★Tips 1 : 今日の雄星さん、ストライク率は約61.5%、2/3を大きく下回るものでした。
ただし32度の打者との勝負のうち2ボールまでいったのがのべ10度、
3ボールまでいったのがのべ7度、そして四球2で
1ボール以内での勝負が約68.8%と2/3を優に越えてくる素晴らしい成績だったように
基本的にはどんどんとゾーンに投げ込む投球ができており
ストライク率の低さは2ストライク後の勝負が11度のみという
イーグルス攻撃陣の初球から積極的に打ち返していく戦術によるものだと言えますね。
ただそれでも8イニングを投げて自責点4とQSをクリアすることに失敗するということは
初回~4回くらいまでの抑えた速球中心の投球、そしてそこで浴びた3ランHRが
雄星さんにとって非常に反省すべき投球であったからだと言えましょう。
今日の序盤の雄星さんの投球を見ながら、私は
「やはり人はアタマで自分の改善点がわかっていようとも
結果として失敗して、痛い思いを体験しない限り
例えそれが“ひとにぎりの運”に支えられた危険な成功であったとしても
緊迫の場面になればなるほどその成功体験に頼ろうとどうしても身体が反応し
なかなか思い切りよくその過去の成功体験を捨て、
改善していくということはほんとうに難しいのだな」
こう思っていました。
前回登板で完投勝利、それももう一歩で完封という
ほんとうに素晴らしい結果を残した雄星さん。
ただ、その成功は投球の基本に忠実なものでは決してなく
本来の速球をほとんど使わず、抑えた速球ばかりの投球で
雄星さんの投球の軌道をまだまだ何度もじっくり見たことがなく、また
分析も対策もそこまで深くいきとどいていないであろう
初対戦の相手だからこそ通用した投球であって
もちろん2戦目だからといって急激に相手攻撃陣が調整できるかといえば
それはなかなか難しいものであることは確かであるものの
だからといって、前回と同じように素晴らしい結果がついてくるほど
特にNPBで長年生き残ってきたヴェテラン選手たちは甘くはない。
今日の雄星さん、ゲーム前にメディアに対し
「スタイルを変えるような器用な投手ではないので力勝負でいきます」と宣言するなど
前回登板の反省点はしっかりとアタマではわかってはいたものの
初回、先頭打者に対しその本来の速球を投げながらも制球が定まらず出塁を許し
そのランナーを得点圏に進められるととたんにその速球の速度が130km/h後半に落ち
どうしても制球を重視した抑えた速球に頼り、なんとか逃げてかわそうとします。
初回は高須選手を怖がってゾーンの隅を狙いすぎ四球を与えるものの
前回の対戦で封印していたチェンジアップを山崎選手に対し投げ
併殺打で無失点に抑えることに成功、なんとかかんとかかわし切りますが
2度目の同じような状況でまた高須選手を怖がって四球を与えた後
同じようにかわしきれるほど大ヴェテラン、山崎選手は甘くない。
すべて抑えた速球で追い込んだ後の5球目、雄星さんが
捕手、星さんのサインに一度首を振って投げる勝負球と言えば、
前回対戦の最後の打席でスライダー系をHRにされているだけに
今日の第1打席でうまく打ちとったチェンジアップしかなく
結果そのチェンジアップに頼るだろうとみごとに読み切った山崎選手に
もののみごとにとらえられ、観客席の上段にまで届く本塁打を浴びてしまいます。
山崎選手の素晴らしい読み勝ち、またバッテリーの球種選択ミス、
この3ランHRはそう評価すべきでしょうが
それには前提として雄星さんのかわして、ある意味だまして打ちとろうとし
その結果自らチェンジアップしかない状況に自分を追い込んでしまった
自分の投球にこそその原因を求められるものです。
あの場面、抑えた速球ではなく本来の最高の速球をどんどん駆使していさえすれば
山崎選手もチェンジアップだけに絞り切ることはできずに
速球とチェンジアップとの天秤の上での打席となり
3ランHRという大量失点を喫することはなかったでしょう。
ただし、そうやってもののみごとに痛打を浴び、痛い失点を喫した後
遅まきながらも5回くらいからマウンドを降りるまで継続して
140km/hを超え、最高146km/hを計測する雄星さん本来の速球が
目に見えて増えたことは今後の雄星さんの投球にとっては非常にプラスになることでしょう。
今日の山崎選手に浴びた3ランHRは雄星さんにとって非常に痛い一発でしたが
逆に言えば、こういった大ヴェテラン選手が相手攻撃陣にいて
器用にうまくかわそうとするルーキーの心理をうまく読み切られ
それでは甘い、ときっちりと痛打を浴びせられ痛い目を見させられたということは
今後、雄星さんが長年にわたって継続して成績を残し積み重ねていくためには
ある意味余計な廻り道をキッチリと断ってくれた、必要不可欠な一打になることと思います。
この痛い3ランHR、そして初の負け投手となった今日のゲームで
得難い失敗の経験から身をもって肌で感じ取った投球の基本を決して忘れることなく
今後もどんなに緊迫の場面でも、いや緊迫の場面だからこそ特に
器用に逃げかわすのではなく、不器用に自分の投球の基本に忠実な投球を
ひたすら貫き、徹底し続けてほしいですね。
★Tips 2 : 今日のライオンズ攻撃陣は得点圏にランナーを置いての打席は計8度、
その内訳は 2-8(うち三振1・併殺1)で得点圏に残塁2、得点2。
今日は9安打・1四球・1死球で出塁は11、その全11人のランナーの行方は
残塁6、併殺による二塁封殺1・一塁封殺1で得点3という結果でした。
今日も昨日に引き続き1点をめぐる終盤の緊迫の攻防を
じゅうぶんに魅せてくれた素晴らしいゲームでした。
ただし、今日のライオンズ攻撃陣はイーグルス攻撃陣と同じく
イーグルス先発井坂投手に対し全22度の勝負のうち
2ストライク後の勝負が8度のみと非常に少なく、
積極的に初球から打ち返していきながら出塁4のみ、0得点に抑えられたことは
非常に反省すべき結果となりました。
明日のイーグルス予告先発、Jimenez投手に対して
いかにして数多くの出塁を積み重ねていくか、
注目して観戦したいと思います。