プリパラ夢!! ~二次創作~

プリパラ夢!! ~二次創作~

プリパラの二次創作小説を書く。更新は、毎週月曜日くらいにしていきたいと思っている。思っているだけ。

※このブログには、二次創作、オリジナル設定、キャラクターなどが登場します。

~登場人物紹介~

・雨宮くん
 本作の主人公。アニメでは学校内でいつの間にか南みれぃ風紀委員長の後ろにいる眼鏡少年。委員長より身長が低く、同じ眼鏡をかけている。
 本作ではプリパラに通いソラミスマイルに追いつこうとアイドル活動を行っている。内気で女々しくアイドル好き。かつてそれが理由で迫害を受けたことがある。委員長へ恋愛感情を抱いている。

・にいな(坂上にいな)
 ミルフィーコレクションのオリジナルキャラ。アニメ版では栄子という名でらぁらのファンを行っている。
 本作では、雨宮の幼馴染でありテニス部に所属。アイドルユニットに所属していたが、雨宮と共にアイドルユニットを組み直す。雨宮へ恋愛感情を抱いている。

・ロングラッセ
 にいなの所属していた本作オリジナルのアイドルユニット。名前の由来は適当。なんとなくごろが良かったから。メンバーはにいなの他に、のどか、なぎさ、以上の三人で構成されている。ピンクアクトレスに並ぶ人気アイドル。

・ニワ
 雨宮達の前に現れたスカウトマスコット。しかし、その実体は――

・以下原作同様

 新キャラは出ないと思うが、出現し次第追加予定。


~オリジナル設定~

・校則
 アニメで出てきた校則以外、適当にナンバリングするので、アニメとかぶる場合があるやもしれない。

・アイドルシステム
 3年前までは、プリティーリズムシステムと呼ばれるシステムが使用されていたが、現在ではプリティーパラダイスシステムというシステムが導入され、プリズムシステムは廃止された。

・プリティーリズムシステム
 ダンスとスケートを組み合わせ、歌って滑る演技法を用いたアイドルシステム。

・プリティーパラダイスシステム
 プリパラワールド内でのみ演技が可能。アイドルをランク付けしているシステム。

・セインツ
 構成員は過去プリティーリズムシリーズの主役三人、という設定になっており、プリティーリズムシステム時からアイドル活動をしている。

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 私立パプリカ学園。非常に厳しい校則の下に何人もの優秀な生徒の通う、小中一貫性の学校だ。

 そんなパプリカ学園の中庭に生える大きな木、この木には色々な伝説がある。例えば、この木の下で夕陽を見ながら告白すると必ず成就するとか。

 そして、今雨宮は、その木の下で時が流れるのを待つ。

「ハァ……」

 日はちょうど頭の上辺りに位置している。日が暮れるにはまだまだ早い。

 すると、コツコツ、とゆっくりとこちらへ近づく足音が聞こえ、ドキッとする。

 恐る恐る木の陰から足音のする方を覗くと、背の高い女性、大神田グロリア校長が小型掃除機を肩に乗せ歩いて来ていた。

「くんかくんか……にをぉいますわぁ。プリチケの臭いがぁ!!」

 まずいッ、見つかる!! 舌打ちをしてその場を急いで離れる。

 それは、昼休みが始まって間もなくのことだった。雨宮は鞄から弁当を取り出そうとし、そこで鞄の中にプリチケが紛れ込んでいることに気付いた。もし、鞄を誰かに漁られて見られたら嫌なので、自身のポケットへ移した。

 そして、運悪く食後校長と鉢合わせ、現在逃げているというわけだ。

「だ、だいたい……あの人、なんであんなに体力あるんだろぉ」

 ぜぇぜぇと息をきらせながら、校庭を走る。間違って廊下を走ったら、大変なことになる。

「お待ちなさーい! 雨宮くん!!」

 後ろから迫りくる脅威に怯えながら、脚に鞭打ち回転数を上げる。地面を踏みしめ蹴りあげる。課税の抵抗を受けないように前傾姿勢でダッシュする。

「く、くそぉ」

「雨宮くん!! なぜ、逃げるんですかッ!! お待ちなさい!!」

 振り向かず、一目散に逃げる。入り組んだ場所に入り込み、何とかまく。

「みぃつけましたわぁ!!」

「ッ!?」

 後ろから大きな影が伸びる。

 そんな馬鹿なッ!? 確かにまいたはず。

「さぁ、プリチケを出しなさい!!」

「待って下さい!! ぼ、僕は男ですよ!? プリチケなんて持っている筈が」

「いいえ、男なのにプリパラへ出入りしているという事案は報告されているんですのよ!!」

 レオナの存在を知っているのか。これでは、言い逃れは出来まい。

 ならば、

「あー!! あんなところに、巨大パパのピザがッ!!」

 雨宮はなにもない校長の背後を指さし大声でそう叫んだ。

「な、なんですとぉぉぉぉぉぉ!!」

 校長は見事に騙され後ろを振り向き隙を作った。

 隙を見てその場を離れる。

 そろそろ昼休みが終わるだろう、教室へ戻る為に昇降口へ向かうルートを脳内で描く。

「ハァハァ」

 脳内で道が繋がり、その道をたどる様に昇降口へ向かい、辿り着いたところで、昼休み終了を告げる予鈴が鳴った。

   ☆

 残りの授業を何とか乗り越えて、放課後一目散で風紀委員室へと向かった。

「だはぁ……疲れた」

「お疲れ様。どうしたの? 昼休みもダッシュで駆けこんできていたし」

 先に部屋に来ていて、書類をまとめている南みれぃ風紀委員長が不思議そうに尋ねた。どうやら、昼休み終わりにギリギリで教室に入りこんだのを見ていたようだ。

「お言葉ですが、走っては無いです」

「そうね。失言だったわ。それで、なにがあったの?」

「実は、校長に追われてしまって」

「校長に? それまたどうして?」

 あ……しまった、と思ったが遅かった。

 プリパラへ通っていることは隠したい。

「え、えと……なぜかプリチケの臭いがするって。おかしいですよね」

 笑いながらそう言うと、委員長は眼鏡のレンズを光らせて、こちらに歩み寄る。

「な、なんですか……」

 委員長は自身の顔を雨宮に近づけて、「くんくん」とその匂いを嗅いだ。

「なっ!? ななな、なにしてるんですか!?」

「なにって、プリチケの臭いがするかどうかを確認したのよ」

「わかるわけないじゃないですか、普通の人に!!」

「あら、それの言い草、まるで校長が普通じゃないみたいね」

 普通じゃないだろ、あの人。自分の身長程の髪の毛をカールさせて、手にはいつも小型掃除機。しかも、サイクロン式だから根詰まりしにくい優れモノ。

「多分、にいなさんの臭いが移ったんじゃないかしら?」

「あ~なるほど、そうかもしれませんね」

「なら、別に逃げることないじゃない」

「でも、あの人が追いかけてくるんですよ? 怖いじゃないですか」

「確かにそうね」

 何とかごまかすことが出来、ホッと胸をなでおろす。

「それと、今週の日曜日、暇かしら?」

「え」

「少し、付き合って欲しいのよ」

「つ、付き合うって……え、え?」

 安心しきったところへ、急なデートの申し込みにパニックに陥る。頭の中が真っ白になり、言葉がうまく出ない。

「暇じゃないなら、別に構わないけど。にいなさんと出かける用事とかあるんじゃないの?」

 委員長はからかうように言う。

「ひ、暇です! にいなとは全然、そんなんないですから!」

「そ。じゃぁ、忘れないでね」

 一体、どんな心境の変化があったのか、ふいな委員長からのデートのお誘いに戸惑いながらも、了承した。

 そして、風紀委員室に他のメンバーが集い、活動を始めた。

「雨宮、この書類のチェックお願い」

「わかりました……あ、委員長、ここ小学部の校長の印が必要なんですが」

「え、貰ったと思ったんだけど……悪いけど、行ってもらえるかしら?」

「えぇっ!! え、えと、田中くーん」

「すみません、今から名簿の整理が」

「じゃ、じゃぁ、木村さーん」

「嫌です」

「理由もなく断られた!」

 ぐるっと室内を見渡した後に、再び委員長に目を向けるが、彼女はすでに別の資料に視線を落としていた。

 仕方なく、バッグの中にプリチケをこっそりしまい、書類を校長の元へ渡すべく、廊下に出た。

 廊下を校則に従い歩き、小学部校長室のある小学棟へ渡り廊下を渡る。その足取りはひどく重い。

 小学部校長室に到着し、その扉の前で立ち止まる。深く、深く息を吸い、高まる鼓動を落ち着かせて、コンコンと扉をノックした。

「し、失礼します!」

 扉を開き中へ入る。

 電気の付いていない暗い部屋に、淀む空気。それでいて埃一つない綺麗な部屋。その奥の椅子に座り、こちらに背を向ける大きな身体。

「あぁまみやくん、どぉしてお昼休みはお逃げに?」

 振り向きもせずにそう言う。

「あ、えと……この書類に印を押してもらおうと」

「それでぇ? 逃げていたんですの?」

「い、いえ」

「ま、良いですわ。プリチケの臭いも薄くなりましたし。おそらく他の人の香りが移ったのでしょう」

「はぁ……」

 どうやらやり過ごせたらしく、校長はすんなり書類に印を押してくれた。

「雨宮くん!」

「はい!!」

「もう時期、学園祭……パプリカ祭ですわ」

「そう、ですね……各クラスでの準備が進んでいます」

「風紀が乱れぬように、更に厳重な注意をお願いしますわね」

「は、はい!」

 終始緊張したまま、校長室を後にする。

   ☆

「そっちへ行ったわ!! 追って!!」

「気配を感じ取るのよ!! 叩きこんで上げるわ!!」

 何人もの追手から逃げ、荒い息を殺しながら背を壁に付ける。

「ハァ、ハァ……」

 ――もう少し。もう少しなのに。

「居たわ!! 捕まえて!!」

 暗い路地裏に、カッと強い光が当てられる。

 壁には、鳥の様な影が映し出される。光を浴びるソレは、バサっと飛び立った。
 インストルメンタルバージョンのマイ曲が流れるにいなの部屋で、色紙に延々と「まみぃ」の文字を描く雨宮。

 まみぃというのは雨宮の芸名で、プリパラ内ではこの名前を使用している。ちなみに、ユニット名は【にいな&まみぃ】という仮名で、まだ決まっていない。

「だはぁー!!」

 積み重なる白紙の色紙を半分程消費したころ、雨宮は背中から床に倒れる。

「ちょっと、まだ半分残ってるでしょ?」

「だって、この姿だと、どうも気分はいらなくて」

 雨宮は自身の、いつも現実空間での姿を見ながら言う。なぜ、プリパラワールドで描かずにここ、にいなの部屋で書いているかと言うと、レンタル楽屋が借りられなかったのだ。

 人気アイドルになれば、専用の楽屋が貰えるのだが、雨宮達はそれほど売れているわけではない。しかしながら、マネージャーも務めるマスコット、ニワがサイン渡し会の仕事を貰って来たので、その仕込みをしているわけだ。

 まだ、ソラミスマイルに並べたわけではないが、おそらく真中らぁらと同等、またはそれ以上のランクになっているはずだ。こちらも、だてにアイドル好きをやっていない。どのようにすればウケるのかは研究済みだ。

「じゃぁ、女装すれば良いじゃない」

「そう言う問題じゃなくてさ。アレも、恥ずかしいんだよ?」

「なら、プリパラ行くのやめれば良いじゃない。アンタといるより、ロングラッセといた方がいいね貰えたし」

「それって、他力本願……」

「アンタに言われたくないわよ!!」

「ごもっとも」

 にいなの言う、ロングラッセは専用楽屋を所持していたりと、割と人気がある。近頃はソラミスマイル達の陰に隠れてしまっているが。

 ちなみに、名前の由来を聞いたらはマロングラッセが共通で好きだったからだとか、『ロン=上がり』から出来上がったお菓子などと適当な事を言っていた。

「にしても、にいなの部屋入るの、久しぶりだよね」

「この間も入ったじゃない」

「あの時は、着替えだけじゃん。こうして、ゆっくりするのって小学生低学年以来かな?」

 幼いころは、よく互いの家に遊びに行き遊んでいたが、小学四年生くらいになってからは、互いに気恥かしくなり、そんなことも減った。

「て、ていうか、そんなことより手を動かしなさいよ」

「はーい」

 起き上がり、再び筆を取る。

「それで? なにか進展はあった? 委員長さんと」

「い、いや、別に……。ただ、転入生がいて。ドレッシングパフェのドロシーとレオナが転入してきたんだけど、レオナが男の娘だったんだよ」

「え、なに、あの子男だったの?」

「そう。で、委員長、彼の事見てたんだよね……もしかしたら」

「あぁぁぁぁ!! 女々しい!! んなの、ライバル視してるだけに決まってるでしょ?」

 バシッとにいなに背中を叩かれて、筆が乱れる。

「あわっ!! 一枚無駄になったじゃないか!! ていうか、なんでそんなの協力的なの? 僕の事バカにしないし、ユニット組んでくれるし」

「べ、別に深い意味はないわよ。ただ、アンタを応援してあげてるだけ」

「あー……あぁ、もしかして昔結婚する約束したのを気にして、僕に相手が出来ればこっちが約束を破った事になるから、アタシは平気だもーんって考えだな。気にしなくても良いのに」

「いや、微塵も気にしてない。ていうか、忘れてたわ、そんなこと」

「なんで、そんな冷淡なトーンなの!?」

 鋭く突き刺さる、にいなの声と視線。雨宮はそれから逃げるようにして、色紙に向かう。それから、数時間も経たない内に作業を終了し、雨宮は帰宅する。

「それじゃぁ、また明日の放課後」

「えぇ。多分、アンタの方が早いから、先に入って待っててよ」

「わかった。じゃぁね」

 玄関から出て行く雨宮の背中を見送り、はぁ、と大きくため息をつく。

「最近、帰りが遅いと思ったら……にいな、アンタも隅に置けないわね」

「違うわよ」

 親にからかわれても、強く言い返さない。

「覚えてたんだ」

   ☆

 翌日、プリパラタウンの中央広場のベンチに座り、にいなをぼうっと待つ。

 辺りはいつも通り女の子達でにぎわっている。委員長も先に下校しているので、おそらくタウン内にいると思うのだが、姿が見えないのでプリパラタワーにいるのかも知れない。

 特にすることもなく、暇していると赤いとさかを白い羽毛で包むマスコットが、ふわふわと飛んできた。ニワだ。

「あら、にいなはどうしたニワ? 今日は、急きょプリパラインタビューが入ったニワよ」

「インタビュー? どんなこと聞かれるの?」

「うーん、結成理由とか、アイドルを目指そうとした動機とかかしら? あぁ、緊張で動悸がドーキドキしちゃう!!」

 そんな会話をしていると、そこへにいなが走り寄って来た。

「ゴメン、お待たせ!」

 どうやら、部活が長引いてしまったようだ。まぁ、仕方ないだろう。誰もとがめなかった。

「さぁ、行くニワよ」

 ニワに導かれて、タワーの中へ入り受付を済ませる。エレベータを使い、インタビューの行われる五階へ向かう。エレベータの扉が開き、一歩を踏み出し五階に渡る。

 広く綺麗な廊下を歩き、目的の部屋へ向かう途中、雨宮は足を止める。

「うげっ」雨宮が急に足を止めるので、にいなが雨宮の頭に鼻頭をぶつける。

「ソラミスマイル……」

 その視線の先には、ソラミスマイルのメンバーの後姿が映し出されている。声はかけずに、その背中を見送り、先へ進む。

 そして、五階にある一室でインタビューを受ける。インタビュアーが5、6人程いるが、全員赤井めが姉ぇだった。

 どうやら、インタビューはプリパラTVで放送されるらしく、カメラも数台まわっている。

「うわー緊張してきた。なんか、喉乾いてきたよ、あはは」

「コーラでも買ってくるニワか? それとも、ソーダがいいニワか?」

「……いや、良いよ。ありがとうニワ」

 雨宮は、自分の頬を叩き気を引き締め直す。

「ソーダね、しかりね、しっかりね」

 ニワに背をポンと叩かれて、雨宮はカメラの前に立つ。

「さて、今人気上昇中のにいな&まみぃのお二人に来ていただきました!」

 中央のめが姉ぇさんがマイクをこちらへ向けて尋ねる。

「お二人は、どうしてユニットを結成したんですか?」

「あ、えと……わたしがにいなに組んで下さいって無理言ったんです」

「昔から、まみぃはアタシがいないとダメな、世話の焼ける妹弟みたいな存在でしたから」

「え、そんな風に思ってたの!?」

「アハハ。ですが、にいなさんはロングラッセで活躍中でしたよね?」

 一瞬の間。こんな質問されたら答えにくいだろう。

「アタシは、今でもロングラッセのメンバーだと思っています。彼女達とはプリパラアイドルをになって以来の仲ですから」

「そうですか。では、互いに互いの事をどう思っているかお聞きできますか?」

「アタシは、さっきも言った通り妹のように、弟のように思っています」

 雨宮は、答えに少しつまる。答えるのが気恥かしい。

「……にいなは、わたしにとって、わたしを理解してくれる唯一の存在、です。わたしの事を理解しようとしてくれて、支えてくれる、大切な人です」

 言いながら、顔が真っ赤になるのを感じる。思っている事を外へ出すのは、恥ずかしい。

「では、最後に、今後の目標をお聞かせください」

「これは、もうね?」とにいながこちらに視線を向ける。雨宮も視線を送り返し、頷き合う。

「「皆を笑顔に出来るアイドルを目指します!!」」

 こうしてどうして、なんとか無事にインタビューを終えたのだった。その後、レンタル楽屋で一息入れる。

「はぁ……緊張したぁ。何度やってもインタビューは慣れないわね」

「すらすら答えてた気がするけどね」

「しっかし、アンタがアタシの事をそんな風に思ってたなんて、意外ね」

 にいながからかうように言う。雨宮は顔を真っ赤にして、にいなから顔を背ける。

「さぁ、二人ともライブの時間が近いニワ。早く支度するワよ~!!」

   ☆

 ライブを終えて、合計いいねが15万前後になった。あと少しで「アイドルのげんせき」にランクアップだ。

 プリパラタワーを出て、中央広場へ。そこで、にいなと別れる。なんでも、まだプリパラタウンでやることがあるという。雨宮は風紀委員の名簿チェックを行わなければいけないので、先に帰ることにした。

 タウン出口へ向かう途中、後ろからポンと方を叩かれた。立ち止り、その主を確認すべく振り返ると、眼前にソラミスマイルみれぃの顔があった。

 綺麗な瞳に長いまつげ、キュートな口元とネコ耳の様な髪型が特徴的な美少女。

「キミ、まみぃちゃんぷりね?」

「え、そうですけど、なんで……みれぃさんがわたしに?」

「みれぃ、で良いぷり。それより、まみぃちゃんすごいっぷり! そんなにライブをこなしてるわけじゃないのに、こんなにいいねを貰うなんて、尊敬しちゃうぷり!!」

 ――なんだ、なにが目的だ? 委員長の事だ。なにか計算があってやっているに……いや、やめよう。

 雨宮は、深く考える事をやめる。委員長に裏があるとは思えない。それに、委員長のアイドルへ対する愛は本物だろう。

「この間、私に追いつくって言ったこと、覚えてるぷり?」

「勿論です。ずっと目標でしたから」

「私、待ってる気なんてないぷりよ。計算では、98%の確率でもうすぐソラミスマイルがドレッシングパフェを差し置いて、一番人気のアイドルユニットになるぷり」

「わたし達がソラミスマイルを追い越す可能性は、0%じゃないということですか?」

 みれぃは、コクンと頷いた。

「望むところです」

「あなたの相方の、にいなちゃん。その幼馴染の雨宮くんって知ってるぷりか?」

「名前はたまに聞きますが……」

「私、貴方へのこの宣戦布告を彼に頼もうとしちゃったぷり」

 頼もうとしてくれていたのか。信用されていると思っていいのかな?

 あ、そうか、いつだかチャイムにかき消されたアレ。

「でも、それじゃダメだって気付いたっぷり。私も負けないぷり、だから絶対に追いついて欲しいぷり!」

 カッと頬が熱くなる。

「絶対に!! で、では、失礼します!!」

「待ってぷり!!」

 逃げるように背を向けて、駆けだそうとした雨宮を呼びとめる高い声。

「友チケ、交換するぷり」

「……」

 みれぃは友チケのついたままのプリチケを取りだし言った。こちらも、パキっていないプリチケはある。しかし、

「いつか。いつかあなたに並べて、言いたいことが言えた時に、交換してください。だから、今は」

「わかったぷり。先に進んでるから、ペースを上げて追いつくぷり」

 みれぃは、プリチケをパキることなくケースの中へ仕舞うと、背を向けて広場の方へと戻っていった。

 雨宮は、その反対方向、現実世界へと戻る。いつかその肩を並べられた時……。

 淡い光が身体を包み、雨宮を現実世界へと引き戻す。

 つ・づ・く
「それで……お化け屋敷のお化け当番になっちゃって~」

 渡り廊下に、そんな情けない声が聞こえ、雨宮の前を歩く委員長の足がそちらへ向いた。

 もう、聞きなれたその声。小学部5年生の真中らぁらである。

「あ~本当のお化けが出たらどうしよぉ」

 友人とそんな会話をする真中の前、友人との間に委員長が立ち、紙を一枚取りだす。

「「って、南委員長!?」」

 そして、その二人が委員長の存在に気付いた瞬間、委員長はつらつらと校則第31条を読みあげる。

「生徒は非科学的な事を言ってはならない!! 通算199枚目の違反チケットだから、ゴールデンチケットリーチ!!」

 変わらぬトーンで、少し盛り上げようとしている様な言い方。しかし、何も盛り上がりを感じないし、真中は嬉しくないだろう。

 だが、これは快挙だ。

「いよいよリーチですね、委員長」

 後ろから委員長の顔を覗きこみ、手を叩く。委員長はくいっと眼鏡を押し上げて「ハッピーハロウィン」と言い残すと、その場を去ろうと歩きだす。勿論、雨宮もその後ろへ続く。

 しかし、数歩進んだところで急に委員長が立ち止まるので、彼女の背中に顔をぶつけてしまう。

 ――痛いっ!! 眼鏡が食い込んだッ!!

「ちなみに、ハロウィンとは、秋の収穫を祝い悪霊を追い出すお祭りの事よ」

「為になります!!」

「ちなみに、クリスマスとは――」

「流石です!!」

   ☆

 プリパラハッピーハロウィンチェーンジ

 説明しよう。ハロウィンはとっくに終わったし、特に雨宮くんの出番もないので、これで終わりなのである!! そして、その間になんやかんやでランクが研究生の上まで上がったのである。

   ☆

「おはよう、真中さん」

 朝の登校チェックは、風紀委員のお仕事の一つ。違反登校(送迎の車の校門前駐車禁止など)が無いかを取り締まる。

 そんな朝、委員長が真中の姿を見るなり、嬉しそうに声を掛けた。それもそうだ、彼女の違反をあと一度指導すれば、通算200枚のチケット。新記録だ。

 今のところはセーフだが、まだまだ一日は長い。

「せいぜい気をつけなさい」

 とてもうれしそうだ。

「うえぇぇん、かしこま」

「騒がしい!!」

 そんな声が、我々の会話を引き裂いた。聞き覚えのある、イケメンボイス。囲碁チャンピオンであり、アイドル・ドレッシングパフェのメンバー、東堂シオンだ。

「風紀委員が風紀を乱しては、支・離・滅・裂!!」

「乱してないわ。カツを入れているの!!」

「その通りです!! 委員長は、真中さんの事を思って――」

 存在感を放とうと委員長の弁護をするが、それを遮る眩しい光。

 そのテンションの高さは、とても日本人とは思えない少女が姿を見せた。

「テンションマックス~ ドロシー・ウェストでーす」

「え、ドロシー? ドレッシングパフェの?」

 委員長が、聞く。確か、ドレッシングパフェのドロシー&レオナは双子で、シオンとは学校が違っていた筈だ。つまり、我々の学校にいるわけがない。

「シオンと同じ学校に通った方がなにかと便利そうだしぃ、思い切って家も引っ越して転校してきたんだよ」

 思い切り過ぎだろっ!! あ、ここで声を出せば存在感が……。

 と、自分の中で自分と戦っていると、真中が前に出る。

「ドロシーさん、私です。らぁらです」と、かしこまポーズ(チョキで右目を上下に挿む様なポーズ)を取る。

「アハハ、通りで色気がないわけだ」

「私……みれぃです」

 次に、委員長が頬を真っ赤に染めながら言う。あー、これ完全にこっちの存在忘れてますね。うん。いるんですよ、後ろに。

「うわっ、作り込みすごっ!!」

 確かに、あの作り込みはすごいというか、度が過ぎているというか。かくいう雨宮も女装してプリパラに通っているのだが。

「皆さん、よろしくお願いします」

 と、そこへ遅れてピンク髪の、ドロシーとそっくりの少女が現れ、その場にいた全員が絶句する。雨宮にはその驚きの理由がわからなかったので、しっかり彼女を観察する。

 短めの髪、左目には泣き黒子、青いチェックのネクタイをきゅっと閉め、学校指定のブレザーとズボン。

 ん、ズボン?

「男なの!?」

「……はい」

 レオナは頬を赤くし、委員長はショックが大きかったのか、目から光が失われている。

「でも、男の子でもプリパラに入れるの?」

 真中の純粋な質問。確かに、なぜ男でもプリパラに入れるのか、雨宮本人にもわからない。もしかしたら、心が乙女ならだれでも入れるのかも知れない。

「プリチケも届いてるし、大丈夫」

「私達とおんなじね」

「なら、大丈夫ね。プリパラ憲章12条プリチケの届いた者は何人もプリパラに出入りして良い」

「流石委員長です、プリパラ憲章まで暗記してるなんて!!」

「って、雨宮いたの?」

「いましたよ!!」

   ☆

 そして、中等部1年A組にレオナ・ウェストが転入してきた。

 〝彼〟は委員長の隣の席へ腰掛けた。それを、委員長はちらっと見つめる。

 ――委員長は彼を見ていた! 委員長は彼を見ていた! 委員長は彼を見ていた!!

 休憩時間には、レオナの周りに人だかりが男女問わず出来る。そんな中雨宮は、席に座り彼を見つめる委員長に声をかける。

「委員長、少し良いですか?」

「何かしら」

「明日、予定されている幼稚園児と小学生の交流会についてですが、小学部ボランティアの人数が足りていません。というか、いません」

「まぁ、今までのペースなら……一人は確保しているわ」

「ですが、誘導と準備を一人で行うのは……」

 委員長はぼうっと、人気のレオナをチラッと見ながら、そうね……と呟く。

 おそらく彼女の脳内では複雑な数式が組みたてられているのだろうが、外野である雨宮にはさっぱりわからない。結果が出ると、委員長は顔を上げた。
 
「あと、一人、一緒に集めましょう」

「はい」

 そして、昼休み。早々に昼食を済ませて、いつもの風紀取り締まり巡回のついでに、小学部の教室棟を訪れた。

「委員長――」

「雨宮――」

「「……」」

 二人の声が重なり合った。

「委員長、どうぞ」

「じゃぁお言葉に甘えて。雨宮、今朝の話聞いていた?」

「えと、レオナさんが男だって話ですか?」

「その……プリパラの話」

 プリパラ、ソラミスマイルのみれぃと委員長が同一人物だということか。きっと、彼女は隠していないのだろうけど、ばれるのは恥ずかしいだろう。

「私が、プリパラへ行っていたら変かしら?」

 委員長らしくない言葉に、どう答えるべきか悩む。

「うまく言えませんが、好きなことを好きじゃないと自分に隠すより、好きなことは好きだと自分に明かした方が良いと思います。って、なんの解決にもなってませんね、すみません」

「いいえ、ありがとう。次、雨宮どうぞ」

 小学部五年教室前は到着し、委員長は辺りを見渡しながら言った。

「じゃぁ、僕からも一つ。男がプリパラに行って、女性服を纏いステージに立つのは変だと思いますか?」

「さっき、あなたが言った言葉をそのまま返すわ。それに彼は、ドロシーと同じ格好をしていたから、慣れてるし、プリパラ協会が間違えたのかも知れないわ」

「……なるほど」

「あ、いたいた」

 彼女は話を中断して、ある生徒の元へ駆ける。その生徒、よく真中らぁらと共にいる、なおと呼ばれていた生徒だ。

「なおさん、少し御話しがあるのだけど」

「南委員長、なんですか?」

 なるほど、彼女ならば真面目だし、責任感もありそうだ。

「――えぇ。そう言うことでしたら、よろこんで」

「ありがとう。それじゃぁ、明日の放課後、よろしく頼むわね」

 彼女に約束を取り付けて、廊下を引き返す。渡り廊下を介して中学棟へ入る。

「そう言えば」

「ぐべっ」

 委員長が、廊下で急に立ち止り、いつぞやのように顔を委員長の背中にぶつける。というか、まったく気にしていなかったが、自分は委員長より背が低いのか、と少し肩を落とす。

「貴方、この間プリズムストンで、ロングラッセのにいなさんといたわよね」

「え、はい……幼馴染で、あのときはただの罰ゲームでですね、別にデートをしていたわけじゃないんですよ!」

「そんなことは聞いていないわ。あの日から、ロングラッセが姿を消して、にいなさんだけが別の人とユニットを組んでいるのよ」

 そして、と一拍置いて、

「その別の人――」

 キーンコーンと鈍い鐘の音が、委員長の言葉を中断させる。

「始業五分前よ。教室へ戻りましょ」

 委員長はそう言うと再び歩を進め、教室へ向かった。

 彼女は、一体なんと言おうとしたのかわからない。だが彼女の言う〝別の人〟とは、自分の事だとわかっている。

 もし、彼女に正体が割れたら、決意も虚しく全てが無駄になるだろう。チームを脱退してまで協力してくれたにいなの為にも、ここでばれるわけにはいかない。

   ☆

 翌日。

「校則192条学園創立者像の前でくしゃみをしてはならない!! 通算200枚目ついにゴールデン違反チケットぉ!!」

 いつもより大きく振り被り、思い切り、それでいて優しく真中の額に金に輝く違反チケットを張りつける。

「つ、ついにゴールデンです」

「ゴールデンチケットを貰った生徒は……放課後交流会のボランティアをするべし」

「え、それでいいの? よかったぁ……かしこま☆」

 なるほど、一人というのは、彼女の事だったのか。

 こうして、どうして、色々あったけれどレオナやドロシーなどの協力もあり、交流会は成功を収めた。

 あれ以来、委員長がアノ話しの続きをすることはない。