トロイ・シヴァンがスターになるまで(後編...内なる女性性への怖れ) | トロイ・シヴァンと、思わずはまった動画や音楽と

トロイ・シヴァンと、思わずはまった動画や音楽と

大好きなホモセクシュアルのシンガーソングライター「トロイ・シヴァン」について、動画や歌詞の対訳などを中心にご紹介いたします

アンドリュー・デントン(Andrew Denton)によるトロイ・シヴァン(Troye Sivan)のインタビューを三回にわたってご紹介してきたが、今回がシリーズの締めくくりになる。

今回のテーマは、私にとっては、とりわけ興味のある話題だ。

私のような女性ファン(腐女子)がトロイ・シヴァンに惹きつけられるのは、ひとつにはトロイ・シヴァンの女性的な美しさに、自分の分身として、自らを重ねたいという欲求があるからだと思う。

トロイのように、ふだんは男の子だが、お化粧すると女性よりも美しいというような、美少年的で受身的なゲイの男性というのは、私のようなボーイズラブ好きの腐女子にとっては、憧れと垂涎の的のように思えてしまう。

しかし、その彼の中にある女性性は、トロイ・シヴァン自身にとっては、どのように受けとめられているのだろうか。

アンドリュー・デントンによるトロイ・シヴァンのインタビューの中で、トロイの心理が明らかになる。

Andrew:I want to show a clip of the title track from your new album 'Bloom'.
(和訳)
アンドリュー:君の最新アルバム「Bloom」から、タイトルトラックのミュージックビデオを見てみよう。

何度も掲載しているものであるが、「Bloom」の和訳版動画と、ミュージックビデオをもう一度載せてみる。


※Youtubeよりお借りしています。


※Youtubeよりお借りしています。

この「Bloom」のミュージックビデオで、女装したトロイ・シヴァンの妖艶な姿を目にしなかったら、ここまでトロイの大ファンになってしまうことはなかったと思うくらい、私にとっては大好きな動画である。

Andrew:There was a moment when you were shooting that clip where you caught a glimpse of yourself in the mirror and you were very struck by a thought. What was that thought?
(和訳)
アンドリュー:君がこのビデオクリップを撮影しているとき、君自身の姿を鏡に覗き見て、君はある思いに打たれたそうだね。それは、どんな思いだったんだい。

Troye :Am I really about to do this? And also, there's that person that for so long I was petrified of. Absolutely petrified of. And, um...yeah, I mean, I'm 23 now, and I still had a moment of like should I be doing this. You know, like is this OK kind of thing. Yeah, it's something that I still am pushing through and working through.
(和訳)
トロイ:僕は本当に、こんなことをしないといけないんだろうか? そして、鏡の中に見た僕自身は、あまりにも長い間、僕が凍り付くような気持ちで恐れていた、自分自身の姿だった。絶対的に凍り付くような気持ちで、こういう姿を、僕は恐れていたんだ。そして、うーん・・・そうなんだ、僕は、僕はもう23歳になるよ。それなのに僕は今でも、僕はこんなことをしなければならないんだろうかという思いに打たれることがある。そうなんだ、これはいったい、しても大丈夫なことなんだろうかと思ってしまう。うん、こういう気持ちとの闘いというのは、僕が今でも通り抜けないといけないし、闘わなければならないものなんだ。

Andrew:That's really interesting, because in 2015 you released a clip, we're just going to show some vision of it now, of a song called 'Fools'
where you are kissing very openly another man. Now you say you don't want to be a gay icon, but to a 14-year-old boy sitting at home as you were, struggling with their sexuality, how powerful do you think an image like that is?
(和訳)
アンドリュー:それは面白いことだね。2015年には、君はあるミュージックビデオをリリースしている。それをお見せしよう。「Fools」という歌のミュージックビデオだ。このなかで、君はとてもオープンに他の男性とのキスシーンを披露した。それなのに、君は、ゲイとしてのアイコン的存在にはなりたくないと言っている。でも、君自身が家の中で座り込んでいる14歳の少年だったころのことを思い出してみたらどうだい。14歳の頃、君はセクシャリティと格闘していた。そのときに、そういう同性とのキスシーンの映像を見たら、君自身にパワーを与えてくれたとは思わないかい。

トロイ・シヴァンが初めて同性とのキスシーンを披露した「Fools」のミュージックビデオがこちらだ。


※Youtubeよりお借りしています。

Troye :I remember the first time I ever saw two boys kissing on TV. It was on 'Queer as Folk' late at night, I was flicking through the channels when I saw it. And, um...and it really, really stuck with me. I remember, you know, super, super vividly that experience. And so I think, yeah, I think it has the potential to have a lot of power. To be able to look at something like that and have the moment that I would've had with Norway, or whatever it was, where you...you can just like breathe a sigh of relief for a second, because you realise that you're not alone in whatever it is that you're experiencing. That's powerful.
(和訳)
トロイ:僕は、僕が初めて、二人の男の子がテレビでキスしているのを見たときのことを覚えているよ。「クィア・アズ・フォーク(Queer as Folk)」というテレビドラマを深夜にやっていたんだ。僕が何気なくチャンネルを変えようとしていたときだった。そして、うーん・・・それは僕にとって、すごく、すごく衝撃的だった。僕は、そのときのことを、すごく、すごく鮮やかに覚えているよ。そうなんだ、そういう映像を見ることは、すごく強力な体験になりうるよ。そういう映像を見ることができたり、ノルウェーでの同性婚の合法化のことを聞いたり、そういうたぐいのことというのは、ほんのいっときだけでも、安堵の吐息をつかせてくれる出来事なんだ。だって、君がどういう経験をしているにせよ、君はひとりじゃないっていうことを、それは教えてくれるんだから。それは、強力な力を与えてくれる出来事なんだ。

Andrew:For somebody that at 23 still has some fear about representing yourself that way, where did you get the courage to do that at 20?
(和訳)
アンドリュー:23歳にして、君自身をそういう形で表現することに怖れを持っている君が、どうして20歳にして、そんなことをする勇気があったのかい?

Troye :Um...to me that...I don't know, to me like gay love has never really been something that I was scared of and that I thought was that controversial necessarily. So, you know, kissing another boy, it was tender and it was sweet and I don't know, I just didn't really have a lot of fear. For some reason, exploring like my femininity and that's the scary stuff for me and I don't know why.
(和訳)
トロイ:うーん・・・僕にとっては・・・わからないけど、僕にとっては、ゲイの愛は僕が怖れるようなものではなかったし、議論されてしかるべき問題のように思われた。男の子が他の男の子にキスするのは、僕にとっては優しくて愛情にあふれたことだった。よくわからないけど、そういうことには僕は怖れを抱いたことがないんだ。理由ははっきりしないけど、僕が怖れているのは、僕の中の女性的な部分を露出させることだ。どうしてなのか、自分でもわからないよ。

Andrew:What is your femininity? What does that feel like to you?
(和訳)
アンドリュー:君の中の女性的な部分って、どういうものなのかい? 君にとって、それはどういう感じなの?

Troye :Now I find so much power in it. I feel like a real bad arse in red lipstick I found out. And, um...and it brings me so much joy. 'Cause the thing is that I know that it's always, always been inside of me, you know. Like, when I would lock the bedroom of my door as a kid and prance around to 'Like a Prayer' by Madonna, that's same way that I'm dancing in that music video. You know, it's like... it was carefree and I'm trying so desperately to, for others, but also for myself, shed any of that idea that that's dirty or not right in the first place.
(和訳)
トロイ:実は、僕の中の女性的な部分には、すごくパワーがあるようにも思える。あのビデオの僕を見ると、僕は真っ赤な口紅を塗った、性悪のおカマになったような気がする。それで、うーんと・・・そのことに僕はすごく喜びを感じるんだ。だって、そういう部分というのは、いつも、いつも、僕の中に常にあったんだっていうことが、僕はわかってるからさ。僕は子供の頃、僕の寝室のドアに鍵をかけて、マドンナの「Like a Prayer」の真似をして遊んでた。そして、僕は「Bloom」のミュージックビデオの中で、ちょうどそのときと同じようにして踊っているんだ。それは・・・それは僕にとって気晴らしでもあったんだ。そして、僕はあのビデオの中で、必死に、他の人のためでもあったけど、僕自身のためにも、こんなことは汚い真似で、そもそも正しくない行為だ、なんていう考えを押し流そうとしているんだ。

トロイが子供の頃真似をして遊んだ、マドンナの「Like a Prayer」のミュージックビデオがこちらだ。


※Youtubeよりお借りしています。

Andrew:The numbers for your music online are staggering. Just one of your songs, 'My, My, My' has been listened to 86 million times and counting. How does that translate in the real world? Do you have a personalised Troye Sivan jet with an Olympic swimming pool in it?
(和訳)
アンドリュー:君の音楽のオンラインでの配信は驚異的だね。君の歌の一つ、「マイ・マイ・マイ!」は86,000,000回も聴かれているんだ。現実の世界で言ったら、それはどういうことなのかな? つまり、トロイ・シヴァンは、オリンピックのスイミングプール付きの個人用ジェット機を持っている、という風にでも言ってみようか。

Troye :No. No, not yet.
(和訳)
トロイ:いやいや、まだまだだよ。

こちらが、トロイ・シヴァンの代表曲「マイ・マイ・マイ!」のミュージックビデオだ。


※Youtubeよりお借りしています。

「マイ・マイ・マイ!」は和訳付きの動画も出ている。


※Youtubeよりお借りしています。

なお、この「マイ・マイ・マイ!」は私にとっても思い入れのある曲なので、いずれ機会をあらためてまたご紹介したいと思う。

Andrew:Oh!
(和訳)
アンドリュー:そんなことないよ!

Troye :I am super, super comfortable. Like, more than I could have ever asked for. I...Yeah, I have everything that I could ever want or need. But yeah, you don't really make money as an artist in the places where you would think an artist makes money. A lot of it's in like, like this is not a real example at all, but like a Japanese shampoo commercial that you do, or something like super, super random. And then you'll like make more money off of that than you ever would on your album.
(和訳)
トロイ:僕はすごく、すごくほっとしてる。僕に期待されてきた以上のことが起きてるんだ。僕は・・・うん、僕はこれまで望んできたり、必要としてきたすべてを今、手にしてるよ。でもね、そうだよ。アーティストというのは、アーティストとしてお金を稼ぐものじゃないんだ。たくさんお金を稼ぐのは、たとえば、全然いい例じゃないけど、たとえば日本のシャンプーのコマーシャルの仕事をするとか、そういう全然関係ないことでお金を稼ぐものなんだよ。そうしたら、アルバムのセールス以上のお金が稼げるんだ。

Andrew:I've just had a thought for you and it's the perfect thought.
(和訳)
アンドリュー:僕はいま、君について、完璧なアイディアを思いついたよ。

Troye :Is it a Japanese shampoo commercial?
(和訳)
トロイ:日本のシャンプーのコマーシャルのこと?

Andrew:No, it's better than that. It's a Norwegian shampoo commercial.
(和訳)
アンドリュー:ちがうよ、それよりもっといいアイディアだ。ノルウェーのシャンプーのコマーシャルに出るというのはどうだい。

Troye :Norsca!
(和訳)
トロイ:(ノルウェーのシャンプーのブランド)「ノスカ」だね!

Andrew:Genius.
(和訳)
アンドリュー:その通りさ。

Troye :Norsca!
(和訳)
トロイ:「ノスカ」か!

Andrew:Nice. OK, so I'm just gonna frame you here, Just do the washing your hair thing. And say, "Norsca."
(和訳)
アンドリュー:そうさ。オーケイ、じゃあ、ここにカメラを構えるから、君の髪を洗う仕草をしてみて、そして、「ノスカ」と言ってみるんだ。

Troye :Norsca.
(和訳)
トロイ:(CM出演の真似をして)ノスカ。

Andrew:Right. 50/50. yeah?
(和訳)
アンドリュー:いいね。儲けは山分けにしよう。どうだい?

Troye :Yep.
(和訳)
トロイ:いいよ。

Andrew:Good. Done deal. I like this. Would you all leave? We have a business meeting to do. Thank you very much.
(和訳)
アンドリュー:いいね。話はついた。いい話だ。(観客に向かって)みなさん、席を外してもらえますか? これからトロイとビジネスの話があるんで。どうもありがとう、みなさん。

Andrew:People look at you and imagine that it's all come easy to you. What hasn't?
(和訳)
アンドリュー:君を見ると、君にとっては、人気を集めることは簡単なことのように思える。君にとって、容易でないことがあるとしたら、どういうことかい?

Troye :I mean, it's hard to say, because I've sort of lost perspective on it 'cause I enjoy it all so much. You know, my dad always said to me if you love that you do you won't work a day in your life. And so I don't feel like I have worked a day in my life. So in a sense, everything has come easy to me. But at the same time, I have been actively working towards this sort of dream every single day for as long as I can remember.
(和訳)
トロイ:うーんと、言いづらいんだけど、僕は今の立場をすべて、すごく楽しんでいるから、将来の見通しを立てているわけではないんだ。僕の父さんがいつも僕に言ってたのは、僕が自分がやっていることを気に入っているなら、僕の人生で汗水たらして働く日は一日もなくていいんだって。だから実際、僕は僕の人生において働いたことは、一日たりともない。だからある意味では、すべてが僕にとっては気楽なんだ。でも同時に、僕は自分が記憶する限り、一日一日すべての日を、僕の夢に向かって渾身の力で努力してきたよ。

Andrew:Since you were burnt out at the age of five.
(和訳)
アンドリュー:君が5歳にしてステージに立ってからだね。

Troye :Yeah, since I took that break. Once I got back at six I was ready to go.
(和訳)
トロイ:そうだよ、僕がデビューしてからだ。6歳のときにはもう、今の生き方に向けて準備万端だった。

Andrew:Before I let you go, I've got a personal request. Following Grant Denyer's success at the Logies I'm determined to win the Gold Logie next year. But I need some help to get 10 million followers online. What should I do?
(和訳)
アンドリュー:君を行かせてしまう前に、僕は君に、個人的なお願い事があるんだ。 グラント・クレイグ・デンヤー(Grant Craig Denyer)がオーストラリアのテレビの最も人気のあるパーソナリティとしてGold Logie Award を受賞してから、僕もGold Logie Award を受賞したいと決意してるんだ。でも、僕が10,000,000人もの視聴者をオンラインで得るにはどうしたらいいか、君に助けてほしいんだ。どうしたらいいと思う?

Troye :Wax your logs for a start.
(和訳)
トロイ:まずは、君の脚の毛を剃ってみることだね。

Andrew:There isn't enough wax in the universe.
(和訳)
アンドリュー:それだけじゃ足りないよ。

Troye :Gross.
(和訳)
トロイ:口紅を塗ってみることだよ。

Troye :So besides that I would say...No, I would say just be a real person. I think that people just want a real person to connect with and so be genuine, be authentic, give of yourself. Be careful, don't give of yourself too much because I think that that's also a dangerous trap that people can fall into really easily. But yeah, just be real and share.
(和訳)
トロイ:それよりなにより、僕が言いたいのはね・・・ううん。僕が勧めるのは、生身の君自身であることだよ。僕が思うに、人々は、生身の人間に触れてみたいんだ。だから、純粋であること、本物であること、そして、君自身を分け与えることが大事だよ。でも、気を付けてね。君自身を分け与えすぎないことも大事なんだ。それはそれで、簡単に陥りやすい危険な落とし穴だからね。でも、そうだよ。本物であり続け、本当の君自身を分け与えることは大事なことなんだ。

Andrew:Thank you. That's great advice.
(和訳)
アンドリュー:ありがとう。すごくいいアドバイスだね。

ここまで三回に分けて、アンドリュー・デントンによるトロイ・シヴァンのインタビューの抜粋をご紹介してきた。

私にとってこのインタビューはすごく面白かったし、トロイ・シヴァンについて知らなかった発見がいっぱいあった。

最終回の今回は、トロイ・シヴァンが自らの女性的な部分をどう考えているかというテーマを中心にご紹介し、私にとっては個人的にもすごく興味のある内容だった。

トロイ・シヴァンは「Bloom」のミュージックビデオで、彼が子供のころに真似をして遊んだというマドンナ以上に美しく、妖しく誘惑的な姿を演じていると思う。

でもトロイ自身にとっては、そういう女性的な美しさというものはずっと昔から怖れてきたものでもあった。

女性的な自分を演じることはトロイの欲求でもあり、気晴らしでもあったが、一方でそれは彼の一番恐れてきた自分自身の姿でもある。

そういう怖れを抱えながら彼があのような魅惑的なダンスを披露していたのかと思うと、すごくびっくりする。

そういうトロイ・シヴァンの、自分の女性的な部分への怖れというものは、トロイ・シヴァンのファンである「腐女子」の私自身の中にもあるものだから、よけいに複雑な思いだ。

女性である私が、ゲイのほっそりした美少年(美青年)であるトロイ・シヴァンに惹かれてしまうのは、自分の中の女性的な部分を完全には受け入れることができていないためかもしれない。

そのために、女性である自分自身としてではなく、トロイ・シヴァンという女性ではないけれどどこか女性に近いものを感じるスターに感情移入して、自分の分身として、トロイ・シヴァンの美しい姿を眺めたり、トロイ・シヴァンと同じ気持ちになったつもりで彼のラブソングを聴いたり、トロイ・シヴァンの恋愛の話を読むことに喜びを感じたりしてしまうのだ。

「女性的なものを受け入れるのが怖い」という気持ちが、立場は違えどゲイのセレブリティであるトロイと、トロイのファンの腐女子の自分になんだか共通しているということには、複雑な気持ちになるし、不思議な縁を感じてしまう。