Mar 5, 2019 (Tue)

新海誠のライトノベル アニメから小説に・・

群像劇、全体を俯瞰する構図。

恋する二人の物語とはいえ、背景を省略できる筈はない。

萬葉集が各章の終わりに添えられている。

アニメは未見 小説はもっと詳細に叙述されている。

秋月 15歳 靴職人を目指す高校1年

雪野 27歳  高校の古文の教師

五月の雨の日、新宿御苑の東屋で出会う二人・・

先生が別れ際 口ずさむ和歌 

江戸時代ならば 遣らずの雨みたいな

萬葉集 巻11-2513 

雷神(なるかみ)の  少し響(とよ)みて
さし曇り 雨も降らぬか
君を留めむ

それから二人は度たび会う。

先生の足型を取るために素足に

触れる秋月・・・ 実にセクシーな比喩的描写

様々な障害により先生は退職し四国に帰る。

秋月は高校を出てフィレンツェに留学

靴職人の修行をする・・・

 

Five years later 

時を経て再会する二人・・

こういうのっていいなあ・・美しい。

 

各章末に萬葉集 計10首が散りばめられて・・

岩波文庫がもっと沢山売れればいいと思った。

昔習った歌、好きだった歌もある。

岩波文庫を再読する幸せ。

 


茜さす 紫野行き 標野行き
野守は見ずや 君が袖振る
巻1ー 20  

ますらをや 片恋せむと
嘆けども
醜のますらを
なほ恋ひにけり
巻2- 117  

世の中の 苦しきものに
ありけらし
恋に堪へずて
死ぬべき思へば
巻4- 738

雷神の 少し響(とよ)みて
降らずとも 我は留まらむ
妹し留めば
巻11- 2514

うらさぶる 心さまねし
ひさかたの 天の時雨の
流らふ見れば

巻 1- 82

雷神の  少し響(とよ)みて
さし曇り 雨も降らぬか
君を留めむ

巻 11- 2513 

目には見えて 手には取らえぬ  月の内の
桂のごとき 妹をいかにせむ 

巻4ー 632

我が宿の 時じき藤の
めづらしく
今も見てしか
妹の笑まひを
巻8- 1627

夏の野の 繁みに咲ける
姫百合の
知らえぬ恋は
苦しきものそ
巻8ー 1500

石走る  垂水の上の
さわらびの
萌えい出づる春に
なるにけるかも
巻8ー 1418