プリパラ夢!! 第七条  | プリパラ夢!! ~二次創作~

プリパラ夢!! ~二次創作~

プリパラの二次創作小説を書く。更新は、毎週月曜日くらいにしていきたいと思っている。思っているだけ。

※このブログには、二次創作、オリジナル設定、キャラクターなどが登場します。

 私立パプリカ学園。非常に厳しい校則の下に何人もの優秀な生徒の通う、小中一貫性の学校だ。

 そんなパプリカ学園の中庭に生える大きな木、この木には色々な伝説がある。例えば、この木の下で夕陽を見ながら告白すると必ず成就するとか。

 そして、今雨宮は、その木の下で時が流れるのを待つ。

「ハァ……」

 日はちょうど頭の上辺りに位置している。日が暮れるにはまだまだ早い。

 すると、コツコツ、とゆっくりとこちらへ近づく足音が聞こえ、ドキッとする。

 恐る恐る木の陰から足音のする方を覗くと、背の高い女性、大神田グロリア校長が小型掃除機を肩に乗せ歩いて来ていた。

「くんかくんか……にをぉいますわぁ。プリチケの臭いがぁ!!」

 まずいッ、見つかる!! 舌打ちをしてその場を急いで離れる。

 それは、昼休みが始まって間もなくのことだった。雨宮は鞄から弁当を取り出そうとし、そこで鞄の中にプリチケが紛れ込んでいることに気付いた。もし、鞄を誰かに漁られて見られたら嫌なので、自身のポケットへ移した。

 そして、運悪く食後校長と鉢合わせ、現在逃げているというわけだ。

「だ、だいたい……あの人、なんであんなに体力あるんだろぉ」

 ぜぇぜぇと息をきらせながら、校庭を走る。間違って廊下を走ったら、大変なことになる。

「お待ちなさーい! 雨宮くん!!」

 後ろから迫りくる脅威に怯えながら、脚に鞭打ち回転数を上げる。地面を踏みしめ蹴りあげる。課税の抵抗を受けないように前傾姿勢でダッシュする。

「く、くそぉ」

「雨宮くん!! なぜ、逃げるんですかッ!! お待ちなさい!!」

 振り向かず、一目散に逃げる。入り組んだ場所に入り込み、何とかまく。

「みぃつけましたわぁ!!」

「ッ!?」

 後ろから大きな影が伸びる。

 そんな馬鹿なッ!? 確かにまいたはず。

「さぁ、プリチケを出しなさい!!」

「待って下さい!! ぼ、僕は男ですよ!? プリチケなんて持っている筈が」

「いいえ、男なのにプリパラへ出入りしているという事案は報告されているんですのよ!!」

 レオナの存在を知っているのか。これでは、言い逃れは出来まい。

 ならば、

「あー!! あんなところに、巨大パパのピザがッ!!」

 雨宮はなにもない校長の背後を指さし大声でそう叫んだ。

「な、なんですとぉぉぉぉぉぉ!!」

 校長は見事に騙され後ろを振り向き隙を作った。

 隙を見てその場を離れる。

 そろそろ昼休みが終わるだろう、教室へ戻る為に昇降口へ向かうルートを脳内で描く。

「ハァハァ」

 脳内で道が繋がり、その道をたどる様に昇降口へ向かい、辿り着いたところで、昼休み終了を告げる予鈴が鳴った。

   ☆

 残りの授業を何とか乗り越えて、放課後一目散で風紀委員室へと向かった。

「だはぁ……疲れた」

「お疲れ様。どうしたの? 昼休みもダッシュで駆けこんできていたし」

 先に部屋に来ていて、書類をまとめている南みれぃ風紀委員長が不思議そうに尋ねた。どうやら、昼休み終わりにギリギリで教室に入りこんだのを見ていたようだ。

「お言葉ですが、走っては無いです」

「そうね。失言だったわ。それで、なにがあったの?」

「実は、校長に追われてしまって」

「校長に? それまたどうして?」

 あ……しまった、と思ったが遅かった。

 プリパラへ通っていることは隠したい。

「え、えと……なぜかプリチケの臭いがするって。おかしいですよね」

 笑いながらそう言うと、委員長は眼鏡のレンズを光らせて、こちらに歩み寄る。

「な、なんですか……」

 委員長は自身の顔を雨宮に近づけて、「くんくん」とその匂いを嗅いだ。

「なっ!? ななな、なにしてるんですか!?」

「なにって、プリチケの臭いがするかどうかを確認したのよ」

「わかるわけないじゃないですか、普通の人に!!」

「あら、それの言い草、まるで校長が普通じゃないみたいね」

 普通じゃないだろ、あの人。自分の身長程の髪の毛をカールさせて、手にはいつも小型掃除機。しかも、サイクロン式だから根詰まりしにくい優れモノ。

「多分、にいなさんの臭いが移ったんじゃないかしら?」

「あ~なるほど、そうかもしれませんね」

「なら、別に逃げることないじゃない」

「でも、あの人が追いかけてくるんですよ? 怖いじゃないですか」

「確かにそうね」

 何とかごまかすことが出来、ホッと胸をなでおろす。

「それと、今週の日曜日、暇かしら?」

「え」

「少し、付き合って欲しいのよ」

「つ、付き合うって……え、え?」

 安心しきったところへ、急なデートの申し込みにパニックに陥る。頭の中が真っ白になり、言葉がうまく出ない。

「暇じゃないなら、別に構わないけど。にいなさんと出かける用事とかあるんじゃないの?」

 委員長はからかうように言う。

「ひ、暇です! にいなとは全然、そんなんないですから!」

「そ。じゃぁ、忘れないでね」

 一体、どんな心境の変化があったのか、ふいな委員長からのデートのお誘いに戸惑いながらも、了承した。

 そして、風紀委員室に他のメンバーが集い、活動を始めた。

「雨宮、この書類のチェックお願い」

「わかりました……あ、委員長、ここ小学部の校長の印が必要なんですが」

「え、貰ったと思ったんだけど……悪いけど、行ってもらえるかしら?」

「えぇっ!! え、えと、田中くーん」

「すみません、今から名簿の整理が」

「じゃ、じゃぁ、木村さーん」

「嫌です」

「理由もなく断られた!」

 ぐるっと室内を見渡した後に、再び委員長に目を向けるが、彼女はすでに別の資料に視線を落としていた。

 仕方なく、バッグの中にプリチケをこっそりしまい、書類を校長の元へ渡すべく、廊下に出た。

 廊下を校則に従い歩き、小学部校長室のある小学棟へ渡り廊下を渡る。その足取りはひどく重い。

 小学部校長室に到着し、その扉の前で立ち止まる。深く、深く息を吸い、高まる鼓動を落ち着かせて、コンコンと扉をノックした。

「し、失礼します!」

 扉を開き中へ入る。

 電気の付いていない暗い部屋に、淀む空気。それでいて埃一つない綺麗な部屋。その奥の椅子に座り、こちらに背を向ける大きな身体。

「あぁまみやくん、どぉしてお昼休みはお逃げに?」

 振り向きもせずにそう言う。

「あ、えと……この書類に印を押してもらおうと」

「それでぇ? 逃げていたんですの?」

「い、いえ」

「ま、良いですわ。プリチケの臭いも薄くなりましたし。おそらく他の人の香りが移ったのでしょう」

「はぁ……」

 どうやらやり過ごせたらしく、校長はすんなり書類に印を押してくれた。

「雨宮くん!」

「はい!!」

「もう時期、学園祭……パプリカ祭ですわ」

「そう、ですね……各クラスでの準備が進んでいます」

「風紀が乱れぬように、更に厳重な注意をお願いしますわね」

「は、はい!」

 終始緊張したまま、校長室を後にする。

   ☆

「そっちへ行ったわ!! 追って!!」

「気配を感じ取るのよ!! 叩きこんで上げるわ!!」

 何人もの追手から逃げ、荒い息を殺しながら背を壁に付ける。

「ハァ、ハァ……」

 ――もう少し。もう少しなのに。

「居たわ!! 捕まえて!!」

 暗い路地裏に、カッと強い光が当てられる。

 壁には、鳥の様な影が映し出される。光を浴びるソレは、バサっと飛び立った。