「外貨建て生命保険」に加入する人が増えています。

 そのせいか、2014年には年間144件だった国民生活センターへの苦情が、2019年には483件と約3倍に増えています。

 外貨建て生命保険とは、保険料を日本円ではなく外貨で支払い、保険や満期金を外貨でもらう保険です。

 なぜ、多くの人が加入するのかと言えば、「低金利の日本では不可能な高利回りの運用ができ、しかもイザというときは生命保険として保険金が支払われる」という謳い文句からでしょう。

 

 円安のときに都合よく死ねない

 たしかに日本と比べて海外の金利はとても高い!

 例えば日本の10年国債の金利は0.019%ですが、アメリカの10年国債金利は1.242%(2021年8月20現在)とその差100倍以上です。

 けれど忘れてならないのは、保険料を日本円ではなく外貨でもらう保険には、常に為替リスクがあることです。

 たとえば1ドル100円のとき100万円分預けた1万ドルは、1ドル120円のときに引き出せば120万円増えますが、1ドル80円のときに引き出せば80万円に目減りします。

 仮に1ドル100円のときに、ドル建ての外貨建て生命保険に1000万円を投入し、死亡時10万ドルの保険金がもらえる契約で加入してたとしましょう。亡くなったとき1ドル100円なら、想定道理1000万円の保険金が出る計算です。

 けれど人はいつ死ぬかわかりません。その時の為替がどれくらいかも決して予想できません。

 死亡時の為替が1ドル120円の「円安」だったら保険金は1200万円になりますが、1ドル80円の「円高」だったら、保険金は予想より200万円も低い800万円になってしまいます。

 生命保険は残された家族の生活を支えるためのものなので、受取額がわからないと計画のめどがたてにくくなってしまいます。

 

 物価上昇に弱い!

 また外貨建て生命保険は普通の生命保険より手数料が高いので、この商品は「売る方にとっては2重手数料が取れるおいしい金融商品」だと言えます。

 しかも、物価は徐々に変わります。今は「1000万円残してもらえたら、あとはなんとかなる」と思っていても、30年後に物価が上がっていたら、今の1000万円が200万円くらいの価値になっているかもしれません。ですからこれはインフレに弱い商品だということも覚えておいた方がいいでしょう。

 以上を理解したうえで契約しないと、あとで後悔することになりかねません。高い利率というメリットだけで判断せず、デメリットもあることも、しっかり理解してください。

 

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