季語は「夏暖簾」で兼三夏。
 

切れは句末、季語に拠る体言止めです。句末の切れというと切字「かな・けり」が代表のように言われていますが、名詞の季語に拠る体言止めも「かな・けり」に同等だと思えます。殊にそれが漢字で表記されたとき、見た目にもどっしりとしたものを感じます。
 

この句は「幽明(ゆうめい)(さかい)を異(こと)にする」という慣用句を踏まえ、「幽明のあひ」、即ち死別に際しての幽界と顕界との分かれるところ、其処に夏暖簾を掛けておく、と言っていることになります。言葉遊びにも見えるのですが、「死」というような重いテーマは、その重さを裏へ回してしまって軽く扱ってしまう方が良いことが多い、という気がします。涼しげな夏暖簾をひょいと潜れば其処は冥界、勿論、戻っては来られないのですけれど。
 

この句、作者が如何なる理由で作ったのかは解りませんが、垢抜けした男の思いもしなかった死を、その突然の訃報を、思わないでもありません。