視界の全てが
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そう、長年の夢が叶い、僕は空にいる。
きっかけは、些細なこと。
女の子を、助けただけ。
そんな些細なこと。
でも、それがこんなことになるなんて、あの時の僕は思ってもみなかった。
今、ベルドラント大陸では、大きな戦乱が起こっている。
帝国と呼ばれる軍事国家が、他の国と同じく、覇権戦争に乗り出したからだ。
覇権戦争事態は、何年も昔から起こっていた。
というのも、全てただの国境の小競合い程度な物で、別段、珍しい物でもなかった。
辺境のトルス村では、他人事でしかなく、大人達の噂話や、旅商人から聞く別世界の出来事だった。
そんな大きな出来事に、自分が巻き込まれるなんて思ってもみなかった。
しかも、天翔る騎士となって。
村はいつも平和で、村の周りには緑の平原が広がっている。
村の真ん中にある、教会の鐘の音が、田畑に吸い込まれていく。
そういえば、子どもの頃、真夜中にこっそりと忍び込んで、これでもかってくらい盛大に鳴らして、村長やら、司祭さまに、散々怒られた事もあった。
だから、今でも僕は、鐘楼に近づく事は禁止されている。
丘には羊が放されて、側には老犬のペスがいる。
まったく、冗談のきかないやつで、一度ペンキをブチ撒いて白くしてやった事をいまだに恨んでいるのか、人の顔をみると、親の敵みたいに追っかけてきやがる。
まぁ、飼い主のブランは、どっちが羊で、どっちがペスか見分けがつかなくなった。
って、腹を抱えて笑い転げてた。
あの、風車小屋での事件は今でも語り草だ。
金貸しのミゲルのカツラ伝説。
収穫祭で、あいつが酔っ払って酒を頭から被ったため、干してあったのを早く乾くようにと、風車の羽根で乾かしてあげたのだ。
親切心でしてあげたのに、いっこうに口を聞いてはくれない。
第一、ミゲルがヅラだってことは、村のみんなも知ってるんだ。
それを僕一人悪者扱いしやがって本当心外だ。
雑貨屋のアリーは、僕の初恋の人。
今では狩人のロンと結婚して三人の子どもがいる。
ロンの幸運には、ちょっとだけ恨んだな。
懐かしい、記憶が思い出される。
幼い頃、両親が流行り病で亡くなり、変わり者のジッちゃんに育てられた僕は、村一番の悪ガキとして育ち、隣の村まで悪名が轟く事となった。
誰がそんな話を広めたんだか、全くもってわからない。
ジッちゃんは、若い頃、いろんな国を旅したらしく、色々な国々の事や、出来事を、僕に面白おかしく話してくれた。
ジッちゃんの話す、旅の話はどれも信じられないほど、魅力的で、冒険に満ちており、いつも、話をせがんでは、空想に夢を膨らませていたものだ。
空高くに浮ぶ、龍が住むと言われる島々。
飛行船の技術が発達した今も誰も行ったことは無いと言う。
北の大地の雲の上まで届く尖塔。
南の海の楽園。
東の広大な森林。
王都バルデンに、貿易都市クレスタ。
商人の街や、城壁都市、そういえば、盗賊の町っていうのもあるらしい。
最果ての国の光り輝く宝石の城や、聖地ガルフィーレンズの巨大な大聖堂。
グデルの空中宮殿は、大昔の技術で造られてるらしい。
他にも、ローミアスの大山脈や、ポスガの大滝、ミューエスの砂漠なんかも一度は行ってみたい。
勿論、一番の夢である飛行艇に乗ること以上に素晴らしいことは無いが。
世界に一つだけある飛行艇
テイルスウィーグ
夜明けの明星
その速さや、美しさ、大きさを何度夢見たことか。
空に憧れる者が誰しも乗りたいと夢見る船。
ジッちゃんが一度だけ見たという本物の飛行艇。
聖リグマリアが造ったと言われる船。
あの船ならば、天空に浮ぶ龍の島や、その上にあるといわれる神々の国へも行くことができるかもしれない。
全ての飛行船の礎。
僕の憧れ。
僕の夢。
そんな大冒険をしたジッちゃんが、なんでこんな田舎の村で暮らすことになったのか、何度聞いても、笑って答えてはくれない。
ジッちゃんの様に旅をしてみたいのに、いつもこう言われる。
ちびすけには、まだ早い、と。
これでも、もう十六になるんだ、旅に出た時の知識くらい知っている。
火の起こしかたや、狩のしかた。
飲み水の調達やら、星の見方。
余すとこなくジッちゃんの話を聞いていたのは伊達じゃない。
これでも剣や弓だって使えるんだ。
読み書きだってできる。
東方言語だけじゃなく、北のバルバロ語や、教会聖語。ウルナ語、ヤヌボムス語、ツイード語。
国境の越えかたや、山の越えかた。
全てジッちゃんが教えてくれた。
でも、なんで、反対されるんだ。
少しくらい、自分の孫を信じてくれてもイイじゃないか。
可愛い子には旅をさせろ、という名言もある。
そんなことを思いながら、山での山菜集めをしていたあの日。
あの日、少し休憩しようと小川におりると、女の子が倒れていた。
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そう、長年の夢が叶い、僕は空にいる。
きっかけは、些細なこと。
女の子を、助けただけ。
そんな些細なこと。
でも、それがこんなことになるなんて、あの時の僕は思ってもみなかった。
今、ベルドラント大陸では、大きな戦乱が起こっている。
帝国と呼ばれる軍事国家が、他の国と同じく、覇権戦争に乗り出したからだ。
覇権戦争事態は、何年も昔から起こっていた。
というのも、全てただの国境の小競合い程度な物で、別段、珍しい物でもなかった。
辺境のトルス村では、他人事でしかなく、大人達の噂話や、旅商人から聞く別世界の出来事だった。
そんな大きな出来事に、自分が巻き込まれるなんて思ってもみなかった。
しかも、天翔る騎士となって。
村はいつも平和で、村の周りには緑の平原が広がっている。
村の真ん中にある、教会の鐘の音が、田畑に吸い込まれていく。
そういえば、子どもの頃、真夜中にこっそりと忍び込んで、これでもかってくらい盛大に鳴らして、村長やら、司祭さまに、散々怒られた事もあった。
だから、今でも僕は、鐘楼に近づく事は禁止されている。
丘には羊が放されて、側には老犬のペスがいる。
まったく、冗談のきかないやつで、一度ペンキをブチ撒いて白くしてやった事をいまだに恨んでいるのか、人の顔をみると、親の敵みたいに追っかけてきやがる。
まぁ、飼い主のブランは、どっちが羊で、どっちがペスか見分けがつかなくなった。
って、腹を抱えて笑い転げてた。
あの、風車小屋での事件は今でも語り草だ。
金貸しのミゲルのカツラ伝説。
収穫祭で、あいつが酔っ払って酒を頭から被ったため、干してあったのを早く乾くようにと、風車の羽根で乾かしてあげたのだ。
親切心でしてあげたのに、いっこうに口を聞いてはくれない。
第一、ミゲルがヅラだってことは、村のみんなも知ってるんだ。
それを僕一人悪者扱いしやがって本当心外だ。
雑貨屋のアリーは、僕の初恋の人。
今では狩人のロンと結婚して三人の子どもがいる。
ロンの幸運には、ちょっとだけ恨んだな。
懐かしい、記憶が思い出される。
幼い頃、両親が流行り病で亡くなり、変わり者のジッちゃんに育てられた僕は、村一番の悪ガキとして育ち、隣の村まで悪名が轟く事となった。
誰がそんな話を広めたんだか、全くもってわからない。
ジッちゃんは、若い頃、いろんな国を旅したらしく、色々な国々の事や、出来事を、僕に面白おかしく話してくれた。
ジッちゃんの話す、旅の話はどれも信じられないほど、魅力的で、冒険に満ちており、いつも、話をせがんでは、空想に夢を膨らませていたものだ。
空高くに浮ぶ、龍が住むと言われる島々。
飛行船の技術が発達した今も誰も行ったことは無いと言う。
北の大地の雲の上まで届く尖塔。
南の海の楽園。
東の広大な森林。
王都バルデンに、貿易都市クレスタ。
商人の街や、城壁都市、そういえば、盗賊の町っていうのもあるらしい。
最果ての国の光り輝く宝石の城や、聖地ガルフィーレンズの巨大な大聖堂。
グデルの空中宮殿は、大昔の技術で造られてるらしい。
他にも、ローミアスの大山脈や、ポスガの大滝、ミューエスの砂漠なんかも一度は行ってみたい。
勿論、一番の夢である飛行艇に乗ること以上に素晴らしいことは無いが。
世界に一つだけある飛行艇
テイルスウィーグ
夜明けの明星
その速さや、美しさ、大きさを何度夢見たことか。
空に憧れる者が誰しも乗りたいと夢見る船。
ジッちゃんが一度だけ見たという本物の飛行艇。
聖リグマリアが造ったと言われる船。
あの船ならば、天空に浮ぶ龍の島や、その上にあるといわれる神々の国へも行くことができるかもしれない。
全ての飛行船の礎。
僕の憧れ。
僕の夢。
そんな大冒険をしたジッちゃんが、なんでこんな田舎の村で暮らすことになったのか、何度聞いても、笑って答えてはくれない。
ジッちゃんの様に旅をしてみたいのに、いつもこう言われる。
ちびすけには、まだ早い、と。
これでも、もう十六になるんだ、旅に出た時の知識くらい知っている。
火の起こしかたや、狩のしかた。
飲み水の調達やら、星の見方。
余すとこなくジッちゃんの話を聞いていたのは伊達じゃない。
これでも剣や弓だって使えるんだ。
読み書きだってできる。
東方言語だけじゃなく、北のバルバロ語や、教会聖語。ウルナ語、ヤヌボムス語、ツイード語。
国境の越えかたや、山の越えかた。
全てジッちゃんが教えてくれた。
でも、なんで、反対されるんだ。
少しくらい、自分の孫を信じてくれてもイイじゃないか。
可愛い子には旅をさせろ、という名言もある。
そんなことを思いながら、山での山菜集めをしていたあの日。
あの日、少し休憩しようと小川におりると、女の子が倒れていた。
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