6月10日の日記です。
この日は東京・新宿にある東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館で開催中の「ランス美術館展」に行きました。
ランス美術館はフランスのランス市にある美術館。
そしてランス市はフランスの歴代国王の戴冠式が行われたノートルダム大聖堂があることで知られる歴史ある街です。
このランス市のことは知っていましたが、ランス美術館のことはつゆ知らず。
チラシを見て、内容も良さそうで、しかも損保ジャパン美術館であれば恐らく外れはないと思い、行くことに決めました。
美術館に着いたのは午後2時頃。
美術館のある階から撮影しました。
この美術館は普段はあまり混雑していないのですが、今回は少し多めの観客だったので意外に思いました。
展覧会の人気がじわじわと出ているのでしょうか。
今回の展覧会は17世紀から20世紀までの作品約70点。
フランスに帰化した藤田嗣治、レオナール・フジタのカトリック信仰がうかがえる作品も展示されています。
展覧会の構成は
1.国王たちの時代
2.近代の幕開けを告げる革命の中から
3.モデルニテをめぐって
4.フジタ、ランスの特別コレクション
となっています。
印象に残った作品を挙げていきます。
なお、画像の転載が不可のため文章のみの紹介となります。
ヤーコブ・ヨルダーンス(と思われる)
「サチュロス」
カラヴァッジェスキの画家、ヨルダーンスが描いたギリシア神話に出てくるサチュロスを描いた作品で、植物を持っているのが印象に残ります。
カラヴァッジョにも植物を持ったサチュロスの作品があったと思うので、意識しているのでしょうか。
なお、「1.国王たちの時代」に展示されている作品は日本ではあまりなじみのない画家や、帰属作品が多いです。
ジャック・ルイ・ダヴィド(および工房)
「マラーの死」
この作品はほかにも幾つか同じ題材、同じ構図の作品が存在します。
シャルル・ランデル
「タンジールのユダヤ人の女」
いわゆるオリエンタリズムの作品ですが、描かれた女性がかなり艶めかしい感じです。
カミーユ・コロー
「川辺の木陰で読む女」
コローらしい風景画です。
ジャン・フランソワ・ラファエリ
「シャンゼリゼ」
印象派展に出展した画家ですが、彼の参加で印象派展は分裂してしまったそうです。
ウィキによると彼は印象派ではなく写実主義に属するとのことで、おまけに大量に印象派展に出展して会場を占拠しようとしたために反発を招いたということのようです。
この作品は彼を印象派展に招待したドガの画風に似ている気がします。
ドガも画風はあまり印象派的とは言えないですね。
アンリ・ジェルヴェックス
「期待はずれ」
女性の顔の肖像画なのですが、「期待はずれ」というタイトルが面白いですね。
タイトルとうまくマッチおらず、そのギャップが面白く感じました。
この画家はあまり知りませんでしたが、調べてみたところ「デトロイト美術館展」に「パリのカフェにて」が出展されていました。
レオナール・フジタ
「猫」
画面いっぱい猫だらけです。
レオナール・フジタ
「授乳の聖母」
聖母マリアが幼子イエスに授乳しているのですが、周りに動物が描かれている、不思議な絵。
レオナール・フジタ
「聖母マリア」
聖母マリアを描いた作品ですが、この絵のマリア、そしてマリアの周囲の天使は黒い肌をしています。
顔もアフリカ系の顔です。
レオナール・フジタはフランスに帰化後にカトリックの洗礼を受け、ランスに建てられた「平和の聖母礼拝堂」に壁画を描いています。
その壁画のための素描と壁画の写真パネルが展示されています。
これらの作品を見ると、フジタがカトリックを深く信仰していたことがうかがえます。
今までフジタのこの様な作品を見たことがなかったので、フジタのこれらの作品に出会えたことがこの展覧会の一番の収穫だと思います。
鑑賞時間は50分ぐらいでした。
ミュージアムショップで絵葉書4枚を買いました。
東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(展覧会へのリンクあり)