Lions' patchwork quilt | Peanuts & Crackerjack

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Dedicated to the Saitama Seibu Lions organization and its players, baseball itself, and those who want to know what counts most in a given situation you are in and to make right decisions in a confident manner everytime. May the 'dose of luck' be with you!

$ピーナッツとクラッカージャック-BS20100614

Young lovers seek perfection.
Old lovers learn the art of sewing shreds together
and of seeing beauty in a multiplicity of patches.


これは映画 "How to make an American quilt"
(「キルトに綴る愛」)の中のコトバですが

本来チームとはキルトのように

バラバラでそれぞれが大きく異なる
1つ1つが美しい布きれや、美しい色の破片を
集めてきて縫い合わせていくことによって

その“美しい”差異を活かしこの世にひとつだけの
ひとつの大きな作品を作り上げていくものだと

私はこう思っています。

それは "melting pot" のように

大きな差異のあるものを1つのボウルの中で
混ぜ合わせ融合させながらどうにかこうにか

1つの新しい色、スタイルを産み出して
すべての破片、ピースをその色に染めていく

上述のコトバで言えば "perfection" を
求めるものでは決してありません。

今シーズン、ここまでライオンズは
それぞれがほんとうに大きく異なる選手たちが
素晴らしいパッチワーク・キルトさながらに

その素晴らしい特長を発揮しながら
1つの素晴らしいチーム、組織として
うまく機能してきていました。

そこには自分の役割、しごとが明確にあり
そしてそれこそが自分たちひとりひとりの特長を
最大限発揮することのできる“魅せ場”でした。

しかし、今このライオンズというキルトでは
その重要なピースである先発投手陣が
疲労やケガなどでその発色を若干鈍らせており、

これも重要なピースである主砲の剛也さんが
ケガで戦線を離脱、キルトには大きな穴ができて

全体としてキルトに描かれていた勇猛な獅子像が
少しずつ獅子の姿には見えにくくなりつつある、

そんな現象が起こりつつあります。

もちろん長いシーズンを考えれば
その最も重要な終盤のゲームにおいて

彼らがその力を発揮できるよう
今は焦らずムリしすぎることなく

今は代わりのメンバーたちを起用し
どんどんキルトに組み込みながら

どうにかこうにか1つ1つ勝利をもぎとっていく、
今はそんな時期であることは間違いないのです。

しかし、こういった時期に最も避けるべきは

そのパッチワークが1つの作品として
うまく機能せずに結果が出ず苦しいからといって

選手たち自らが
自分自身を "melting pot" の中へ放り込み
ありえそうなそこそこの色やカタチへと体裁を整え

その大きな1つの作品の中の一部分となりたいと
安易にそう思うことでしょう。

今、特にライオンズ攻撃陣では
勝負の場に名を連ねる誰もが一様に結果を求め

すべての打席で、すべての状況で
同じように集中し同じように“標準”以上の結果をと
できもしないことをしようとしています。

その結果、最も肝心な1番集中すべき場面で
自分の特長を発揮できず役割を果たせずに

どうもチグハグな攻撃で終始し
思うように得点を積み重ねていけないまま。

今のライオンズ攻撃陣に名を連ねる選手たちは

どうも毎イニング大量得点をとることか、
もしくは毎ゲーム2ケタ得点をとることを
目標としているとしか思えないのです。

全員が全員、ランナーがいない場面では
何が何でも出塁するんだと気負い

そしてまたランナーが塁にいる場面では
何が何でも繋いでいくんだと気負っており

今までもっと肩の力を抜いて気楽に、
その求められる役割、しごとの場面だけに
集中しうまく発揮してきた特長を

できもしない完璧を追い求めることで
自ら消し去りますます結果を残せない悪循環。

剛也さんの抜けた4番という穴ですが
クリさんにしても今日の大島さんにしても

2人とも同じように言うには
「打順は関係なく、とにかく繋いでいくこと」。

しかし打順というものがあり、
そこに求められる役割がある以上

4番に入って最もすべき役割は
その一振りで得点をたたき出すこと。

ランナーが得点圏にいる場面で
そのランナーを本塁に迎え入れることが
その一番のしごとでしょうし

あとはメリハリと割り切りでもって気楽に
失敗はじゅうぶん覚悟の上で
何より現在と将来の自分のために

ランナーが1塁にいるのならば
確率は低いことは承知の上でもちろん
狙いは左中間、右中間への二塁打以上の長打、

ランナーがいなければヤマをはったりしながら
フルスウィングでHRを狙うべきでしょう。

“繋ぐ”というコトバは
実はほんとうに危険なコトバだと思います。

それはどんな場面でも同じように、一様に
“標準”以上の結果を求め失敗を許さない

非常に完璧主義のニオイを放つコトバです。

そんなことができるならばそれこそ
毎イニング大量得点で毎ゲーム圧勝でしょう。

すべての選手が melting pot の中で
金太郎飴的に“繋ぐ”というあいまいな色に
自ら自分自身を染め上げようとしていないか。

4番に入ったらそれをまたとないチャンスと捉え
剛也さんからその役割を奪うことを目標に
自分の色を最大限発揮しつつ役割をこなし

首脳陣にうまく縫いあげる“悩み”を
増やしてあげてほしい。

それはラインアップの下位で
機会を与えられている選手たちも同じこと。

自分は近い将来、その特長を活かして
出塁し、かき回す役割を担いたいのか、
ランナーを進めチャンスを拡大する役割か、

それとも得点圏のランナーを還す役割か
どんな時も長打を狙いその一振りで
得点を挙げる役割を担いたいのか。

それを明確に自分の中に置いておきながら

そんな自分の求めるシーンでなければ
失敗してもともとで気楽に打席に立つと共に

自分の求めるシーンで打席に立つことができれば
それこそ“オイシイ”絶好の機会と喜び

そこでこそ日ごろの準備とトレーニングで培った
最高の集中力と能力とでもって

最高の“魅せ場”としてほしいですね。

チームのために、と自分の色を自ら抑えるようでは
そのチームの全体として編み上げられたキルトは
ますます崩れていきます。

ライオンズが他に類を見ないライオンズらしい
素晴らしいパッチワーク・キルトであり続けるためには

編み上げ方は首脳陣に任せて

とにかく自分がこの絶好の機会に
自分の色を、カタチをアピールして

自ら掴み取るという選手が
どれだけ出てくるかが重要でしょう。

交流戦も終わり、これからは徐々に
大胆にまんべんなく選手を起用していく時期から
ラインアップを固めていく時期へとなっていきます。

今シーズンのライオンズは最終的に
どんなパッチワーク・キルトへと
編みあがっていくのだろうか。

そこにはどんなピースが残っていて
その1つ1つのピースはどれだけそれぞれが
美しい特長を発揮しているだろうか。

これからの1つ1つの勝負も
これまでに勝るとも劣らない素晴らしいものに
なっていきそうですね。



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