難民問題と超能力を授かった青年という異色のSF映画。

ジュピターズ・ムーン

日本では珍しいハンガリー映画ですが、社会派でありSFというか超能力映画であり不思議な映画なのに見ごたえ十分。

セルビアの難民が不法に入国したところを国境警備隊に撃たれた青年が突如超能力に目覚め、また移民から金を受け取り逃がしている医師がこの青年と出会い二人が逃避行をする話ですが、ヨーロッパの難民の情勢が色濃く反映された社会派映画でもあるのです。

青年と一緒に逃げる医師、実は医療事故で病院を追われ、被害者に許しを得るために金が必要。そんな時現れた難民の青年の特殊能力に目をつけ一儲けしようとするロクデナシで、難民の青年を助けるふりをしていたのですが、次第に二人は同志のようになりお互い助け合いながら信頼関係を築き上げ、生き延びていくという様が人間味が溢れていて話もよかったです。

超能力を得た青年もただ飛べるというか浮遊できるというだけ、というあまり役に立ちそうにない能力なのですが、これがビジュアル的にどう撮影したんだろう?っていう新感覚の映像表現に鳥肌が立ちました。
フワッと浮遊しつつ色々な角度で回転したりするんですよ。

と視覚的には不思議に、難民なのでテロが起きた時に容疑者にされるというヨーロッパならではの問題を盛り込んでこの二つが綺麗に融合していました。
ラストのほろ苦い感じも大人のテイスト。

捨て犬たちが人間に牙をむく映画「ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲」の監督なのですが、身近な問題を上手い具合に扱う人なんだなと思いました。

予告編