神秘の国・パラグアイ | FELICIDAD~毎日が幸せ~

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仕事、趣味、結婚生活(国際結婚)に関しての
独り言をゆっくりと綴りたいと思います。
…そう、思っていました。
その後地球の反対側へ移住。
仕事も趣味も日常生活も変わりました。
でも、☆ソンモとsg WANNA BE+の音楽を愛することは
全く変わりません(人´∀`)♡

パラグアイで、私はいくつかの不思議な体験をした。
その一つをご紹介したい。

パラグアイでは日本のような
国民皆保険制度が無く、
我々のような一般市民の殆どは
医療保険に加入していない。
つまり、医療費はかなり高くついてしまう。

そんなパラグアイには、
いわゆる「先生」といわれる職種が二つある。
一つはdoctor(ドクトール)、もう一つはmedico(メディコ)と
呼ばれている。

前者doctorは、医学部で勉強し医師免許を持つ医師で、
後者medicoは、医師免許を持たないが、
薬草などの知識を持ち、
それを使って病気を治す、
特殊な能力を持つ人のことを言う。

medicoにかかることは、
パラグアイ人には特別なことではない。
私が驚いたのは、
病院に科別の診療があるように、
medicoにも、整形外科に強い人、内科に強い人・・・
などがあると言うこと。

私は地元の人の紹介で、
何度かmedicoのもとに行ったことがあった。
その中で、一番驚きの体験をお話したい。

ある日目が覚めると、
右手首に痛みがあった。
少し腫脹は見られたが熱感は無かった。
市販の湿布薬を使ってみたが、
一向に良くならない。

痛みはどんどん強くなり、
顔を洗うことさえ痛みで出来なくなっていた。
JICAの職員に相談し、
ちょうど年に一度の健康診断で
首都アスンシオンの病院に行った時に
整形外科にかかり、レントゲンを撮った。
パラグアイで一番よいと言われている病院・・・。

結果、骨には異常は無く、
湿布薬を処方されただけだった。

それでも痛みは続いた。
そんな時、付き合っていた現在の夫が、
いいmedicoがいるから・・・
とその人の家に連れて行ってくれた。

決して裕福とは言えない家に
そのmedicoは住んでいた。
普段は農業を営み、頼まれたときだけ、
診療(?)を行うと言う。

彼の家に着くと、
土で汚れたシャツとズボンを身につけて、
「畑にいたんだよ」
と笑いながらやってきた。
想像よりかなり若い男性だった。
当時の私より年下だった。

そのまま、私だけ彼の小さな部屋に通された。
ベッドと机が置いてあるだけの部屋で、
机の上には葉書サイズの聖母マリアの絵と
白いろうそく。
その前に置かれた椅子に彼と向き合って座った。

「日本人だよね。緊張してる?」
「うん、ちょっと」
「大丈夫だよ。今からちゃんと診るからね」
と言ってにっこり笑いろうそくに火をつけた。

彼はぶつぶつと呟きながら
十字を切った。
その姿を見て、私はちょっと不安になった。
「私、カトリック信者じゃないんだけど、
 大丈夫かな・・・」
なんて変なことを考えていた。

彼はさらに何かを呟きながら、
痛む患部に手をかざし始めた。
その瞬間、とても不思議な感覚を覚えた。
患部が暖かくなったのを感じ、
それと同時にお香を焚いたような、
とてもいい香りがしてきた。

部屋を見渡してもお香が焚かれている様子は無く、
火は目の前の、白いろうそくだけ。
さっきまで何も香らなかったのに、
急にいい香りがするようになった。

その時、急に彼が私に話しかける。
「大丈夫。この痛みは治るって。
 後で、薬草を教えるからそれを飲んでね」
と言って、再びぶつぶつ言い始めた。

しばらくして、彼は静かに言った。
「はい、終わり。
 痛みはなくなるからね」
と笑顔だった。

部屋から出ると、
彼は夫に早口なグァラニー語で
飲む薬草の名前を伝えた。
そして神様から聞いたという言葉も
一緒に夫に伝えたらしい。

説明を聞いた夫は
「良かったね、治るって。
 多分もう痛みが取れてきていると思うけど、
 家に帰る頃には殆ど痛みは感じなくなるだろうって。
 帰りに薬草を買って行こうね」
と私に通訳をして教えてくれた。

ちょっと手首を動かしてみる。
確かに、痛みがぜんぜん違う。
と言うより、動かせなかった手首が
動くようになっていた。

「すごい!痛くない!」
と動かすと、そのmedicoは嬉しそうな顔をした。

お礼を言った後、お金を払った。
一回の診療で当時のレートで100円程の
お金を払うことになっていた。

こんなにすぐに痛みが取れて嬉しかった私は、
medicoに200円程度のお金を払い、
「こんなに良くしてもらったお礼なので、
 受け取ってください」
と言った。

すると、彼は100円分だけ受け取り、
「これだけで十分。
 僕はこれでお金儲けをしているわけではないんだ。
 僕の父も同じ力を持っていたけど、
 父が亡くなって、僕がその力を受け継ぐことが出来た。
 これは、神様の思し召しなんだよ。
 たくさんお金をもらうと、
 この大切な力が無くなってしまうんだ。 
 だから、これだけで十分だよ」
と笑った。

私は何度もありがとうを言った。
その後、時計を見たmedicoは、
「あ、今から高校に妹を迎えに行くんだった。
 遅れちゃう!!じゃあね。
 また痛くなったらおいで」
と言って、手を振って車のほうに走っていった。

とてもあたたかい気持ちになった。

家への帰り道、夫の車で・・・。
言われたとおり、全く痛みを感じなくなっていた。
途中薬草を買って帰った。

「不思議なこともあるんだね」
と夫に話すと、
「そうなんだ。彼の力は本当にすごくて、
 遠くにいる牛の、のどに詰まったオレンジまで
 お祈りで取ってしまうんだよ」
・・・と。
想像できないが、実際に夫が体験したことらしい。

神秘の国、パラグアイ!!

また、その神秘についてのお話をしたいと思う。