株と並んで日本人に人気の投資に、為替(FX)があります。とくに2000年代には、普通の若者がFXで大儲けをし、六本木ヒルズに住むをいったニュースが宣伝されました。

 

 そうしたこともあって、数々の日本人がFXに参入し、一時期は相場にウィ協を与えるほどになりました。こうした個人投資家メディアは「ミセス・ワタナベ」と呼びました。

 

 

 しかしここまで読んだ方ならおわかりかもしれませんが、FXこそギャンブル、そしてゼロサムゲームです。為替の先行きを当てることができた人を、私は見たことがありませんし、まず不可能でしょう。

 

 1970年代前半、日本はそれまで1ドル=360円だった固定相場制から変動相場制へ移行し、円高が進みました。1995年に1ドル=79円に到達するなど、何度か円高に突き抜けることがあったとはいえ、90年代以降のドル円はおおかた100~110円の±15円というレンジでもみ合っています。

 

 なぜレンジでもみ合うか。これは当然のことで、先進国同士の交換レートが大きく変わることはありえないからです。

 

 1ドル=360円から100円前後にまで円高が進んだのは、後進国だった日本が先進国の仲間入りをしたからです。先進国の仲間入りをした後は当然、レートはもみ合いになる。

 

 

 日本では「1ドル=50円になる」説がたびたび注目を浴びますが、もし1ドル=50円になることがあれば、ドルがそこまで弱くなるほどにアメリカが後進国に滑り落ちているということです。

 

 ですが個人的にが、アメリカが後進国に滑り落ちる確率よりも、日本が再び後進国に滑り落ちる確率の方が高いように思います。

 

 2007年から2012年までの間、いわゆる「アベノミクス」により、ドル円は40円ほど円安方向に動きました。それによりもうかった人も確かにいるでしょう。ですが、それはぐうぜんにすぎません。

 

 つまり、先進国間の為替に関しては「長期トレンド」はほぼありえません。すべての動きが一定レンジの中でのもみ合いに過ぎないため、先行きはランダムにならざるをえないのです。

 

 話はややそれるかもしれませんが、「アベノミクス」に際して、日本人は不満の声を上げてもよかったのではないでしょうか。

 

 それまで1ドル=80円前後で、安く海外旅行に行けたし、」海外で日本人は圧倒的な購買力をもっていました。 ですが、アベノミクスにより通貨価値が7掛け程に目減りし、その購買力を失ってしまいまったのです。

 

  海外だったら暴動が起こっていたかもしれませんね(笑)。

 

 なぜ日本において不満が出なかったと言えば、これはひとえに日本人のマネーリテラシーに問題があります。実際、多くの人が「アベノミクスのおかげで株価が上がった」と喜びました。ですがドル建ての日経平均はそもそもそれほど上がってません。

 

 また、円安のおかげで海外からの旅行者が日本に殺到し、それは一見、いいことのように思えます。ですが、これは日本が素晴らしいからではなく、日本がバーゲンセールだからです。

 

 

 京都をはじめ伝統的な歴史・観光資産を持っている国は、世界にそれほどありません。それを、円安を使って円売りすることが、」持続性を持った戦略とは到底思えません。

 

 先ほど述べたように、今後は円高よりも円安になる可能性の方が高いと思われます。日本人はもう海外旅行に行けなくなる、といったことが起こるかもしれないのです。

 

 初心者はインデックスを買えばいい?

 

 会社で与えられた仕事を行うだけで良しとする労働者1.0」の場合は、インデックスへの投資が一つの解だと述べました。現にインデックス投資は、初心者が始めやすい投資としてよく挙げられます。

 

 インデックス投資が素晴らしいことには、私も同意です。その素晴らしさを説いたチャールズ・エリス「歯医者のゲーム」や、バートン・マルキール「ウォール街のウォーカー」は必読書といっていい。

 

 ただし、インデックス投資であれば何でもいいわけではありません。とりわけ、TOPIX(東証株価指数)に代表される日本にインデックスへの投資は報われないでしょう。S&P500に投資するほうは断然いいです

 

 

 

 長期投資をするときに大切な視点は、それが価値を生むものなのかどうかで、これはインデックス投資も同様です。大切なのは、インデックスを構成している中身なのです。

 

 日本の株式市場は、価値を増幅させない企業を温存させています。

 

 たとえば、地震が原因とはいえ原子力発電所事故を起こした東京電力も、有価証券報告書虚偽記載をした日産自動車も、上場廃止はもちろん二部降格にさえなっていません。その他にも東証一部には、経営状態の怪しいゾンビ企業が数多くあります。

 

 もちろん、東京一部上場のすべてがそうではありません。ただ、メジャーリーガー級の選手もいる一方で、力の衰えたベテラン選手や少年野球の選手もいるといった具合です。

 

 そういった東証一部上場企業の全銘柄を対象としたものがTOPIXです。ゆえに価値を生まず、TOPIXは平成の30年間、ほぼもみ合い状態となっています。

 

 米国では、上場し、それを維持するのすら非常に大変です。

 

 たとえば企業は格付けに従って借り入れの金利が決まり、格付けが低い企業は高い金利を払わなければ、お金が借りられない。ゆえに、融資を受けてビジネスをやるにも、きちんと利益が出せなければ継続できません。

 

 

 そのような状況の中、米国の証券取引所には5000社以上が上場しており、その中の選りすぐりの500社を集めたものがS&P500です。

 

 そしてS&P500は、価値を創出・増大させない企業を外す仕組みになっている。そのためにS&P500は、この30年間で約9倍になっています。

 

 このように説明すれば、初心者や「労働者1.0」の人は盲目的にS&P500に投資しようとなるでしょう。」ですが、それでも自分が何に投資をしているのかは理解しておくべきです。

 

 S&P500とは確かに、アメリカの強い企業の集合体なのですが、この集合体はアメリカのダイナミズムを体現しています。アメリカで次々を起こるダイナミズムの結果ときて、企業の栄枯盛衰があり、優良な会社が残っている。

 

 S&P500インデックス投資するということは、その「枠組み」に投資するということなのです。その「枠組み」は市場全体がバブルに沸くときには、大いにその「バンドワゴン」の中で盛り上がりますが、バブルがはじけると大暴落を起こします。

 

「枠組み」に投資するのであって、個別企業の利益を見極めて投資することではないことから、簡単にバブルに踊ってしまうという欠点をもっているのです。それを理解した上で、S&P500に投資すべきです。

 

 つまり、インデックス投資であろうが、個別株式投資であろうが、「自分で考えた結果、ここに投資した」という結論を持っていただきたい。そして、中身を考えるようになって初めて、「労働者2.0」に近づきます。

 

 そうして長期的に価値を生み出すにかを自分で分析できるようになれば、インデックスではなく個別企業への投資に移行すればいいのです。

 

 いきなり個別企業に投資するのはハードルが高いという方は、価値を生む企業を厳選し、丁寧な説明を行うアクティブファンドに投資することも、学びを得つつ資産を増やすための選択肢になり得ます。

 

 たとえば、私が運用するファンド「おおぶね」シリーズは「労働者2.0」をふやるためにも、和手割れが厳選した企業の投資理由や企業分析プロセスの分析のプロセスを月次レポートやオンラインの報告会で丁寧に伝えています。もちろん、これも「ポジショントーク」です。


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