私は多くの日本人に、「投資家マインド」「労働者2.0マインド」を持っていただきたいと思っています。
ビジネスの本質を追い求めない「労働者1.0」の人は、何も考えずに与えられた仕事を行いながら、今後も生活を送ればいい。
ただし、厳しい言い方になりますが、そういった人たちは今後、どんどん貧しくなっていくでしょう。そして先ほど述べた通り、海外旅行もできないという世界が、数十年後には到来していることでしょう。
この貧窮の問題は、子供にそのまま受け継がれます。その原因はお金がないからではなく、「労働者2.0」や「資本家」のマインドを持っていないからです。
自分で考える、ビジネスを自分で組み立てていくというマインドさえ持っていれば、そのマインドは子供に受け継がれます。親を見て子は育つからです。そうすれば、自分の代ではうまくいかなかったとしても、子供の時代に花開くかもしれません。
要は、貧農の差は資本主義が作っているのではなく、その人自身が作っているのです。そのため、まだ日本が世界の中で優位に立っているうちに、実践に移すべきです。
日本は今や1人当たりGで韓国に抜かれようとしています。このまま日本が落ちて行けば、実践しようと思ってもできなくなる。
概念的な話になりますが、「現代のままでいい」というのは退化です。「今安定しているか、これでいい」と思った瞬間に、それは不安定になる。安定=不安定だというパラドックスの世界に、私たちはいるのです。
それが分かった時、それでもあなたは安定を求めますか?
現在の状態に甘んじることなく、地道に自己投資をして、日々の自分の行動を意識しながら「この消費はなんだ」「これを買ったらどうなるのか」と考えて生活をする。そうして、自分自身の価値を付けた方がいいのではないでしょうか。
「構造的に強靭な企業」は、その企業しか作れないようなものを持っていることは述べました。すると、営業利益が上がり続け、世の中の問題を解決しながら株価も上がっていく。
そのような会社のオーナーになることが、そもそも投資のコンセプトです。その考え方は、人間にも通用します。ぜひ多くの日本人に、構造的に強靭なってもらいたい。
まず、誰かにとって付加価値のある人間にならなければ、自分の存在意義が見いだせなくなります。
人は、自分のためだけに生きているわけではありません。それは現在の「鬼滅の刃」ブームを見ても明らかです。誰かのために命を顧みずに戦う姿に多くの人が涙している。結局、「誰かのために」といったものが必要で、自分が裕福になりたいというだけでは続かないのです。
その付加価値を、どのように自分に付けるか。そのうえで、どのように人と違うやり方で勝負できるか。要は、競争優位性をどのように作るか。
実はこれは、高校生などによく聞かれる質問です。
それに対して私の答えは、まず凡庸性の高い基礎力を身につけましょうということです。数学、英語、歴史、哲学などはそのあとの応用的な能力をつけるときに絶対に必要になります。
それに加えて、私はこう伝えます。「あなたは医者になりたいと思っているかもしれないけど、医者の世界でナンバーワンになるのは至難の業です。医者の世界だけで人と違うやり方をしていくのはなかなか難しい。そこで少し目線を変えて、弁護士資格を持ったりしたらどうだろう」と。
要は、別のものと組み合わせることで、競争環境を変えるのです。医者だけの競争環境にするのではなく、弁護士資格を持った医者となると、トップティアになる可能性が高くなるのです。
ビジネスパーソンも別ジャンルののスキルを組み合わせることで、競争環境を変えることができます。そうすることで圧倒的な競争優位性を持つことができるのです。
長期潮流については、まず歴史を学びましょう。過去から大きな流れの中で現在を理解すれば、短期的な話題に右往左往することもなくなるでしょう。
そして、「20年先、世界はこうなっているだろう」と長期的な見立てを自分で持つこと。もちろん、それは仮説です。あたらないかもしれませんが、ファクトに照らして検証しながらアップデートしていくことはできるでしょう。
こうして投資家マインドを持ち、構造的に強靭的な人間になれば、これからの厳しい世の中でも十分に活躍できる人材として生きていけるでしょう。
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