[552] 脱皮茶会2018 | ひつじの手帖

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古民家「脱皮する家」茶会記

大好きな「脱皮する家」での茶会が叶いました。

「脱皮する家」は新潟県十日町市にある古民家をノミで彫り上げた現代アート作品

2006年の「大地の芸術祭」で発表され、現在も公開され宿泊できる古民家です




床板、柱、梁、漆喰壁、天井裏にいたるまであらゆるところが、ノミで彫り上げたられた空間

日芸 彫刻コースの鞍掛さんの作品

脱皮する家が、2年がかりで彫り上げられた際、夏のワークショップに参加し、細い柱を一本彫らせていただいた親しみある古民家


一年余り前より京都 大徳寺塔頭の龍光院さまの看松会へ通い、熊倉功夫先生による茶書講義を拝聴するにつけ、一客一亭の一汁二菜の茶事をしたいとの思いが深まり、念願叶って、8月初旬に茶事をひらくことができました。


2018年8月3日から8日までの6日間の滞在で、リハーサルも含めて、茶会9回

まるで合宿

菓子とお抹茶だけでなく、料理をお出しする茶事としたのは、大地の芸術祭開催エリアの妻有(つまり)は、コシヒカリ、トウモロコシ、キュウリにポークなどの食材がとびきり美味しいから。

特に脱皮する家のある峠集落には、美しい棚田が広がりコシヒカリが たわわに実ります。

また脱皮する家の屋号が「とうふや」だった歴史もあり、星峠棚田米と豆腐を一汁二菜の料理のベースに決め、主菜は魚やポークとし、野菜類は地の十日町産。

侘び茶の一汁二菜に倣いました。

参照したのは千利休が天正18年に息子 千少庵を招いた茶会。


利休の堺の実家は裕福な魚問屋。
利休の茶会では、鮑と鮒の二菜。

脱皮する家では、妻有で手に入りやすい身近な食材として妻有ポーク、または魚の酒粕漬けを主菜に。
酒粕は新潟八海山のものを。

脱皮茶会の一汁二菜に香の物の料理

ポークは写真を撮りそこないました。
(茶会中はシャッター押すタイミングがなかなか無くて)




一客一亭として、
亭主がご正客を思い、茶会テーマを和紙に筆書きし軸として掲げました。

脱皮する家で揮毫したため、軸装はしないで、和紙のままを。


私が亭主をつとめた茶会では「み」
香港から大地の芸術祭にいらしたアーティストの作家名「阿三」の三の、和語「み」を。

平仮名「み」は、漢字「美」からきているので、芸術家でもある正客をお迎えするには、コレ!とお迎えする二時間前にしたためました。


書家の島本田鶴子さんが亭主をされた茶会では「無為自然」
写真は記録用のワンカット

実際の茶事の ご正客の写ったお写真は控えます


一汁二菜のあとに、お濃茶とお薄をお出しした茶会記

道具は持ち寄り。
あるにまかせ、うるに従い、です。



脱皮する家の茶会は、3人で主催し、ご正客は大地の芸術祭に参加されているアーティストやキュレーターの方らをお招きしました。

主催は、堀場美佐、島本田鶴子、渡会葵






力強く美しい現代アート空間での侘び茶。

地のものを食材とした手作り料理と、菓子、お抹茶。

ご正客を思い、軸を亭主が書し、もてなす。

侘び茶のモダン。