季語は「夏」。切れは句末。
 

少しだけ俳句的な喩について。「民族衣装の待ちし」の「民族衣装」は「民族衣装を着ている人」の意味です。蕪村の「春雨やものがたりゆく蓑と傘」の「蓑と傘」が蓑を着た人と傘を差している人の意味であるように、なのです。
 

そこで「民族衣装」をどう読むか、なのですが、日本の民族衣装ではないでしょうから、異国の人のことでしょう。この句、民族衣装を着た人が横断歩道の信号の替わるのを待っているのだが、それがなんとも夏らしい景であることだ、とでも読めばそれで充分なのですが、「待ちし夏」のフレーズには、民族衣装が待ちに待っていた夏、というニュアンスも間違いなくあります。飯島晴子の「旅客機閉す秋風のアラブ服が最後」ではないですけれど、この「待ちし夏」のフレーズからは熱帯とか亜熱帯とかの国の「夏」に似合う衣装が想起されるでしょう。