オリジナル小説執筆中 by ぴえる -3ページ目

オリジナル小説執筆中 by ぴえる

オリジナル小説を書いています。ジャンルはファンタジーものや学園ものなどです。

神崎大海。あなたに話がある。彼女は確かにそう言った。
なぜ俺の名前を知っている?誰なんだ一体?知り合いではなかったはずだが。
俺は足を止めて彼女の方に向き直った。やはり知らない子だ。でもどこかで見たような…
俺がそんなことを考えている間も彼女は話を続けていた。
「今この世界で脅威的チカラ、マンダスが増殖を始めている。このままではあと数か月もしないうちにこの世界は崩壊してしまうだろう。」
ちょっと待て。この子は何を言ってるんだ?この世界が崩壊する?SFじゃあるまいし。
そうこう考えているうちに思い出した。今日ゲーセンでナンパされていた子。それが彼女だ。引っかかっていたモヤモヤが解けた俺は彼女に質問をした。
「キミは誰?そしてなぜそんなことを俺に?」
すると彼女はまた早口でまくしたてた。
「私は霧谷咲(きりたにさき)。あなたにはこの世界を救うチカラがある。」
俺に世界を救うチカラだって?そんな馬鹿げた話があってたまるか。俺には他人に自慢出来るような特殊能力は何もない。それは俺自身が一番よく知っている。
俺はそのまま質問を続けた。
「霧谷さんとやら。俺に一体どんなチカラがあるって言うんだ?」
彼女はまた淡々と答えた。
「それはわからない。あなたにソウルリングを覚醒させる能力があることはわかっても、具体的な属性や能力はわからない。」
ソウルリング?なんだそれは?まぁそもそもこんなぶっ飛んだ話をまともに聞く必要なんてないじゃないか。彼女はきっと電波さんなんだ。適当にあしらっておこう。
「そうかい。そうかい。俺なんかでいいなら世界を守るヒーローになってやるよ。今日は遅いからまたなー。」
なんだか難しそうにうつむいている彼女を背に俺は歩き出した。
「…っ!?伏せて!!」
その声があまりにもだったこともあり、俺はその指示にとっさの判断で従った。
その1秒後、いや、もっと短かったかもしれない。頭の上を大きな鎌のようなものが通った。
伏せていなかったら腰あたりから水平に分断されていたかもしれない。
驚きと恐怖で声も出せなかった。そこには大きな鎌を持った、これまた大きな怪物がいた。
動くことさえ出来ない状態の俺に問答無用で追撃が振り下ろされる。動けない。かわせない。もうダメだ。
そう思った次の瞬間、目の前で刃と刃のぶつかる大きな音がした。
「これがマンダス。逃げるなら今のうち。」
俺と怪物の間で鎌を大きな槍で受け止めながら彼女は言った。
そうだ。逃げるなら今しかない。…目の前で自分より小さい女の子が戦っているのにか?女の子に守ってもらって逃げるのか?そんなの男として許されないだろ。それに走って逃げ切れる保証もない。だからって戦うなんて出来るのか?彼女は俺にはチカラがあると言った。
そんなことを即座に考えてから俺は立ち上がって口を開いた。
「誰が…誰が逃げるかよ!どの道助かるかわかんねぇなら戦う方に賭けてやる!」
「契約成立。」
彼女がつぶやくと俺の右手が一瞬青く光った。
右手を見ると中指に銀色の指輪がついていた。
それが何かもわからなかった。それでもなぜか俺は自分のとるべき行動がわかった。
マンダスの鎌が振り下ろされるのと同時に俺は叫んでいた。
「魂の剣(ソウルカリバー)!SET!」
次の瞬間、俺は自分の背丈より大きな青白く光る巨大な剣を両手で持ち、マンダスの鎌を弾いていた。
普段の運動能力じゃありえないようなスピードでマンダスの懐に飛び込み、切りつけていた。
ゴゴゴと重低音を立ててマンダスは消滅し、代わりにマンダスのいたところには黄色く光る珠のようなものがあった。それと同時に剣も消えていた。今のはなんだったんだろう。なぜ武器の出し方がわかったのかもわからない。
その場に立ち尽くす俺に、彼女が近づいてきた。
「それはエレメント。その指輪――ソウルリングにエレメントを吸収させるの。」
光る珠を指して彼女はそう言う。俺は言われるままエレメントに向かって指輪をかざした。
するとエレメントは指輪に吸い込まれるように消えた。
「エレメントはマンダスを浄化させることで手に入る。エレメントを吸収するたびにあなたのチカラは強化される。この世界にはまだまだ多くのマンダスがいる。それをすべて浄化するのが私の使命。」
浄化…そうか。さっきの怪物は俺が浄化したわけか。
「でも私一人のチカラではすべてのマンダスを浄化するなんて到底不可能。だからあなたに協力してほしい。」
「キミとチームを組めってことか?」
「そう。」
俺はこの繰り返される日常に退屈していたし、世界の崩壊もゴメンだ。だったら答えはひとつしかない。
「俺のことはヒロで構わない。よろしくな。」
そう言って手を差し出す。
「これ。マンダスが出現すると教えてくれる。」
手に腕時計のようなものが乗せられる。そういう意味で手を出したんじゃないけどなぁ。まぁいっか。
「それが反応したらすぐに現地に向かって。私もすぐに向かう。」
「へいへい。じゃあな。」
そう言うと彼女は暗闇に姿を消した。
「なぁ、今日カラオケ行かね?」
「…うし、行くか。」
「え…?マジかよ(笑)俺ら受験生だぜ?」
俺の名前は神崎大海(かんざきひろみ)、都内有数の東大進学実績を誇る私立高校の三年生だ。
とは言っても校内での成績は下の下、しかしワースト4で構成される通称『四天王』と呼ばれる名誉なき地位にはギリギリ入れないというなんとも残念ないわゆる凡人だ。
自分からカラオケに誘ったくせに俺の快諾に驚いているコイツは桜木友輝(さくらぎともき)、いわゆる腐れ縁の悪友ってところ。成績は…ムカツくがトップ10に入るほどの秀才。こんな遊び人の頭のスペックを高くするなんて神様の粋な計らいにはイラッとするぜ。
ちなみにウチの高校は中高一貫の男子校。そのせいもあって交友関係は専ら男だけ。彼女いない歴=年齢からくる女性耐性の低さは折り紙つきってわけだ。
とはいえ特にそんなことを気にすることもない『日常』を送っていた。
「んーやっぱ帰って勉強するわ。」
「なんだよ、そっちから誘ったくせに。」
「いやーまさか二つ返事でOKとは思わなかったし(笑)」
「一応受験生だもんなぁー。じゃあ帰るかね、じゃあなー。」
「おう、またなー。」
そう言って友輝と別れ、一人家路についた。
んー、とは言ったもののすぐに帰るのもなー。よし、ちょっと遊んでくか。
とりあえずゲーセンにでも行こう。そう思い、俺はゲーセンに入って目ぼしいものがないか店内を物色し始めた。
「―― くん、あれ取って~♡」カップルの黄色い声に心の中で舌打ちをしながら奥の方へと歩を進める。
「ねぇ、キミ一人?俺と遊ばない?」古臭いセリフが聞こえる。もちろん俺に向けられた言葉ではない。
どうせ女の子がナンパでもされてるんだろう。見ると予想通りいかにも不良といった長身の男が中学生くらいの可愛らしい小柄な女の子に詰め寄っている。
「やめろよ、彼女嫌がってるだろ。」
「なんだお前?やんのか?」
「やめろって言ったんだ。聞こえなかったのか?」
「上等だ!この野郎!」
不良のパンチをヒラリとかわし、反撃のパンチをお見舞いし、横たわる不良。
「大丈夫だったかい?」
「あっありがとうございます。あの…お名前は…」
そんなドラマの見すぎな展開を一瞬で妄想するが、現実の俺にそんな勇気はない。
普通を望み、面倒には首をつっこまない、それが俺のポリシーってやつだ。
そんなわけで…俺にはどうすることも出来ん。さらばだ女の子よ。達者でな。
特にやりたいものも見つからなかったのでそのままゲーセンを後にして今度こそ家路についた。
帰宅すると時刻は午後5時になろうとしていた。7時から塾がある俺は早めの夕飯を済ませて再び家を出た。
普段通りハゲたおっさんの授業をつまらなそうに聞いて、時々居眠りをしながら塾も何事もなく終わった。日常だ。
電車に乗って最寄駅で降り、自宅まで歩く。これも日常だ。
時刻も夜10時を回って、自宅付近には人通りはない…いや、今日はちょっと違うようだ。
暗闇の中に一人の女の子が見える。顔は暗くてよくわからない。まぁ気にすることもないだろう。
「神崎大海。あなたに話がある。」
俺がその子の前を通り過ぎようとしたとき、『非日常』が始まった。