな。

 

そして午後3時半から受付開始。

今回は久しぶりに再会できた知り合いが多く参加していました。

そして月曜会からの参加者も多かったようです。

猫町倶楽部代表の山本多津也さんも来ており、私と同じ班でした。

 

いつものとおり午後4時から読書会を開始。

私の班は6人だったと思います。

自己紹介のあと、今回のアイスブレイクとして「失敗」の反対ということで各人の「成功体験」を語ります。

そしてこの後に感想を述べ合ういつもの展開。

話の内容は豊富でとても全部書ききれるものではないので印象に残った話をいくつか挙げておきます。

 

この本のP53に畑村さん自身がやらかしてしまい、学生たちに教訓として話しているある失敗体験のことが載っています。

参加者の一人に畑村さんと同じ分野を専攻したエンジニアの方がおり、彼によるとこれは畑村さんのやったように「あえて」やるのはかなり危険なものであると工学をやっていればわかる類のものとのこと。

「ヘルメットが絶対に必要な現場にヘルメットなしで行くようなもの。」だそうです。

・・・話を聞いてみて、なんと言ったらいいのか。

 

私はP110の「客観的失敗情報は役に立たない」を話題にしました。

大きな事故の後で第三者による事故の検証の報告書がよく出されます。

その報告書の中には事故の客観的な記述があるのが普通です。

でも実際にはこの書き方だと失敗から教訓を得たい人にとっては絶対に必要な、事故に直面した人の心理状態などの情報が欠けてしまってあまり役に立たないことが多いですよね。

ではどのように記述すればいいか、がこの本ではとても具体的に書かれているのです。

これはこの本がとても役に立つと思われる理由の一つです。

 

他に後輩の指導として課題を与えて教育のためにあえて失敗させる体験を積ませるようにしているけれども最近仕事や時間の余裕がなくなってきてあまりそのようなことができなくなっている、と語る参加者がいました。

これには多くの人が賛成していました。

最近日本の製造業で頻発している製品データのねつ造問題は現場の余裕のなさ、などが指摘されています。

この本は2000年に出ていますが、畑村さんの意見が上記の「余裕のなさ」などでそれほど日本社会に浸透していないように思えるのはとてもまずいと思います。

 

そして1時間経過して参加者の一人が猫町倶楽部代表山本多津也さんが参加しているのを幸い猫町倶楽部について質問したのをきっかけに山本さん自身の考えを聞く時間に移行し。大変面白い展開になりました。

ここで詳しく書くのはまずいと思うので「多津也語録」的な発言をまとめたものを一つ挙げてみます。

山本さんが猫町倶楽部を考えたのは「自分では普段読まない緊急性はないけれども長い目で見ると重要な内容の本を読む仕組み」を作りたかった、とのこと。

なるほど、ストンと胸に落ちました。

 

と言うのは私が初めて参加した「21世紀の資本」は絶対一人だけでは挫折しましたから。

この本は買ったけど読まなかった人が相当いたはずです。

 

ジャン・ボードリヤール「消費社会の神話と構造」もあのような小難しい本は猫町倶楽部の課題本にならなければ絶対に読まなかったでしょう。

(ついでですが私はこの本を読んでフランス現代思想と言うわけのわからん思想とその源流であるマルクス主義への関心をすっかり失ってしまったことをここに書いておきます(;^_^A 

そう言うのもありだと思いますよ(^-^))

 

午後6時半、読書会終了。

今回も面白かったです。

参加者、そしてサポーターの皆様ありがとうございました。

 

そして恒例の懇親会です。

こちらも大いに盛り上がりました。

 

そして今回は三次会まで行きました。

我ながらよくやるよな、と思います。

ご安心ください、無事に帰れましたとも。