盲目の男とその男に誘拐された女の奇妙な恋愛関係を描いた増村保造監督作品。

盲獣


盲目の彫刻家がマッサージ師として女の家に行く序盤からすでにただならぬ雰囲気を漂わせています。マッサージじゃなくって胸揉んでるじゃん、そりゃ「もう結構です。」って言われますよね。

男は彼のアトリエに女を監禁し彼女の彫刻を作るのですが、触覚(触って)で楽しめるアートを作るという目的がはあるのです。そんな説明をされた女は納得するわけもなく幾度となく逃走をするけど失敗。だけどこの女、そうとう性悪だから男を愛して理解したふりをして今度は母親を嫉妬させて母親のしのから出て行ってくれと仕向ける作戦。
女と母親のプチ嫁姑戦争みたいなのが楽しかったし、このしたたかさが好きですね。しかもこの役の緑魔子しかいないだろうってくらいのはまりっぷりにちょっと惚れました。

そんな母親ともめているうちに一気に急展開。
二人は地下のアトリエで愛し合うようになるのですがやがて普通の愛し方では満足できずお互いを傷つけあうことに悦びを見つけ出す男と女。最後なんて○を○○されながらも「痛いけど気持ちいいー。」ですよ。もう究極です。

マザコン、SM、監禁と当時問題なかったのかな?と思わせるこんな倒錯したラブストーリーが40年前にあったなんてすごいです。「死と処女」のよう登場人物も3人しか出てこなくいところもすごいってこれ、いまのハリウッドでも十分すぎるほど通用する内容だなと思うのでした。

出演者も船越英二、緑魔子、千石規子という豪華なところもさすが増村保造。
本当は名作にしたかったのですがどちらかと言えばカルトですよね。

予告編(地下室のアトリエがすごいことになっています。)