このタイミングで恵方巻きを語る | 大石眞行の玄学ライフ

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大石眞行が占いの観点から日常を観察します。

2月3日は世間では節分らしい。

なぜ、「らしい」などという表現をするのかは以下を読んでいただければご理解いただけるであろう。

 

また近年、この節分に太巻きを食べるという恵方巻という風習が流行っている。

そのルーツには複数の説があるようだが、いずれにせよ、歴史的には極めて近年の風習であることは確かだ。

 

これに対し、恵方という考え方は相当古くからある。

ある時間帯ごとに、ある方位に位置し、吉凶をつかさどる神(星)を方位神殺という。

その中に、一年ごとにある方位に位置し、人間に大きな吉作用を及ぼす歳徳神という神殺がある。

その年、歳徳神の巡る方向を恵方という。

要するに年毎に移動する吉方位である。

この歳徳神は、たとえばサクッと調べてみても、1414年の『暦林問答集』にも既に記載されている。

 

占い的には歳の初めに、その歳の吉方位に向って何かアクションを起こすことは開運効果が見込めると考えられる。

太巻きを食べることに特別な開運の意味があるとは思えないが、非日常のアクションであることは確かであるから開運行動の一つとしても問題はないだろう。

ただ、それは年の初めでなくては意味がない。

要するに節分ではなく、立春でなくては意味がないということだ。

なぜか?

節分は暦的にはまだ前年度、翌日の立春から位置が変わる恵方は、節分の時点では吉方位でも何でもないからだ。

 

さて、一年の切り変わりのタイミングは、多くの占術では立春である。

立春とは冬至から、一年の360分の45ほど離れた時点である。

敢えて単位をつけなかったのは、その単位により暦が違うものになるからである。

 

1、一年という時間の360分の45、つまり冬至から45日と15時間44分ほど後のタイミングを立春とする考え方がある。これを恒気法あるいは平気法という。

 

2、太陽が一年で一周することから、その360分の45、つまり冬至の太陽の位置から角度にして45度移動した地点に太陽が来るタイミングを立春とする考え方がある。これを定気法あるいは実気法という。

具体的に2019年の立春は

定気暦では2月4日12:14

恒気暦では2月5日23:07

となる。

立春の前日を節分と呼ぶならば、

今年の節分は

定気暦では2月3日

恒気暦では2月4日

となる。

 

現在、日本で(あるいは中国でも)採用されているのは2、の定気法の暦である。

定気法は中国では清の時憲暦、日本では江戸時代の天保暦からはじめて採用されたのだが、どちらにしても、上記の『暦林問答集』より後の時代であることは明白である。

では、それ以前はと言えば、1、の恒気暦が採用されていたのである。

 

まとめてみよう。

●現在の恵方巻きなどという習慣には開運的に何の意味もない。

●それでも開運行動の一環として太巻きを食べたいなら節分ではなく立春に恵方を向いて食べればよい。

●恵方が生まれた時代には定気暦は存在せず、恒気暦が使用されていた。

●よって、恵方巻を食べるなら、そのタイミングは恒気暦で算出しなくては意味がない。

 

結論1

縁起かつぎで恵方巻きを食べるなら

2019年は2月5日に食べるべし。

 

結論2

太巻きはいつ食べたって美味しい。

好きな時に食え。