『♯8月31日の夜に。』 | 高校日本史テーマ別人物伝 時々amayadori

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高校日本史レベルの人物を少し詳しく紹介する。なるべく入試にメインで出なさそうな人を中心に。誰もが知る有名人物は、誰もが知っているので省く。 たまに「amazarashiの歌詞、私考」を挟む。

○NHKさんよぉ!

 やってくれたな、NHKさんよぉ!

 というわけで、amazarashi 秋田ひろむがNHK Eテレの生放送特番に出演することが決まったそうです。

『♯8月31日の夜に。
 ~2019年夏休み ぼくの日記帳~』

 8月31日(土) 22:00~24:30
 NHK Eテレ

♯8月31日の夜に。 公式サイト

 秋田ひろむはナレーション等での出演ということだが、長尺の番組なので登場はほんの少しかもしれない。でも嬉しいけどねっ!

 更に秋田は番組の特設サイト『2019年夏休み ぼくの日記帳』に、自らが過去に悩み苦しんだ経験を綴った投稿を寄せている。

8月14日(水) 298ページ目


○NHK Eテレ『ハートネットTV』

 この特番の母体番組であるEテレ『ハートネットTV』ではここ数年、マイノリティであること、身体や精神に疾患を抱えていること、人生上の危機に陥っていること、あるいはそこまで行かずとも生活の中でなんとなく感じてしまう「生きづらさ」、をテーマとした特集を定期的に放送してきた。

 特に8月末には新学期の登校を控える10代に向けた特番を組んできた。
 長い夏休みが終わり新学期の最初の登校日、その前後に10代の子ども・若者の自殺リスクが非常に高まる、また不登校が始まることが多いという統計。
 そのデータに基づいてこの時期には『ハートネットTV』の特番を皮切りに、新聞など各メディア上でも青少年の悩みに向き合い支援の情報を提供する動きも見られるように。

 『♯8月31日の夜に。』公式サイトの紹介には

〝10代のみなさんが「学校に行きたくない」「生きるのがつらい」といった気持ちを吐き出し、共有できる場を目指しています。〟

とある。

 その公式サイトの末尾には精神科医・松本俊彦(まつもととしひこ)のコラムが載っている。

松本俊彦コラム 10代のあなたへ・・・

 松本は希死念慮・各種依存症・摂食障害などを専門とし、10代の多感で精神的に不安定になりやすい時期の青少年の自傷行為・自殺願望についての著書も多数出している。







 これら死に至る可能性のある問題に対しての初歩の啓発書の中でも専門的な解説もなされるが、そのほとんどの著作で繰り返される松本の主張がある。

〝人生において最も悲惨なことは、ひどい目に遭うことそのものではなく、それに一人きりで苦しむことだ 〟

 そしてこうも述べる。

〝自傷や自殺する人には、ある共通する行動パターンがある。それは、「つらいときに人に助けを求めない」こと 〟

 ひどい目に遭った時、つらい気持ちでいる時に、それを何らかの形で周囲に伝え、それが受け入れられて共有されればその苦しさはほんの少しでも軽くなる。
 しかしその経験と感情を一人きりで抱え込み、独力でなんとかしようともがき、自身の内へ内へと押し込めようとすると、それは悲惨とも言える苦しみへと悪化していく。

 松本はいくつかの身体的精神的な疾患の根底には上の主張にあるような、その個人が無意識に持つ心のクセ、なぜか一人でなんとかしようとすることを選んでしまう在り方、の課題が隠れていると見ている。

 それは自分の気持ちを自覚できない、自覚できてもそれを自身の内奥に隠してしまい表に出せない、長年をかけて染み着いてしまった根深い気質の問題である。
 「援助を希求する能力」「“助けて”と言える力」の弱さ、低さ。
 それをゆっくりとでも解消していくことが表面に現れる諸々の問題の本当の意味での療法であり、上記の著書ではその解決の一助となる処方の例が多く記されている。


○じゃあ、どうするか

 ではその処方の王道とは何かというと、やっぱりその人の家族や親しい人間との間に、何でも言い合える関係を築いていくことだろうと。
 しかしその一見手っ取り早そうな方法をとることが、とても難しい環境に置かれている人がいるのもまた事実。世の中そんなに簡単には出来ていないようで。

 そこでまた一つの処方として、ほんの呟くほどでも、自分が感じているモヤモヤを安心して吐き出す場があればいい。
 それが『♯8月31日の夜に。』の趣旨である。

 また一方、自身のグチャグチャしてたりトゲトゲしてたりクログロしてたりする内面を、代わりに歌ってくれる歌手なんかがいたらもう、そりゃじっくり聞いちゃいますよねと。
 そんな時こそamazarashi の出番、という訳なのだろうか。

 本人はこう言ってますけどね。

〈僕は君の代弁者じゃない〉
 →『匿名希望』

 まぁまぁそう言わずに。この特番の主旨に合いそうな歌を見繕ってみよう。
 悩める10代に向けて、ということならまずはこの『ジュブナイル』。



 しかし歌詞の一部に、先述の松本の主張とはちょっと食い違う箇所がある。

〈怖いとは言うべきじゃないな
 辛いとは言うべきじゃないな
 どうせ誰も助けてくれない
 それを分かって始めたんだろう〉

 表現者の孤独な戦いを讃えるのはいいが、援助を求めることの否定のニュアンスは出したくないかな。

 ではこの曲ならどうだろう。『あんたへ』。



「歌ネット」『あんたへ』

 あっ、これなら適うか。なにより今苦しんでいることを肯定し励ましてくれているのが良い。

 こんなのもあるよ、『それを言葉という』『名前』。





「歌ネット」『それを言葉という』

 どちらも

〈君は伝える事 諦めてはだめだ
 それを届けて〉
〈何だっていいだろう
 君の話しをまずは聞かせてくれよ〉

 と、声を上げて思いを伝えることを後押しするメッセージが込められている。

 さて番組では秋田ひろむがどう起用されるのかはまだ分からないが、人物紹介で曲のサビくらいは流れてほしいな。

 そしてナレーションの一部を担当するようだが、ファンにとってはライブでのMCやラジオ出演とはまた別の、全国区放送での声の出演。
 あのライブの最中ですら訥々と呟くように言葉を置いていく喋りが、まさかテレビ放送から聞こえてくる日が来ようとは・・・。

 やってくれたなぁ、NHKさんよぅ!
(嬉しくて2回言った)


○9月1日、追記

 オオォォォ・・・。う、歌いおった・・・。しかも『僕が死のうと思ったのは』を・・・。

 番組放送が日付をまたぐ頃、それまで番組に寄せられた声をナレーションしていたamazarashi 秋田ひろむ自身がヌラッと登場し、アコースティック演奏で同曲を歌い上げた!
 もちろん顔出しはナシでお馴染みのシルエットスタイルだが、もしかしてこれは、amazarashi 初のテレビ生出演、生演奏なのではないか!?

 そんな記念すべき初出演が普通の音楽番組ではなく、ハートネットTVという福祉・教育系の番組というのも、なんかamazarashi っぽくて良いと思う。

(余談だが、NHKEテレって今一番攻めてる放送局なんじゃなかろうか。他の放送局よりもはるかに多く濃く、深刻なドキュメンタリーや福祉系の報道番組を組んでるし。)

 選曲も『僕が死のうと思ったのは』と番組内容にこれ以上なく沿ったものである。
 ともすると悲観的、感傷的だとも見られるこの曲を押し出したのには驚いたが、歌い出しこそ〈僕が死のうと思ったのは〉でショッキングだが最後にはラブバラードになるという、これも立派な応援ソングであろう。

 ちなみに歌詞には

〈僕が死のうと思ったのは
 冷たい人と言われたから 〉

とあるが、この〈冷たい人〉とは字義通りには周囲の人に冷たく当たった人だろう。
 だがその人情味のない、つれない振る舞いをしてしまった人の内面に、番組に寄せられたような追いつめられている人間の苦しみがあるとすれば、どうだろう。

 自分の内面がどうしようもなく苦しいから、周りに辛く当たってしまう。しかしその後でかえって自分を責め、また苦しみを深めて。
 そんな自己嫌悪に陥っている時に大切な人から〈冷たい人と言われた〉、そんなすれ違いもまた〈僕が死のうと思った〉理由になりうるだろうか。

 とまれかくまれ。
 ちょっとビックリするくらいけっこう本格的にやってくれおったな!
 なぁ、NHKさんよぉ!(万雷の拍手)