土曜日の大阪市は今まで溜めこんでたんかよ!ってくらいの土砂降りの雨
駐車場に停めている車を取りに行くだけでサンダル履いた足は
びしょ濡れで・・・
井戸端会議中の近所のおばちゃんに
「あら、ひーやん!
こんな雨の中どこ行くん?」
なんて不思議そうな顔をしながら絡まれて適当に愛想笑い・・・。
ってか、雨の中傘さしながら語り合ってる
あなた達の方が不思議ですよ…。
車に乗り込んで家の前まで行くと
「お~、冷たっ!!
髪の毛セットしたのにびしょ濡れや!」
なんて笑ってる親父・・・。
セットって・・・湿気で完全にうねってますけど…。
「ヒマやから」と言って助手席に乗り込んできた妹を横目に出発。
我が家から車で10分程の場所にある親父の友達である家に向かっている途中
雨は一段と強まって、度のキツイ眼鏡をかけてくれば良かったな~なんて思って
車は左折へと進路を進めて・・・
後方から傘さしてチャリを必死に漕いでるオッサンをサイドミラーで確認しつつ
前方に目を向けるとカップルが。
自転車を左手で押しながら右手に傘を持った彼氏、
その傘を持つ彼氏の腕に絡みつき雨に濡れないように
自分へと傘を引っ張ってる姿を見つめ、
「さっさと歩けよ~」
なんて、心の中で思って横断歩道を渡る姿を見つめながら・・・
やっと渡りきる・・・って思った矢先
ミュールを履いていた彼女が横断歩道を渡りきる手前でストップ・・・。
チッ!って舌打ちした私を助手席の妹は笑い
何か言ってる彼女の声を聞こうと雨が入らない程度に少しだけ開けた窓から聞こえた
「う~ぅ!!
ここ、水たまりすごいから足が濡れる~」
どう!?
このイラつく発言!!
こんだけ雨降ってたら、もう濡れてるやろ!
ってか、雨って分かってたんやから濡れたくなかったら長靴履いて来いよ!!
ってか、いっそのこと飛び越えろよ!
そんなに広くない道の横断歩道の手前で止まり
左折しようと待機していた私の車もあってか
後方から必死に自転車漕いできたオッサンの苦労も無駄になり
オッサンは足を付いて自転車を止め道を塞がれた状態。
車も左折することができんくらいに中途半端な場所で止まったままの二人。
イラつきMAXでクラクションを鳴らしてみたが
「水たまり嫌や~!」
なんて言ったまま、クラクションの音も無視して立ち止まったまま。
対向車線にいた車の運転手と目が合い、
運転手さんも苦笑いですよ…。
そして、同情してくれたのかクラクションを鳴らしてくれたが
また、その音も無視・・・。
イライラ~、イライラ~!!
我慢の限界が来て、大きく息を吸い助手席の窓を開けようと
手を掛けた瞬間
「やぜらっかたっちよ、わや!
うったつけっちゃっど!!」
はい、何言っているのかさっぱりです・・・。
そして、怒鳴ったのは他の誰でもない・・・私の親父です・・・
えー、訳しますと・・・
『うるさいんだよ、お前!殴ってやろうか!』的な?
言われたカップルはどこの言葉かも一体何を言っているのかも不明・・・
そして、車の後部座席へと目を向けたまま固まっております・・・
ですが、私の父は鹿児島出身なんですが、
自分の言葉は全国共通だと思っているので
聞こえているのに無視されていると思ったみたいで…
「はよ、せんか!」
と・・・。
まぁ、これは意味が分かったのか・・・
固まっていた体がビクッと動いたかと思った次の瞬間
二人の目が大きく見開かれ・・・
ふとバックミラー越しに後部座席を見ると
窓が全開になっていて・・・
そう、私の父親は天パでして・・・
雨が降ると湿気で髪の毛がうねり
晴れている日はそんなに目立たない髪形が
雨の日限定にパンチパーマのようにクルクルと変化するんです。
そして、日常の光景なので何の違和感もなかったんですが
その日の父は外出するからとメガネを掛けていて・・・
それが西部警察の大門かよ…
って思われるくらい(実際私の友達には言われてるんですが・・・)
レイバンのサングラスと同タイプの老眼入り近眼眼鏡。
どう見たって・・・
「ヤクザ~♪」
と、私が心の中で呟いた言葉を助手席の妹が発した。
そう、小学生の頃よく言われたな~
『お前のオトン、ヤクザやろ~!
○○組の組長や!』って・・・。
ただ、パンチに見える髪型と何を言っているのか分からない言葉に
みんな謎のオッサンだとよく噂していた・・・。
そして、ヤクザだと思ったのか固まったカップル。
我、父を見て
「うー・・・怖い~
ってか、濡れるの嫌や~」
って、まだ言うんかよ…
ってか、全然怖いって思ってないやろ・・・
って思いながらもやっと渡り切った横断歩道。
後方で待っていたおじさんに父は
「おっちゃん、悪かったの~!
渡ってや!」
なんて、笑顔で言ったが時すでに遅し・・・
おっちゃんもヤクザだと思っている様子で
「いえ・・・赤になってしまったんでどうぞ・・・」
と、引きつる笑顔で促し傘でそっと顔を隠してはりました・・・。
この出来事で私が言いたかったのは、
私の父親がヤクザっぽいってことではなく
雨の日に足が濡れるのが嫌だと言って横断歩道を渡ろうとしない、
甘える口調で可愛い子ぶってるくせに
一緒に差してる傘は完全に自分の方へ寄せて
車が来ているのにお構いなしに水たまりを飛び越えられないと・・・
完全に自分しか見えていない彼女の世界観に圧倒され
そういう図太くて他人を一切気にしない女に・・・
私は、なってみたい・・・。
図太いのは多少持ち備えているとしても、
自分の世界に入りこめるその図太さは持ち合わせてないな~って。
他人がどうとか気にせず
自転車を押して左半分ずぶ濡れの彼氏よりも
自分の足が濡れる事を嫌がるそんな女。
絶対に女子からは支持される事もなく、ただただ嫌われるだけだろうけど
こういう女って何故か男に好かれるんだよな~って
そして、こういう女はいい具合にサクっと結婚して
それなりの幸せと生活を手に入れたりするんだろうな~
と、改めて思った一日でした。
その事を帰って来て、姉に話すと
「ってか、ひーやん・・・
そんなキャラになれると思ってるの?
ってか、なりたいの?
ってか、今さら??」
って、心の底から心配そうに問われた・・・。
いや、なろうとは思ってないよ…
ただ、どうやったらなれるんだろうって疑問に思っただけさ・・・。
久しぶりの休日に起こった出来事でした。