短期的に儲ける方法はない

 ここまでで、「構造的に強靭な企業」の3要素について、具体的にご理解していただけたと思います。「強靭な構造」を持つ企業の株式を持つと、もう一ついい点があります。それはこれらの企業の場合には、企業価値の「複利」が働くということです。

 企業価値とは、ファイナンス理論的に言えば「その企業が将来に紡ぎだす利益」の現在価値総額です。要は将来、その企業がたたき出す営業利益の流列です。

 

 本当に強くて、投資機会の豊富な企業は、利益の次なる成長のための投資に回していきます。そのため、医業価値が指数関数的に成長することができるのです。

 

 これを「企業価値の複利効果」といいます。

 

 株価というものは、中短期的には企業価値以外の要素、例えば短期的な市場で需給や、ヘッドラインニュースに大いに影響を受けます。

 

 

 しかし長期的には、その企業の「企業価値」に収斂します。」バフェットの師匠であるベンジャミン・グレアムが言っている通り「株式市場は短期的には投票機だが、長期的には計測器」として機能するのです。

 

 このような「構造的強靭な企業」の株式を長期的に保有することは、プラスサムゲームです。株主であるあなたが、その企業価値増大の恩恵を受けるのに、誰か他の人の犠牲はいりません。

 

 ところが、中短期的な株式トレードは違います。

 

 中短期的な売買はゼロサムゲーム

 

なので、あなたがその株価の売買を設けるということは、その売買の相手方が損するをいうことです。さらに言うなら、仲介している証券会社に手数料を取られてる分だけマイナスサムゲームです。

 

 この全体観を理解できれば、中短期で売買することの本質も理解できるでしょう。

 

 本当に「コイントス」で勝ち続けることができるのか。そういったことを謳っている本や記事も多く在りますが、ほとんどの場合が詐欺か、もしくは単なる「まぐれ」です。

 

 私はギャンブルが悪いなどと言う論理的に高尚な人間ではありませんし、むしろ個人的には大好きです。しかしそれを職業にしようとは思いません。単純に分が悪いからです。

 

 投機とかギャンブルは、アドレナリンとドーパミンがどばぁっと出るので楽しいものです。ギャンブルをやっている時のハラハラ感は通常の生活では味わうことができません。娯楽です。自分に時間を消費していると言っても過言ではありません。

 

 

 だから、投機とかギャンブルをやっているときは、「あぁ、今、俺はギャンブルしてて楽しい、アドレナリン出まくり!」と単純に楽しんでほしいのです。

 

 それでお金を儲けられればラッキー程度に思っておいたほうがよいでしょう。実際にある確率では儲かりますし。

 

 ですから、私は仕事ではもっぱら「構造的に強靭な企業」を見極めるという一点に集中し、「企業価値」に複利的増大を時間とともに楽しむことにしています。

 

 本当にい見極めることができるならば、途中で売却して利益確定したりすることが、企業価値増大の福利効果を途中であきらめることになるので、絶対に損です。

 

 会計的に利益か規定をしなければならない機関投資家ならまだしも、年度の決算をする必要の乏しい個人投資家が利益確定をする合理的な意味がわかりません。

 

 このことは、詳しくは第3回で解説きますが、「配当」というものも利益確定の一種ですので、「高配当」を求めて企業を選択するのも考えものです。

 

 配当とは毎年の利益を株主に分配するものです。

 

 しかし前述の通り、そのお金を企業が素晴らしい企業への再投資に回せば、さらなる成長の機会を得て、企業価値を高めることができます。利益大半を配当する企業は、将来的な成長をあきらめているとも言えるのです。

 

 企業価値自体が上がらなければ、長期的に株が上がることはありません。

 

 高配当ばかりに投資する人は、自ら企業価値の福利効果という最強のエンジンを殺してしまっているのです。

 

 こういった「利益確定」「配当」という投資行動が持っている本質的な問題は、ファイナンス理論をしっかり理解しておかないと腹落ちしません。

 

 次回は、上記の「利益確定」を含め、長期投資を阻む3つの壁と、それに対する対処法について言及したいと思います。


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