翌日、3人は学校で集まり、今後の動きを確認した。
「…んじゃ、弾けもしないアタシたちはしばらくは個人練習ね」
「そうだな、ある程度弾けるようにならんと集まってもしょうがないしな」
「よし、決定。…時に陸人、ドラムの人はどうなってんだ?」
前日にドラムについて陸人に一任したので、現在の状況を確認したい千種。
「ああ…今日の昼間に一応すこし話をしたんだが…」
「そうなの?で、どうだったのよ?」
「それがな、『そういうのは実際に会って確かめたほうがよさそうなので、放課後にそちらに伺います』だそうだ」
「…嫌に馬鹿丁寧なんだな、そいつは…」
「しかも何?放課後ってことはそろそろ来るってこと?」
「多分…」
そのとき、教室のドアが静かに開く。
現在教室には陸人たち3人しかいないため、何か用があった場合陸人たちが対応することになる。
「ん?どちらー?」
「あの…ここのクラスの桜庭先輩に用があって…」
そこに居たのは陸人たちよりも少し背丈が小さい女生徒だった。
長い黒髪をサイドにまとめた髪型をしており、身長からは想像もできぬ大人っぽさを持っていた。
「お、わざわざありがとな。とりあえずこっちに座って座って」
唯一面識のある陸人が着席を促し、対面する形で3人と向き合う。
…まるで面接だ。
「よし、と…とりあえず紹介させてもらうな。こっちの知的だが若干エロそうな男が杉崎 千種。ベースをやっている。んで、こっちの美形だがその仮面の裏には鬼がいる女がボーカルの鈴野宮 藍羅だ」
「だれがエロそうじゃボケぇ!」
「何が鬼よふざけんじゃないわ!」
「ぐふっ!」
少し空気を和らげようと入れた冗談だったが、この2人には通じなかったようで、渾身の2人の必殺技が陸人を襲う。
そのまま壁に激突し、先頭不能に陥った陸人に代わって藍羅が女生徒と話を進める。
「ごめんね、この男変なの。…君名前はなんていうの?」
「高山 岬です。みなさんとは1つ下の学年ですね」
「へえ…(女の子だったんだ…)噂のドラムが上手い1年生って君かい?」
名前を確認した後、千種が会話に参加してくる。
「上手いかどうかはわかりませんが、一応趣味でドラムは叩かせてもらってます」
「そうなんだ…陸人から話は聞いてるかもしれないんだけど、アタシたちバンドを始めたいの。一緒にやらない?」
色々ずらずら並べて変な空気にするよりも、率直に話したほうがこの子はわかりやすいかもしれない。
そう判断した藍羅は思ったとおりに行動を移す。
そこまで聞くと岬は少し考えているようなポーズをとって答えた。
「…私も以前からバンドを始めたいと思っていました」
「あ、誰かともう始める約束をしちゃった感じ?」
高校生になると急にバンドを組みたくなる心理が今は普通らしい。(筆者談)
しかし岬は「いえ」と首を振って千種に対する答えを述べる。
「実は周りにバンドに興味のある人が少なくて…社会人バンドの募集にでもいってみようかと考えていたところです」
「おお…本格的なんだね」
「ですが、私みたいな未経験者はちょっと行きづらいかなって…もし先輩達が本当に私を誘っていただけるのなら」
そこで岬は大きく息を吸って、緊張していたのか、ずっと真顔だった顔に笑顔を作って言った。
「ぜひ、やらせてください!」
「いいのか!?(え、こいつ超可愛いんだけど…)」
「こっちこそお願いね!(何この子すっごい萌える!)」
この笑顔で2人はメロメロになってしまった。(岬をお気に入り登録したらしい)
するとここまで寝転んでいた陸人が急に立ちあがり、その場をまとめる。
「よし…話もまとまったようですし!」
「お、やっとお目覚めかい?」
「うるせえな!元はと言えばお前がやったんだろ!」
「あーはいはいごめんなさいねー」
「!てめえ!」
ギャーギャーと騒ぐ男子2人。
それを見ている女子2人。
「…なんだか楽しそうなバンドになりそうですね」
「そう?うるさいだけよ、こんなの」
「まあ!ともかくだ!」
息を切らしながら(リアルファイトを終えて)陸人は言う。
「これで一応はメンバーはそろった!最低限セッションもできる!」
「そうだな、やっとこさって感じだけど出来るな」
「バンドの話なのに活動開始まで7話かかるってどういうことよ…」
「?何の話ですか鈴野宮先輩?」
…筆者の文章力がないからですよ、すいませんね。
「あー、なんでもないわ岬。それとアタシたちは名前で呼んでいいから!」
「おう、これから一緒に活動していくんだ。そんな畏まってちゃダメだろう?」
「…いいんですか?それなら藍羅先輩、千種先輩、陸人先輩!これからよろしくお願いします!」
「こちらこそよろしくな岬!…よーし!それじゃあ円陣だ!」
「えー…」
「そこは乗れよ!Σ(゜д゜;)」
陸人の号令で(嫌々)みんなは円陣を組む。
「よーし…ボーカルから気合入れてもらおうかな!」
「なんでアタシなのよ!…でもまあいいわ、やってやろうじゃないの」
「お、どういう風の吹きまわしだい?」
「うっさいわね!さっさとやるわよ!」
がっちりとホールドを組んでみんなは下を向く。
「それじゃあ…これからみんなで楽しく元気にやっていきましょう!バンドグループ『匿名希望』の活動開始よ!」
「「よっしゃあ!」」
「頑張りましょう!」
こうして、新たなメンバーとして岬を加え、4人のバンド活動は始まった。