朝、ホテルの前に出てみた。
目の前には広大な緑が広がり、その向こうを大きな川が流れている。
「これがアマゾン川かな?」
調べてみたら、正確にはイタヤ川という川だった。
アマゾン水系を構成する川のひとつである。
アマゾン川は、一本の巨大な川が南米大陸を流れているのではない。
無数の支流が集まり、合流を繰り返しながら、とてつもなく巨大な水のネットワークを作っている。
アマゾン川の全長は一般に約6400キロ。
その源流は、ペルーのアンデス山脈にある。
昨日まで、旅してきたのもアンデスである。
クスコ、聖なる谷、マチュピチュ。
あの標高3000~4000メートルを超える山々のさらに南の高地を源流とする水が、いくつもの川を集めながら東へ流れ、やがて巨大なアマゾンになっていく。
現在いるイキトスは、アマゾン全体から見ると上流部に位置している。
ここから川は東へ向かい、コロンビアとの国境付近を通り、ブラジルへ入る。
さらにマナウスを通過して、最後は大西洋へ注ぐ。
地図で見ると、そのスケールに圧倒される。
アンデスから大西洋まで、南米大陸をほとんど横断している。
ホテルの前から見える水も、その巨大な水系の一部だ。
そう考えると、川の景色が違って見えてくる。
写真を見ると、川の手前は広大な草原のようになっているが、これもアマゾンだ。
この地域は雨季と乾季による水位差が非常に大きく、水が増えれば広い範囲が水に覆われる。
ここでは「ここまでが陸、ここからが川」という境界が、季節によって動く。
昨日、イキトスについて書いた。
この街はペルーの主要道路網とつながっていない。
人口数十万人の都市なのに、リマからクルマで来ることができない。
それなのに、街は栄えている。
その理由のひとつが、この巨大な水路なのだ。
僕らは道路がなければ「不便な場所」と考える。
しかしアマゾンでは、昔から川が道路だった。
人を運び、食料を運び、木材を運び、商品を運ぶ。
だからイキトスは陸から見れば「孤島」だが、水の上から見れば決して孤島ではない。
むしろ巨大な幹線道路沿いの街なのだ。
ホテルの前に立ち、朝日に照らされた川を眺める。
この水が何千キロもの旅をして、最後は大西洋へ出ていく。
そう考えると、なんとも不思議な気分になる。
やはり、アマゾン、でかすぎる。
今日から、その川を奥へ進み、ジャングルのロッジへ向かう。
大人のB級旅行。
いよいよ、アマゾンの中へ入っていく。
こちらでは今、朝7時だ。

