この句の作句意図は、「花野」に「正装 」という違和感の提示にあります。読み手の持つ筈の違和感を、だって何々なんですもの、と納得させるのが「佇てる」です。読みは「たてる」ですが、単に「立っている」という意味ではなく、「佇」は「たたずむ」です。立ち止まり、じっと立っている、です。「正装の男」は「花野」の情趣の中に居るというよりも、男の思考を妨げるものの無い「花野」なのです。そしてその胸中、そこにこそ「花野」が拡がっているのです。「正装」の場にこれから赴くのか、或いは「正装」の場を今は離れてそこに居るのかは判りませんが、兎に角、「正装」の場は「男」が望んで在るものではないことは間違いないでしょう。