季語は「蜘蛛の囲(い)」で兼三夏、蜘蛛の網状の巣のことです。
 

切れは句末、完了・確述の助動詞の終止形に拠ります。
 

風に吹かれて孕む蜘蛛の巣は普通のこと、誰もが知っている光景だと思うのですが、その「風」を「風説」に置き換えたのが此の句のミソです。その結果、「孕む」は「膨らむ」の意味から「身籠もる」「含み持つ」の意味へとズレています。「風説」は辞書に「世間のうわさ。評判。とりざた。」とありますが、良い意味では使われないように思えます。
 

こうして風に吹かれて孕んでいる蜘蛛の巣を見ていると、彼(か)の風説のことを思わざるを得ないのだが、風説も人を得て膨らみ続けてしまうように、そしていつか、風説に拠る破綻が訪れないとは言えないように、この蜘蛛の巣が風に破れてしまうことがあるように…。