小「りっ、さ、」
「はぁはぁ、だめっ、」
理佐さんになりたかった。
由依さんに求められる理佐さんになってみたかった。
1度でいいから私で満たされて欲しかった。
小「ごめんね、急に呼び出して」
「全然。じゃあ帰りますね、」
小「まっ、て、」
「どうしました?」
小「ひかるは私の事好きじゃないよね?」
「…何言ってるんですか。私たちの関係にそんなのあるわけないじゃないですか。」
小「そうだよね、ごめん。」
「雪降ってるから、気をつけてね。」
「はい。じゃ、」
部屋を出て、マンションの階段をおりていく。
一段一段降りていく度に少し積もった雪に私の跡がついていく。この雪みたいに由依さんにも私が降り積もってしまえばいいのに。理佐さんが見えなくなるくらい。
「はぁ、」
吐き出した息が白く形に残って、名残惜しそうに消える。
私のこの気持ちも消えてしまえばいいのに。
階段を全て降りきった時彼女の声が届いた。
小「ひかる!!!」
「…?」
小「雪、綺麗だね!」
「…そうですね、綺麗です。」
小「それが言いたかっただけ!!」
「ほら、気をつけて帰りなー!!」
「…」
ぶんぶんと上から手をを振る由依さん。
本当は今の言葉も全部理佐さんに言いたかったんでしょ。
理佐さんに重ねてよか、なんて言わなきゃ良かった。
降り積もった雪のように私の想いもどんどん積もっていく。
いつか溶けて消えるまで、その時まで、私は理佐さんで居続けよう。