
パンの発酵は、生きた酵母とその持つ酵素の働きによって、香り・味わい・食感が決まります。当店では、自家製ルヴァン種(Lactobacillus sp.、Saccharomyces cerevisiae)にホシノ天然酵母(Saccharomyces exiguus)の酵素を取り込みながら、独自の発酵バランスを生み出す製法を採用しています。さらに、仕上がりの安定性を保つためにごくわずかにイースト(Saccharomyces cerevisiae)を使用し、最適な発酵環境を整えています。
🍞 自家製ルヴァン × ホシノ天然酵母の酵素 – 深い旨味と柔らかな甘み
当店のルヴァン種は、小麦とライ麦由来の酵母(Saccharomyces cerevisiae、Kazachstania humilisなど)と乳酸菌(Lactobacillus sanfranciscensis、Lactobacillus plantarumなど)が共存する発酵種です。これにホシノ天然酵母(Saccharomyces exiguus)を加えることで、ホシノが持つアミラーゼ(α-アミラーゼ、β-アミラーゼ)、プロテアーゼ(ペプチダーゼ)、フィターゼなどの酵素がルヴァン発酵をより穏やかに進め、フルクトースやマルトースなどの糖類が増加し、まろやかな甘みとコハク酸などの有機酸によるコクが加わります。
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ルヴァン種の力:
乳酸菌が糖を代謝して乳酸や酢酸などの有機酸を生成し、pHを低下させることで、雑菌の繁殖を抑え、じっくりと発酵させることで、2-アセチル-1-ピロリンなどの香気成分が生成され、ナッツのような香ばしさとほのかな酸味を生み出します。
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ホシノ天然酵母の酵素:
パン生地のデンプン(アミロース、アミロペクチン)をα-アミラーゼやβ-アミラーゼが分解し、グルコース、マルトース、オリゴ糖などの糖に分解し、メイラード反応やカラメル化反応を促進し、やさしい甘みを引き出します。また、プロテアーゼがタンパク質(グルテン)をペプチドやアミノ酸に分解することで、グルテンネットワークが緩み、ふんわりとした口どけの良い食感になります。さらに、フィターゼがフィチン酸を分解することで、ミネラルの吸収を促進します。
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ルヴァンだけでは得られない丸みのある風味を、ホシノ天然酵母の酵素が支え、乳酸菌と酵母のバランスが取れた発酵により、複雑で奥深い味わいに仕上がります。
🌾 ごくわずかなイースト使用 – 理想の発酵バランスを実現
パンの品質を安定させるために、発酵のコントロールが難しい気候や生地の種類によっては、ごくごくわずかにイースト(Saccharomyces cerevisiae)を加えています。イーストは、グルコースやフルクトースを効率的に代謝し、二酸化炭素を生成することで、パン生地を膨らませる役割を果たします。
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イーストを加えることで、発酵のタイミングを調整し、生地のpHやグルテンの形成をコントロールすることで、一貫した品質のパンを提供するための補助的な役割を果たします。
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過発酵によるグルテンの分解や、不安定な膨らみを防ぎ、食感や風味のバランスを最適化します。
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これにより、ルヴァンとホシノ天然酵母の持つ風味や食感を最大限に活かしながら、安定した焼き上がりを実現しています。
🍞 ひとくちの幸せ、発酵のちから
長い時間をかけて育てたルヴァン種と、ホシノ天然酵母の酵素の力、そしてわずかに加えたイーストが生み出す、繊細な発酵のバランス。発酵の過程で生成されるエステル、アルデヒド、ケトン、有機酸などの多様な香気成分が、複雑で奥深い風味を織りなします。
焼きたてのパンの香ばしさ、噛むほどに広がる優しい甘みと深いコク
そのすべてが、毎日の食卓をちょっと特別にしてくれるはずです。
ぜひ、じっくりと発酵させたパンの奥深い味わいをお楽しみください。