季語は「魚氷に上る/うお、ひにのぼる」で、七十二候の一つです。冬、張り詰めていた水面の氷、春になって其処に割れ目が出来、魚が其処を躍り出て氷に上ってしまうことを言います。で、そんな季節なのですから、人の名をすぐに忘れてしまうのです、と言い訳をしているのです。ところでこの句の句末、「忘れ」なのですが、「忘る」には四段活用と下二段活用があり、少し意味が違います。「忘れ」は四段なら已然形、下二段なら未然形・連用形。已然形には無理がありそうですから、下二段の連用形と考えるのが穏当でしょう。とすればこの句、すぐに忘れてしまったことだなあ、くらいの意味合いでしょう。