得難き貴重な試練 | Peanuts & Crackerjack

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Dedicated to the Saitama Seibu Lions organization and its players, baseball itself, and those who want to know what counts most in a given situation you are in and to make right decisions in a confident manner everytime. May the 'dose of luck' be with you!

ピーナッツとクラッカージャック-20090929

ピーナッツとクラッカージャック-sl090929

選手たちにとって、これほどつらい状況はそうはないでしょう。

ゴールが目の前に迫ってきたとき
いつもの自分のパフォーマンスを発揮できずに自滅、

一転して自らゴールを霞むほど遠くへ追いやってしまった。

自分たちの置かれた“状況”を考えてみるならば
最後まで諦めないことも、目の前の1勝を掴んでいくことも
それは今までどおり、じゅうぶんわかってはいるものの

それが今やゴールへと途切れることなく続く
一里塚としての“目標”となっていないという事実。

2位、3位チームの自滅を願うほかなく
自らのちからだけでゴールを掴むことは不可能な今、

相手の自滅を誘う細かな戦術駆使、という戦略ではなく

“選手自らのトレーニングと経験で培ってきた
能力と集中力を状況に関わらず最大限発揮する”戦略で

これまでシーズンを戦ってきたライオンズは
目標を失ったままとても不安定な状態で戦うことになります。

選手たちもアタマではまだ諦めたくないと
もちろん強く思っているでしょうが

明確でシンプルな目標が目の前にあるかないかで
大きくその集中力は違ってくるのは当然ですね。

例えばこれがイーグルスのような必殺仕事人集団であれば
当然集中力の減衰し成績が低迷しつつある選手に代え
スグに適材適所的に別のスペシャリスト選手を起用すれば
傷口を大きく広げることにはならないのでしょうが

どんな状況でも結果を残し続けるチームの軸たる選手へと
成長を遂げていくためには最低2年続けて
シーズン通して出場し続け結果を残すことが必要、

ライオンズはその戦略上まずよほどのことがない限り
どんなに苦しくったって“動かない”ことは貫くはず。

苦しく結果が伴わず成績が低迷する時でも
首脳陣は我慢して使い続けるし、選手は迷い苦しみながら
それでも出場し続け試行錯誤し続ける。

ホントに軸となる選手たちにとっては
なぜ勝てないんだろう、なぜ結果が出ないんだろうと
とても苦しくて歯がゆくって悔しくって思い悩む時期です。

しかし、そんな辛酸をなめた経験や試練こそ
ほんとうに得難い、貴重な一番の成長の糧なのです。

ここまできたら、どんな大きなミスがあっても
結果がどうなろうとも最後まで出場し続けてほしい。

今日の木村さんの5回、6回の起用には
首脳陣のそんな愛情が垣間見えました。

目標を失いゴールが霞んで遠くになった今、
更にはこのゲームでも主軸選手のナカジさんやヤスさんが
ここぞの“魅せどころ”で最高の集中力が発揮できず
4回までに大量6失点で一久さんが降板した中、

これほどルーキーにとって辛い、難しい登板はない。

本来ならばここで経験豊富なベテランが登板してなんとか
それなりにまとめてくれればという場面かもしれませんが

そんな層の厚さは、残念ながらない現状。

木村さんは当然、将来先発投手として
チームの軸をと期待される選手。

この辛い場面で登板し、あたりまえのように飲み込まれて
4失点と大量失点はそりゃあ泣きたくもなるでしょうが

それでもインターバルの間に渡辺監督にことばをかけられ
さらには次の6回も登板のチャンスをもらったことは
将来、必ず活きてくる素晴らしい経験ですよね。

そう、今シーズンにCS出場できなくたって
“世界が終わるわけではない”のですから。

今のライオンズというチームは
もちろんまだまだ多くの脆さや弱さを抱えながら
それでもそれを補って余りある
ほんとうに素晴らしいチームになりつつあります。

たかが今シーズン、CSに出場できないからといって
それですべてが水の泡になるわけではなく

彼らには来シーズン、その次のシーズンとあって
この苦しい、でも得難い貴重な試練は必ず活きてくる。

さて、これからライオンズの各選手がいつ、
ゲームの中で自分たちの“いつも通りの”
パフォーマンスを発揮できるようになるか。

昨年2008年は立場は大きく異なりますが
それでもペナント・レース優勝というゴールを達成したあと
“目標を失った”という同じような状況
その少し前からではありますが実に7連敗を喫しています。

頼れるベテランが少ないのはとても痛いですが、それは
チーム戦略上、当然受け入れなくてはならないリスク。

ゲームに出場している以上、勝負の一瞬一瞬においては
一人ひとりの選手はもともと孤独なものです。

ぜひ自分たちの培ってきた能力と集中力で
この試練を骨の髄まで貪欲にしゃぶりつくして
ひとつ残らず吸収しつくしてほしいものですね。



Hakuna Matata !