化け猫のmy Pick
『それにしても、生きていて良かった…か』
『いい加減にしろ!』
『お前、明日はアーサーに稽古を付けてやるんじゃないのか?』
『…こんなに酒が美味いと思ったのは久しぶりだ。クラーク、お前とまた飲めて嬉しいよ』
『ふっ、やっと酔いが回ったか?友よ?』
『それに、アーサーが騎士になりたいと…。』
ロデリックは、若干、涙目だ
アーサーが騎士を目指してくれたことが
余程嬉しかったのだろう
ここしばらくは、アーサーとケンカが絶えないと
苦々しく愚痴をこぼしていたものだった
生きて帰れると思った時、私は何度疑ったろうか
これは、私が死ぬ直前に見ている、私に都合のいい
幻ではないのか?それほど幸せな夢だった。
城の前で騎士団に囲まれた時、クラークの安堵した
顔を見た時、やっと現実だと実感できた
プライド第一王女
彼女は間違いなく私の命の恩人だ
だが、感謝はしていない。
感謝してもいけないとも思った
王族を危機に巻き込むくらいなら、
私はあのままがれきに埋もれて
死ぬべきだった
だから、決して感謝してはいけない
プライド様のご機嫌を損ねて
その場で首を刎ねられる結果になろうと
彼女を強く咎める事が私の役割だと思った
しかし、彼女の意見は私とは正反対だった
私は、王族を危機に晒してまで生き残った事に
罪悪感すら感じていた
しかし、彼女は私が生きている事に意味があると
仰った。私が生きている事が、私の愛する者に
とって大きい事だと自覚しろと仰った
そして、クラークを初めとする騎士団の平伏である
あの崩落で死ぬべきだったと考えて
いたのは、私一人だけだったのだと理解した
そして、アーサーまでもが感謝したのだ
アーサーが、俺の為に感謝を?
信じられなかった。口を開けば喧嘩しか
しなかったあのアーサーが、俺を助けてくれて
ありがとうだと?目頭が熱くなった
そして、アーサーは騎士になりたいと言った
何千、何万回夢見ただろう
アーサーは騎士になると言う生き方を
捨ててはいなかった。
そして、突然プライド様に
騎士になれるかと聞いた
なぜ、プライド様に?…混乱はしたが
あのプライド様にだからこそ、息子も
打ち明ける事が出来たのだろう
そして、プライド様は、
無礼で、失言ばかりを繰り返していた
息子の背中を、躊躇なく押して下さった
プライド様は不思議な女性だ
奇襲者相手に、臆せずに立ち向かう
勇敢な振る舞いを見せたかと思えば
王族として立派な慈悲深い発言をなさる
そうかと思えば、わずか11才の女児なの
にスカートが破れた程度で…。
『ぶっ!!』
『とうとう思い出し笑いまで。
プライド様にまた怒られるぞ。さぁ、帰るぞ』
『いや、まだ飲める…。』
『明日にしろ!アーサーにまた嫌われるぞ!』
私は、破顔を隠すのにどれだけ苦労したか
『アーサーは誰よりも強い騎士になるぞ』
『言ってろ、親ばか』
ゲームでは、
騎士団長は絶対に助かりません
クラーク副団長も、プライドのせいで苦労します
騎士団長も、副団長も、アーサーも
今はとても幸せです