久々に、なつかしい曲を聴いてみた。
マーラーの「交響曲第10番」だ。
この曲をはじめて聴いたのは、「愛する者よ、列車に乗れ」という映画のラストシーンだ。
亡き画家の葬儀をめぐる人間模様を描いたパトリス・シェローの濃厚な作風を、音楽がドラマチックに盛り上げていた。
この曲を書いたころ、マーラーは、愛する妻アルマとの危機を迎えていた。
建築家のヴァルター・グロピウスが、アルマに求愛していたのだ。
アルマはマーラーのもとに留まるが、彼女はマーラーの死後、グロピウスと結婚しているから、もともと気はあったのだろう。
第5章のコーダには、「君のために生き!君のために死ぬ!」と、アルマへの愛がつづられている。
この曲はマーラーの最後の交響曲であり、マーラーの死により、未完のまま残されている。
マーラーのような大作曲家にとって、一人の女性が作曲のインスピレーションであり、モチベーションでありえたというのは、ロマンを感じる物語だ。
マーラーの大きな愛を感じる、美しい最期の交響曲である。