なんだかんだいいながら前回のレトロ感満載の店に時々行くようになりまして。
そうすると客層にもよそとは違う味が見えてきました。
一見上品な感じにはしているものの、パチもんのバッグから下品さが滲み出ているオバハン。
上下真っ白のいでたちで現れるジジイ。
とにかく小汚いネーチャン。などなど。
やはり店が店なら客も客といったトコロでした。
そんなある日、暇つぶしに魔界組をダラダラ打ちに行った時のことです。
魔界組のシマのカド台のドル箱に菓子パンが入っているのを発見。
この店の客層ならパンで台キープもなんら不思議じゃないので特にそれ以上は気にもせず魔界組を打っていました。
しばらく打っていたんですが、菓子パン台に誰も現れる気配がありません。
パンの袋も開いており、よく見ると少しかじった跡もあります。
どうも掛け持ちで別の台を打っているようです。
こうなると気になってきまして、どんなヤツなのか見てやろうと自分の台そっちのけでしばらく観察することにしました。
一旦トイレに行って帰ってくると、明らかにパンの量が減っていました。
チャンスを逃したこともあり、もうパンに釘付けです。
そしてついに犯人がわかりました。
気もそぞろに打っていた自分の台にブドウができたので、店員を呼んで落としてもらった時のことです。
シマから出ていく時にそのパンを見た店員がどうするのかなと思って見ていると、店員が台の前で立ち止まりました。
長時間の放置なのでいよいよ呼び出し。やっと誰なのかが分かると思っていると…
その店員がパクリッと一口かじって消えて行きました。
………… 店員かよっ!!
前から店員の様子もおかしいとは思ってはいたんですが、まさかドル箱におやつを置いておくとは。
その後もくわえ煙草の店員や、シマの横でずっと競馬新聞を読んでいる店員なども発見。
店員と客、そして店の雰囲気、それらが三位一体でカオスな店作りをしていました。
「最後の昭和のパチンコ屋」と呼びながらも、店内の異様な空気が好きで時々打ちに行くのはやめられませんでした。
「謎の菓子パン」 了