僕が観たのは小学校3年

1960年 母と観に行った。

航空自衛隊の練習機を零戦に見立てて

使っていることは後で分かった。

井上芳夫監督デビュー作

監督は旧制浦和高等学校OBとのこと。

 

昭和19年秋

横須賀航空隊に配属され休暇

で浦和に帰った野沢少尉。

最初に母校浦和高等学校を訪ねる。

文乙に在籍し、学徒出陣した野沢。

高等学校図書館の係員が野添ひとみ。

そこで彼が求める本を進呈される

(彼女は古本屋の娘)

 

雨の中連れ立って歩く二人

傘をさして歩いていたら上官に

殴られる。 軍人は傘をさして歩いては

いけない決まり。

(これは今でも覚えている鮮烈な記憶)

プリンは外套を着るので傘は

余り差さない。

 

もう神風攻撃隊の特攻作戦が始まっている。

 

予備学生同士が集まると

娑婆っ気たっぷりにドイツ語で

An Die Freude を歌って歩いたり

なんとも可愛らしい。

 

これでは海兵出身の小笠原中尉と折り合いも

つくわけがない。中尉は母の愛を知らずに

育ち、恋愛も知らず、青春の楽しさも知らず

予備学生たちの存在を苦々しく感じている。

 

戦局我に利あらず・・

遂に特別攻撃隊が編成される。

 

同じ飛行隊で妻帯者もいる。

そのメッチェンはもうお腹に子供がいる。

クラス会のようなささやかだが楽しいコンパ

でももう出撃が決まっている。

 

海兵出(ホンチャン)の小笠原中尉と

野沢少尉が殴り合う。

学問の尊さ、愛情の美しさを信じて

いたいという野沢。 女々しいと侮る中尉。

死ぬ瞬間まで自分を見つめていたいという

野沢。 

 

指揮官 岡崎大尉は三高 京都帝大法科

出撃前夜 隊員たちは大尉の母校三高の

逍遥の歌を歌う。 ここもなかなかいいところ。

自分の死によって少しでも日本が救われれば・・

という思い。 同じ予備学出同士 腹を割って

本音を語り明かしたのだ。

第一次攻撃隊は出撃 直掩機も無く・・・

 

野添ひとみに会いにいく許可を与える

飛行長(高松英郎)

野添とやっと会えるが空襲で彼女は死ぬ。

 

弔い合戦に出撃する野沢。

 

基地にグラマンの機銃掃射

負傷した小笠原中尉を抱きかかえる

野沢少尉。


出撃を前に小笠原は野沢に対して

僻んでいた自分を正直に吐露する中尉。

学問があり、恋人のいた野沢に対して

引け目を感じていた小笠原。

 

最後まで自分自身を客観的に見つめ

死ぬ意味を問いかけ散華した学徒の典型として

描かれている。 街宣車のアホどもを見ていると

腹が立ってくるのは学徒達には学問と自由主義者の

信念があったこと、街宣車の連中には学問も思想も

ないこと・・・ 他者の意見を聞くだけの受容性が

無いこと etc.