指標RCBsPの展開・考察・限界、そして今後の展望① | Peanuts & Crackerjack

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【はじめに】


まずは指標RCBsPについて簡単にふりかえります。

RCBsP(Runs Created based on BasePaths)

野球=baseballというゲームにおいて
攻撃陣の選手たちが得点を挙げるためには

すべからく本塁(打席)、一塁、二塁、三塁を通過し
再び本塁(得点)に戻ってくる必要があることに着目し

本塁(打席)、一塁、二塁、三塁に到達した各選手たち1人1人が
それぞれその各地点で、最終到達地点・本塁(得点)で獲得できる“1点”のうち

一体既に平均何点を獲得しているかを算出し
その各塁ごとの獲得点数の差を算出することによって

本塁(打席)に到達するまでの獲得点数、
および本塁(打席)を出発し一塁に到達するまでに獲得する得点数、

同じように一塁を出発し二塁に到達するまでに獲得する得点数、
二塁を出発し三塁に到達するまでに獲得する得点数、

そして三塁を出発し最終的に本塁(得点)に戻ってき
最終的に“1点”を獲得するまでに獲得する得点数を求め

打率や出塁率などといった各打者の貢献度を測る従来の指標からは排除されいていた
1つのアウトの価値やそして犠打や犠飛、進塁打などといったイベントを含めた

すべての打席、そして打席の結果以外の独立した走塁イベントについて
それぞれが一体何点分の獲得および損失にあたるかを測るものです。

なお、この指標を創出するに至った
背景、発想、Philosophy、そしてその詳細な経緯については

過去エントリー、
新指標 RCBsP (Runs Created based on BasePaths) について
において述べておりますのでそちらに譲ることとさせていただきます。


【2012年シーズン、ライオンズのゲームにおける走者の動き】


簡単な振り返りが終わったところで、
それではまずは2012年のレギュラーシーズン、

ライオンズのそれぞれオフェンスおよびディフェンスにおいて
のべ何人の選手たちが打席に現れ、どこでどれだけ振り落とされていきながら
最終的にのべ何人の選手たちが本塁に生還し得点を挙げることに成功したかといった

全体の走者の動きをまとめた下の図を観ていただきたいと思います。

Peanuts & Crackerjack-2012LIONS_OFFENSE_BASEPATHS  Peanuts & Crackerjack-2012LIONS_DEFENSE_BASEPATHS

簡単に、オフェンス側を取り上げて図の説明をしますと

2012年シーズン、ライオンズ攻撃陣は打席にのべ5,299人を送りこみ
うち一塁に到達したのはのべ1,752人
(逆にうち一塁を踏めずダイヤモンドから排除されたのは3,547人)、

同じように二塁に到達したのはのべ1,116人で三塁に到達したのはのべ744人、
そして最終的に本塁に生還し得点を挙げたのがのべ516人で

つまりは計516点を挙げたということになります。

(※なお、10/6のゲームで原選手が満塁から四球を選びウォークオフ勝利となったため
  一塁、二塁、三塁にそれぞれ1人ずつ、次の塁に進塁もしなければ
  ダイヤモンドから排除されもせずに塁上に残った選手がおりますため
  少々誤差が生じておりますことを予めお断りさせていただきます)



【2010年-2012年のライオンズのゲームデータを基にRCBsPを算出する】


さて、それではこの走者の動きを基にしていよいよRCBsPを算出していくのですが
2012年シーズンの、それもオフェンスかディフェンスのどちらかだけではなく

幸いにして(そしてある意味逆にそれでもまだまだ限定的であることも確かですが)
私には2010年~2012年のライオンズのオフェンスおよびディフェンスにおけるデータがありますので

母数を増やし、よりNPBにおける“平均”に近づけるためにも
その6つの分野に分けてあるデータを1つにまとめ

その全体の動きを基にRCBsPを算出していきます。

まずはすべてをあわせた全体の走者の動きを下の図にて見ていただきます。

$Peanuts & Crackerjack-BASEPATHS_LIONS_GAMES_2010-2012

さて、続いてここからRCBsPを順を追って算出していきます。

まずは本塁(打席)に到達した1人の選手がその時点で平均何点を獲得しているか?

ここから始めます。

打席に立ち本塁(打席)に到達したのはのべ32,592人に対し
そのうち本塁(得点)に到達し最終的に得点を記録するに至ったのはのべ3,449人ですから

ある1人の選手が1度打席に立つということは
それだけで平均約0.11点を獲得する(チャンスを獲得する)、ということになります。

ここで重要なのは打席に立つだけで既に得点を獲得する(チャンスを獲得する)ということ、

つまりある意味あたりまえといえばあたりまえのことなのですが
得点を挙げるにあたって数多く打席に打者を送りこむことが重要だということです。

もちろん、その価値のある「打席に立つこと」が
ゲームのルール上、所与のものとして初めから与えられているか
それとも攻撃の結果として創り出したものであるかによって

どういったケースではどの選手に与えられるかまたはそうでないかについては
大きく異なってくることは上でも挙げました過去エントリー、

新指標 RCBsP (Runs Created based on BasePaths) について
において例を挙げて述べておりますのでそちらを参照していただけると幸いです。

さて、多少話が横道にそれましたが
続きまして一塁に到達した1人の選手がその時点で平均何点を獲得しているか?
について観ていきますと

一塁に到達したのがのべ11,174人なのに対し
そのうち本塁(得点)に到達し最終的に得点を記録するに至ったのは同じくのべ3,449人ですから

ある1人の選手が1度一塁に到達するということは
それだけで平均約0.31点を獲得する(チャンスを獲得する)、ということになります。

そして更に、一塁に到達する価値と本塁(打席)に到達する価値との差、約0.20点が
本塁から一塁へと進んだ時に獲得する得点(RCBsP)ということになります。

それでは同じような手順を踏んでそれぞれ算出していった
RCBsPをまとめたものを以下の図にて示します。

$Peanuts & Crackerjack-RCBsP_LIONS _GAMES_2010-2012

これをもとにそれぞれの攻撃イベントの獲得得点を見ていきますと

走者なしからの単打は0.31得点、走者なしからの二塁打は0.48得点、
同じく走者なしからの三塁打は0.71得点、ソロ本塁打はもちろん1得点、

そして満塁本塁打は計2.5得点を獲得することになります。

また、走者を1塁に置いて犠打で2塁に進塁させた場合は0.06得点、
走者を3塁に置いて犠飛で本塁に生還させた場合は0.18得点、
(進塁打も同じように計算できます)

走者なし、または走者が進塁せずアウトにもならず打者がアウトになった場合は-0.11得点、
走者を1塁に置いて併殺打の場合は-0.53得点、

また一塁走者の二塁盗塁成功は0.17得点なのに対し
その盗塁の失敗は-0.42得点となりますから

二塁盗塁の損益分岐点は成功率約71.2%の地点となります。



さて、予定より冗長になってまいりましたので
今回のRCBsPについての展開はあらかた述べ終わったここにて
今日は一旦このエントリーを終了させ

残りの、“限界について”を含むを考察および今後の展望については
明日また新たなエントリーを設けてそちらで述べさせていただきます。

それではまた明日お会いしましょう。