戦後の時代を生きた聾唖者の世知辛いヒューマンドラマ。

名もなく貧しく美しく

脚本家の松山善三が妻の高峰秀子を主演に迎えた初監督作品。

高峰秀子自身も本当に手話が大変だったと言っているだけ会ってそのなりきりぶりはいつも以上に力がこもっていてよかったのですが内容が世知辛すぎて観ていて重かったです。

聾唖者の高峰秀子が嫁ぎ先の夫が病死して帰されてやがて聾学校で出会った小林桂樹と再婚するも険しい道のりが待っているというあらすじです。

出戻ったらお母さんだけが優しく向かいいれてくれて、意地悪な姉の草笛光子は嫌味ばかりで弟の沼田曜一はチンピラ家業で刑務所に入るもその後、高峰秀子の家財道具を売り払ってまでして金を奪い取る極悪非道っぷり。観ていて切なくなります。

その上ようやく生まれた子供も両親とも耳が聞こえないので運悪く真冬に入った泥棒のせいで凍死してしまって悲しすぎます。新たに生まれた二人目の子も成長するにしたがって耳が聞こえないお母さんが恥ずかしいといって一向になつこうとせず、紙芝居に行くから金をくれというとんでもなくひねくれた子供に成長して本当、高峰秀子にいいことはないのかと言うくらい暗い話題ばかりなのですが子供も小学校高学年になってくるとそういった恥ずかしさもなくなって、今日は友達にお母さんを紹介しようと思って連れて来たんだと言うエピソードでようやくホッとしました。

ラストは引きずる感じですが、だからこその希望という見かたもあるといえばあります。がやっぱり重かったです。