Oct 20, 2018 (Sat)
封建制度は夫婦の愛情にまで口を出す理不尽な側面を持つ。
仲代達也と加藤剛はそれぞれ映画・TVで人間の条件の梶を演じた。
主君のご内意とは 側近の忖度から発するのではないか??
戦前、15年戦争を通して ご内意と称してどれほど理不尽な命令が下されただろうか・・
小林正樹監督の意識は権力側の無責任体質をメスのように抉り出す。
白黒作品は歴史的作品には適している。 琵琶の音が緊張感を生む。
1725年 会津藩藩主が19歳の娘いち(司葉子)を側室に望む。
いちには許嫁がいたが 相手は殿のご意向に逆らえずやむなく仰せに従う。
やがて彼女は男子を産む・・ そして養生に温泉に行き城に帰ると
殿(松村達雄)は 若い側室を侍らせている。その品の無さ 何の悲しみも感じない鈍感さ・・
いちは激高し、その側室を殴打し髪の毛を引き回す。そして殿の頬を打つ。
いちはそして 三百石 馬周り役笹原伊三郎(三船)の嫡男 与五郎(加藤剛)の嫁に
ご内意を以って お下げ渡しとなる。 やがて娘も生れて 幸福な家庭だった。
突然江戸より訃報 藩主の嫡男が急死、いちの生んだ男子が正式な嫡男となる。
いちは次期藩主のご生母となり、次期藩主の母を一介の藩士の妻とさせておくわけにはいかぬ
という雰囲気になってきた。 与五郎の上役からいちを大奥に戻せとの命が下される。
理不尽な藩命に憤る与五郎。せっかく妻と仲睦まじく暮していたのに藩の都合により別れろとは・・・。
いちも今では良き母であり良き妻となっており夫を愛していた。理不尽な仕打ちはこれまで十分に受けており、
これ以上耐えねばならぬ道理がどこにある。
いちも与五郎も藩命を激しく拒絶した。上役も強固な拒絶に対し、お家取り潰しを仄めかし恫喝を加えはじめる。
巻き添えを食うであろう親類たちも説得にあたるがいちはそれも拒否する。
与五郎は圧力に負け、いちに大奥に戻ってほしいと漏らしてしまう。
その言葉を聞き激高したのは伊三郎であった。 伊三郎は家付きの娘に武芸を買われ婿となった身であり家庭でも、
また仕事の場においても上司や妻など他人に気を使い生きてきた。 今回は藩命に逆らい自分たちの生き方を
貫こうとする与五郎といちに強い共感を覚えていたのだ。
伊三郎は与五郎といちに決して離れてはならぬと改めて説得するのであった。
与五郎は城中に出仕し藩の重役たちに嘆願書を提出した。 覚悟の嘆願だった。
藩の非を論じ、人倫に悖るやり口を糾弾するものであり藩と伊三郎、与五郎の対立は決定的となる。
実はしばらく前から計略によりいちは城中に監禁されていた。
藩からの刺客を待ち受ける二人のもとを訪れたのは藩の重役に伴われたいちであった。
重役は伊三郎と与五郎に対しいちが大奥に入り次期藩主の母となることを承知するのであれば
命は助けると最後の説得を行う。 当然のように拒否する伊三郎と与五郎。
重役はいちに対しても与五郎の嫁ではないことを認めれば伊三郎と与五郎の命は助けるよう話す。
いちはそれを拒否し、あくまで与五郎の嫁であると主張するばかりか、藩士の持つ槍に倒れ自殺を試みた。
そばに駆け寄る与五郎。伊三郎は激高し藩士たちに斬りかかる。
妻を抱きかかえていた与五郎は藩士から槍で突かれ絶命する。
伊三郎は藩士たちを全て斬り捨てる。 与五郎といちは抱き合った格好のまま、息絶えていた。
伊三郎は二人の遺骸を埋め弔った後、藩の非道を江戸に知らせるべく孫(娘)を抱きながら江戸に向けて旅立つ。
追手から姿をくらませながら国境までたどり着いた伊三郎を待っていたのは浅野(仲代)であった。
二人は壮絶に戦うが浅野は敗れる。しかし、伊三郎もさらなる追手に囲まれ銃弾を受け倒れる。
最後に孫のところまで戻ろうとするがたどりつけず、伊三郎が孫に託そうとした願いは
「母のように生きよ、父のような男と結ばれよ」ということであった。
俳優名簿 鬼籍に入った人たちが多い。 思えば51年前の映画だから・・・
