トランプが大統領に選ばれた時に、この人を本気で選ぶ人いるの!?とびっくりしたし、
しかも完全に米国有権者の半数が本当に彼を選んだ、という事実に愕然となりました。
同じ空気吸って同じ地域に暮らしていて、普通に教養のある人達が、真っ向から話が噛み合わないレベルで意見が180度違うなんてちょっと考えられないもんね。
タブーな話で食い違う主張なんです。事実なんか1つしかないはずなのに、それも真っ向対立。
すごく表現に弊害があるかも…ですが、感覚的にいえば、日本で『オウム真理教の教えこそが正しい!』と言い切る人が人口の半分もいる、ということが分かったらどうです?しかもその人たち、変な格好しているわけでもなく自分と変わらない感じの一般人なんですよ。人間というのは自分が間違っていない、と思っていても周りが全て違う意見を言いだすと流される、ということが心理学で指摘されていますし。不安になりますよね。
これほどの意見の分断を目の当たりにしたのはOJシンプソン以来です。しかしあの事件の方がまだ分かりやすかった。
OJシンプソンと言えば、サンフランシスコ出身のフットボール選手でした。地元の超スター。
数々の達成記録が残っていて、まごうことなき天才プレイヤーでした。彼が現役のころ私はまだ日本にいたしフットボールにはあまり興味がなかったけど、名前くらいは聞いたことがある、というほど有名選手であったことは間違いない。
SF映画ファンだった私に言わせると
『カプリコン1』で宇宙飛行士の役だった事を思い出します。
1977年撮影、というとまだ現役の時だったんだね。足怪我してた年で。
テリー・サバラスが良かったなぁ〜。
ジェリー・ゴールドスミスの胸をすくようなテーマ音楽が超印象的で今観ても面白い映画です。
とにかくOJシンプソンという人はフットボールというアメリカ正教のヒーローで、背は高いしハンサムで声も魅力的だし、現役引退後はスポーツコメンテーターとか、CMでもよく見る有名人でした。
しかし彼の元妻ニコール・ブラウン(当時35歳)と、その直前に食事していたレストランの店員でサングラス忘れたとの電話を受けてわざわざ届けに来てくれていたロン・ゴールドウィンというウエイター(当時25歳。交際相手だったとも言われている)が1994年の6月12日の夜に玄関先で滅多刺しにされて殺される事件が起きました。
夜に犬を散歩させていた近所の人が、犬が血の匂いに反応してか騒いだために死体を発見。
警察が現場に着くと確かに玄関先に2人の血まみれの死体がありましたが、自宅の2階にはOJとの子供2人が就寝中で発見されたので、事件を知らせるため元夫のOJの家に刑事が出向きました。割と近くに住んでいたようです。呼び鈴を押しても反応がないが、自宅前の路上に駐車されていたOJの車を懐中電灯で照らしてみたところ、シートに血痕が見えたので事件性ありか!?と色めき立ち、その場の判断で令状なしに敷地内に入ったと。そこで家の裏手の狭い通路のところに現場に残されていた手袋のもう片方が落ちていた!という事で、一挙にOJが有力容疑者になりました。以前から何度もニコール・ブラウンが警察にOJにDVを受けている、とか離婚後もストーカー行為を受けている、と相談していて電話記録も残っていたし、滅多刺しという犯行手口も被害者に強い恨みがある人物であろうと思われました。
ニコールには犯罪歴もないし、現場には物取りの形跡はなく、子供も事件に気がつかずに寝ていて無事だったという状況では、被害者と何の接点もない犯罪者の犯行というよりは、まずDV歴のある元夫が疑われるのは当然ではあります。
それで起訴されるので出頭する、と約束した日にOJはハイウェイで逃亡を図り、それがテレビ中継されてもう全米大騒ぎ。
メディアでは連日連夜この殺人事件の話で持ちきり。とうとう裁判の様子も全米でテレビ中継されることになり、私も毎日毎日テレビに釘付けで何ヶ月もずーっと公判の様子を生中継で見ていました。
OJは大金を払って有名な法廷弁護士を何人も雇いドリームチームを結成。
検察側 VS OJ側 の主張の違い
アリバイ: 殺人後に出発できたと結論/殺人のあった夜シカゴに行っていた
証拠品: 自宅の敷地内に片方の手袋を発見/手袋は刑事がわざとOJの自宅に置いたのでは?
血液: 自宅前に駐車した車内シートに血液が付着, 手袋には被害者とOJの血液が付着/刑事がわざと車にOJから採取した血をかけた可能性あり,鑑識の証拠品管理がずさんで信用不可
などなど黒を白にすると評判の敏腕弁護士たちが、普通なら有罪を免れようのない証拠品の数々の手続き上の不備や、ずさんな管理を次々と突いて信用できないと主張。
特に、公判の最後の方になって、証拠品の第一発見者である若手の刑事が黒人のことをニガーと差別的に言っている昔の音声テープを持ってきて、
こいつがOJを貶めるために証拠品を捏造した、と主張。
何と言っても被害者のニコールが白人の女性で元夫のOJが黒人なので事件の全てが人種問題にすり替わってしまった。
グレゴリー・ペック主演の映画にもなった「アラバマ物語(Kill the Mockingbird)」などの名作にもある通り、アメリカでは黒人というだけで無実でも有罪になることが多く、同じ罪でも罪状が重い事が多いのが歴史的な厳然たる事実です。
しかもこの殺人事件の少し前1992年のロサンゼルスでロドニー・キング暴行事件が発生していました。こっちは仮釈放中のキング(黒人)が飲酒運転を見咎められ、カーチェイスの末に車から引きずり出され警官たち(白人)から滅多打ちにされたのです。それを通行人に録画されて世間から注目を集めた。その後過剰暴行で起訴された白人の警官が無罪になったためにロスで大暴動勃発。白人のトラックドライバーが暴徒化した黒人の若者に襲われ車から引きずり降ろされて暴行されました。もう不当判決に対する抗議というイメージではなく、単に放火や略奪をして鬱憤を晴らしていて、それを止めることもできなかった。
その後暴動は飛び火してサンフランシスコやオークランドの商店街も掠奪が起こって被害が拡大したし。
そういう事があった後でのこの殺人事件。弁護士がRace Card「人種問題カード」を切ってきて判決が無罪。
黒人は狂喜乱舞。白人は驚愕、はっきりと分断されてしまった。
そしてその分断の様子がはっきりと映像でアメリカ中に生で拡散された。
日本は本音と建て前があっていやらしい、とかアメリカ人がほざいていた事があったけど、
そっちの方がまだマシだ…少なくとも洗練されていると私は思います。
だって、本音と建て前を使い分けている人は、その両方についての認識がある。
アメリカにあるのは、理想と現実。
ただしアメリカで理想(=建て前)を言っている人は、現実を本音として全く認識していない人がいっぱいいる。それは大抵が白人の上から目線の話だからです。
ポリコレって言うけど、理想を掲げても、それを実現できるのは問題を回避できるほどの財力がある人だけが持つ選択力だなぁと思っちゃいますね。
こっちに来て、最初にびっくりしたのは、通りを一本隔てただけでお金持ちの人が住む地域と貧乏人が住む地域が歴然と分かれているところがある事です。そしてそれは人種の違いでもあるわけです。金持ちは圧倒的に白人だし、有色人種しか住まない地域というのはつまり貧困地域なのです。私が越してきた頃、ここら辺はやばい地域から少し離れ、金持ちの地域からも少し離れ、と言った中間地域でした。最近ではここらの地域の地価が高騰して、それまで貧乏人しか住んでなかった地域もどんどん買い取られて再開発されて街並みが変わりつつあります。
独身だったら、どこだって住めるよ。誰とでもみんな仲良くできる、安いとこでいいや、とか思ってたとしてもですね、子供が生まれたら、自分の子供をわざわざ家から近いから、と言う理由だけで、そこがドラッグやギャングの問題が日常的にあるとわかっている学校に入れますかね?私がまだ妊娠していない時、地区内で一番近い公立小学校は90%以上黒人の学校で、そこが制服を導入したのです。しかもその理由が、みんな私服だとカフェテリアに忍び込んでくるヤクの売人の見分けがつかないから。制服が買えない人には援助を出すって。小学校ですよ?それ聞いて自分に子供が生まれたら魂売ってでも私立に入れると決心しました。自分はともかく子供の安全と教育程度を保証するのは政府でも地域でもなく、親しかいないって訳です。そこはシビアにならざるおえない。政治的な見地で言えば間違っているとか言われるのかもしれないが、そんなことは知ったこっちゃない。
まぁ、とにかく話が通じないほど意見に違いが出るのは、教育問題でもあると思うんです。
そして金持ちと貧乏人の格差が拡大するにつけ、理想と現実のギャップも広がる。
全く根の深い問題です。