オリジナル小説執筆中 by ぴえる

オリジナル小説執筆中 by ぴえる

オリジナル小説を書いています。ジャンルはファンタジーものや学園ものなどです。

~作品概要~

BATTLE TRICK ~バトリック~
つまらない日常を送っていた普通の高校生、神崎大海。ある一人の少女との出会いが彼の日常を変えていく。
未知の生物「マンダス」を相手に世界を賭けて戦う彼の運命は!
Amebaでブログを始めよう!
彼女がこの世を去ってから5年が経った。
10年前の明日、8月13日。あの日埋めたタイムカプセル――10年後にまた3人でここでと約束したタイムカプセル――あいつはまだ覚えているだろうか。


俺は源雄平(みなもとゆうへい)。中小企業で働くごく普通の22歳。
ガキの頃、俺は親友と呼べる気の合う友人と、初恋の相手とよくつるんでいた。
それも今では昔の話。今じゃもう立派――とはいえないが社会人だ。
明日はその友人たちと埋めたタイムカプセルの約束の日にあたる。
でも誰も来ないかもしれない。親友だったはずのやつとは高校の頃に付き合う友人のグループが変わってからほとんど会ってないし、初恋の彼女は――もうこの世にはいないんだから。
それでも、たとえ一人でも、俺は掘り返しに行くんだ。
あの日埋めたのはただのモノじゃない。思い出と記憶までそこに忘れてきてるんだから。


12日の夜、寝つけなかった俺はギターを弾いていた。
昔はよく3人で弾いてプチ演奏会をしていた。
いつか3人でデビューしようぜ!なんてことも言っていた気もする。
それも今じゃ叶わない夢だ。
急に虚しくなった俺は、ギターを置いて眠りについた。
13日の朝、いつものように起きて仕事に出かける。いたって普通の朝だ。
そして普通に仕事を終えた俺はあの日約束した裏山の大きな木の下に向かった。
日も暮れてきて薄気味悪い山の中を進んでいく。
すると、そこには先客がいた。
「藤井…?」
俺はその先客の名前を呼んだ。
「…源。」
「お前も来たんだな。来ないかと思ったよ。」
「そっちこそ来ないと思ってたよ。もうユイのことなんか忘れてるかと。」
「…忘れられるかよ。お前だってそうだろ?」
「…あぁ。そうだな。」


10年前の今日のこと――
「よーし!各自埋めるものは持ってきたか!?」
「おうよ!ゲンちゃんこそぬかりないかい?」
「たりめーよ!ユイはオッケーか?」
「うん。ちゃんと持ってきたよ。」
「じゃあここに埋めるぞ。テル、そこのスコップ取ってくれ。」
「ほいほい。じゃあ掘るか。ユイ、これ持っててくれ。」
そう言って俺たちはユイに持ってきたものを預けて地面を掘っていく。
「よし、じゃあこの中に入れてくれ。」
各々が未来への荷物をつめた銀色の缶ケースが埋められる。
「源雄平、藤井照彦(ふじいてるひこ)、鈴原唯(すずはらゆい)、俺たちの友情をここに保存する!10年後の今日、またここで3人で掘り返そう!約束だ!」
「おう!」「うん!」


――「お前は今何してんだ?」
久々に会った友人に言う定番のセリフを言ってみた。
「普通にサラリーマンだよ。お前は?」
「俺もだ。あの頃は俺は特別だ!って思ったりしてたけどな。今じゃ平々凡々だ。」
「でもその平々凡々すら出来ない人間だっているんだよな。」
「…ユイのことか。」
5年前に亡くなった鈴原唯という俺たちの大切な人。
「3人で掘り返すって約束したのにな。どうしてこうなっちまったんだろうな。」
ユイの死因は病死だった。ある日突然倒れたっきり目を覚ますことはなかった。
だから俺たちはユイに別れを告げることすら出来なかった。
「とりあえずさ、掘り返そうぜ。」
「そうだな。テル、スコップ取ってくれ。」
「ほいほい。…!なんかこんなやりとり前にもあった気がする。」
「思ったより何も変わってないのかもな。テル。」
地面を掘りながら俺はつぶやいた。
「懐かしいな。ゲンちゃん。」
いつしかあだ名で呼ばなくなっていた。
なのに今、自然にそう呼んでいたんだ。
カツン。スコップが何かに当たる。
「おっ、あったあった。」
地面から銀色の箱を取り出す。
「じゃあ開けるぞ。」
ゆっくりとその蓋を開けた。
そこには5つの手紙と小さなケースがあった。
「これは…それぞれが書いた10年後の自分への手紙か。俺は…車の免許取った?だってさ。もっとマシなこと書けっつーの。」
テルが笑いながら言う。
「俺も似たようなもんだな。お酒おいしい?だって。」
俺も笑いながら言う。
「ユイはなんて書いたんだろうな。」
「見てみるか。」
そう言って俺たちはユイの手紙を開いた。


――10年後の私へ。あなたは今幸せですか?私は今とても幸せです。なぜならゲンちゃんとテルといつも一緒にいられるからです。この幸せは今でも続いていますか?――


さっきまでの笑い声は消えて、代わりに二人分の嗚咽が響いた。
「なに泣いてんだよ。」
「お前だって。」
嗚咽を押し殺して詰り合う。
「あとのやつはなんだろう?」
残り2つの紙と1つのケースを取り出した。
1つ目の紙を開いてみる。

THRII

大きくそう書かれた紙だった。
「これ俺が書いたやつだ。3人のバンド名。」
「スリーって書きたかったのか?スペル間違ってるけど。」
テルがそう言って笑い飛ばす。
そしてもう1枚の紙を開く。
「これ…」
それは楽譜だった。
「これテルが書いたの?」
「いや、俺じゃない。」
「じゃあユイか。お前が入れたのはそのケースってことだよな?何が入ってんの?」
「これか?これは…」
そう言ってケースを開くとそこにはギターのピックがあった。3つ。
「3人でデビューするの夢だったからさ。まぁもう叶わないけど。」
「…俺たちみんな考えてることは同じだったんだな。」
「そうだな。」
「なぁ、テル。その夢叶えないか?」
「お前何言ってんだよ。ユイはもう…」
自分でも何を言ってるのかわからなかった。それでも俺は…
「お前まだギター好きなんだろ?俺もだ。二人でさ、いや、ユイも含めて3人で、やろう。」
「どうやってだよ。」
「ユイの残してくれたもの…その楽譜。それ練習しよう。」
「わかった。じゃあ週末に練習しよう。それまでに俺が歌詞をつけとくから。」
その日はそこで解散した。


週末ギターを持って同じ木の下にやって来た俺たちは練習を始めた。
昔みたいにじゃれ合いながら練習した。
ユイの楽譜が俺たちの時間を取り戻してくれた。


1年後俺たちのCDがショップに並んだ。

THRII 1stシングル「LAST SONG」

他人には意味のわからない最初のLAST SONGだ。
よく聞かれる質問が「2人なのになんでスリー?」「1stシングルなのになんでLAST?」
俺たちは決まってこう答えた。
「気まぐれですよ。」
僕は勇者。今から魔王との最終決戦なんだ。
「魔王よ。これを見よ!」
そう言って僕はあるものを突き出す。
「あんたねえ…」
フッフッフッ。どうやら僕の勝ちのようだな。
「同級生の女の子にエロ本突きつけてくるってどうゆう神経してんの!」
へ?恐る恐る自分の突き出したものを確認する。
「うわああああ!!!こっこれは!違うんだ!」
そこには僕の『秘蔵の本』があった。
「だいたい魔王って何よ!なんであたしが悪役にされてるわけ!?あんたが悪いんでしょうが!」


魔王が何やらネタバレをしてきたので改めて状況を確認しておこう。
僕は勇者――ではなく天童健(てんどうたける)。高2だ。
目の前にいる魔王――もとい金沢優香(かなざわゆうか)は僕の幼馴染だ。
なぜ最終決戦が勃発しているか簡単に説明すると、僕が彼女のノートに水をこぼしてしまい、彼女に代わりのノートを突き出そうとしたのだ。


「まぁいいわ。」
「え!いいの!?」
予想外のお許しに歓喜する僕。
「ノートの件はね。高いもんじゃないしさ。」
「ありがとう優香。ホントごめん!」
「あんたも反省してるみたいだし。でも…これは別件になるから覚悟しなさい。」
そう言って『秘蔵の本』を指さす優香。
「うう…だからそれは…」
泣きそうだ。
「言い訳はいいわ。女の子に向かってこんなもの突きつけといてタダで済むなんて思ってないわよね?」
怖い。恐ろしい。やはり魔王と戦うにはレベルが足りなさすぎたのか。ここはシラを切るしかない。
「いやーそんなもの僕は持っていなかったけどー」
「あっそう。じゃあ燃やしてもいいわよね?」
ライターを点火する魔王。それを見た勇者の反応は、
「ぎゃああああああああああああああ!!!やめてええええええ!!!」
「うっさいわねー。じゃあ選ばせてあげる。燃やされるのと明日から学校でエロ本マニアってあだ名がつくのどっちがいい?」
「燃やしてください。」
即答してしまった。そして僕の『宝』は消えていった。
まぁまだまだあるけどね!


「ねえ健。あんたの家行ってもいい?」
急にそんなことを言う優香。今日は親が出かけてていないから問題なしだ。
「いいよ。親いないし。」
「そう。じゃあ行こう。」
なぜ急にそんなことを言ったのかわからないまま僕の家に来た。
「僕の部屋に行っててよ。お茶入れてくからさ。」
「わかったわ。」
さっきの険悪さはどこにも感じられないほどの普通の状況だ。
しばらくして僕がお茶を持って部屋に入ると、優香が待ち構えていた。
「ちょっとここに正座なさい。」
「はい…」
大人しく従う僕。僕の前にはうず高く『宝』が積まれていた。
「まさかこんなにあるとはね…」
優香がうちに来たいって言ったのはこのためだったのか!
「これも全部燃やすわよ。」
そう言って炎属性の攻撃をしかけようとする。
『GAME OVER』の文字が僕の頭の中に表示された。
「あら?抵抗しないの?」
越えられないレベル差があるのをわかっていてそんなことを言う魔王。
それでも勇者は戦わなきゃいけないんだ。
「やめろおおおお!!!」
「ヤだ。」
勇者の攻撃は見事にかわされ、魔王の攻撃で一撃で沈んだ。
さようなら。僕の『宝』よ。
もう負けるわけにはいかないんだ。
「神風(クイック)!落雷(フォール)!」
俺はこの数日間をすべて修行に充てていた。
「地を這う雷(スネークサンダー)!」
今までに手に入れたチカラ――風・雷・大地を組み合わせることで編み出した技だ。
「これなら…これなら勝てる…!」


「勝機がねぇ…」
――あの後俺は抵抗することも出来ずに気絶していた。
「その程度のチカラなら殺す価値もないな。あぁそうだ。こっちの女は預かっておこう。」
目を覚ますとそこには咲――霧谷さんの姿も、例の男の姿も、マンダスの姿もなかった。
自分にチカラがないせいで世界も、仲間も護れなかった。
だが俺は死んでいない。生きているんだ。まだやれることはある。
それから俺は休むこともなく修行に励んだ。そしていくつかの技を編み出した。


ピピピっ…腕時計が鳴り響く。
俺はすぐさま目的地に向かった。
マンダスを倒せば例の男がまた現れると信じて。


現れたマンダスはやはりあのときの鎧男だった。
こいつを倒せばヤツが現れる…
「ソウルカリバー!SET!」
鎧男は振り上げた拳で地面を殴りつけた。
「クイック!」
高速移動で相手の背後に回り込む。さっきまで俺の立っていた場所には大きな地割れが起きていた。
「フォール!」
そのまま飛び上がって鎧男の頭上から串刺しにした。
ガシャン。鎧がバラバラになる。
元に戻ろうとする鎧にすぐさま次の攻撃を仕掛ける。
「アウェイク!」
鎧の破片はさらに砕かれ浄化した――
しかしそこにはエレメントは現れなかった。
「どういうことだ…?これはマンダスじゃなかったってことか…?」
「その通りだ。お前が倒したのは単なる鎧にすぎん。」
振り向くと後ろには例の男がいた。
「てってめぇー!咲を返せ!」
「あの子なら無事だ。安心しろ。だが返すことは出来ない。」
「わかった。なら力ずくで奪い返すだけだ!」
そう言って俺は男に切りかかる。
しかし俺の前から男は消え、すでに背後に来ていた。
「遅いな。」
そう言って俺に向かってハイキック――
「へっ。クイック!」
ハイキックをかわして今度は俺が男の背後に回った。
「もうアンタの速さには慣れちまったよ。これで形勢逆転…だな。」