高校生になって、2度目の春。
普段と変わらない学校。
普段と変わらない友達。
普段と変わらない先生。
普段と変わらない生活。
普段と変わらない時間。
いつも同じで、退屈な毎日を過ごしていけるはずだった。
アイツが、来る迄は。
その日は、いつもと同じ様に始まった。
駅で、同じクラスの木下と、坂田と会い、一緒に学校に向かう。
校門の前に、今日もお決まりのストライプのラガーシャツを着た、生徒指導の宮元が、首から笛を下げて立っている。
冬の寒い雪の日でも、同じ柄のラガーシャツを着ていて、一体何着持っているのか、他に服を持っているのか、生徒達の中で七不思議の一つになっている。
毎回思うが、なんで竹刀なんか持って立つんだ。
その内誰かが通報するんじゃないか。
下駄箱で木下達と別れて購買へと向かう。
昨日の授業で、ルーズリーフがなくなっていたのだ。
ルーズリーフを買い、階段を一足飛ばしで駆け上がる。
教室に入り、席に座る。
また、いつもと同じ一日が始まるはずだ。
「ちょっと、晃史聞いた?
新しい先生って、金髪のガイジンだったってさ。よし子が、職員室で見たって。」
右隣の鮎川優里が話しかけてきた。
そういえば、下駄箱の前で女子達が、今日から新しい教師が来るとか、どうとか話してた。
「へぇ。」
「もう、張り合いないんだから。
今から、そんなに無気力で、どーすんのよ。
だから、舞花と上手くいかなかったのよ。」
「それは関係ないだろ?」
春休み前に別れた、彼女を引き合いに出され、少し苛立たしい気持ちになる。
別に俺が無気力だから、別れた訳じゃない。
向こうが、他の男を好きになったから別れたんだと、心の中で毒づく。
「だって、晃史って、いっつも同じ反応じゃん?
へぇ、とか。
ふぅん、とか。
話してるほうが疲れちゃうんだよ。
だから、舞花にふられちゃったんだよ。」
「ハイ、ハイ、よくわかりました。
以後気をつけます。」
「ホント気をつけなよ。
それから、ハイは一回だけよ。
全く、中学の時から変わんないんだから。」
口喧しい、母親の様な口調だが、鮎川とは、中学生の時から同じクラスで、高校でも同じクラス、という腐れ縁だ。
だから、俺に対してずけずけと物を言ってくるし、その中に優しさが含まれているのも分かるが、もう少し、失恋した男子に対する思いやりが、欲しいというのは、贅沢だろうか。
キンコンカンコン。
HRのチャイムが鳴る。
それと同時に、担任の椙山先生が、鮎川が言っていた金髪のガイジンを連れて教室に入ってきた。
「チョーカッコイイ。」
「スゲえ、金髪だぜ。」
クラス中が、ざわめく。
「おーい、静かにしろ、新しい先生の紹介するぞ。
このクラスの副担任と、化学が受け持ちのリチャード・スミス先生だ。
先生は、イギリスのなんとかっていう凄い研究所から、わざわざうちの学校に来てくださった方だ。
そのため、始業式には間に合わなかったが、これからは、同じクラスの仲間として、一緒に学んでいく。
解らない事があったら、なんでも聞くんだぞ。」
「椙山センセ~、なんとかって研究所じゃわかりません。」
「先生っていつもテキトーだよね。」
「カノジョとかって、いるんですか。」
「勉強のことを聞け。勉強のことを。自己紹介するんだから、別にイイだろ。
それじゃあ、スミス先生、お願いします。」
金髪のガイジンが教壇にあがり、流暢な日本語で自己紹介をする。
「リチャード・天城・スミスです。
椙山先生から、先ほど紹介があったのですが、イギリスの王立科学学院というところで、化学の研究をしていました。
そのため、この学校で、化学を受け持つ事になりました。
教鞭を取るのは2年振りになります。
私は、こう見えても、日本人の母がいるので、日本語も話せます。
これから一年間、仲良く勉強していきましょう。
それから、……。
晃史、久しぶり。」
そう、金髪のガイジンは、何を隠そう、俺の従兄弟なんだ。
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普段と変わらない学校。
普段と変わらない友達。
普段と変わらない先生。
普段と変わらない生活。
普段と変わらない時間。
いつも同じで、退屈な毎日を過ごしていけるはずだった。
アイツが、来る迄は。
その日は、いつもと同じ様に始まった。
駅で、同じクラスの木下と、坂田と会い、一緒に学校に向かう。
校門の前に、今日もお決まりのストライプのラガーシャツを着た、生徒指導の宮元が、首から笛を下げて立っている。
冬の寒い雪の日でも、同じ柄のラガーシャツを着ていて、一体何着持っているのか、他に服を持っているのか、生徒達の中で七不思議の一つになっている。
毎回思うが、なんで竹刀なんか持って立つんだ。
その内誰かが通報するんじゃないか。
下駄箱で木下達と別れて購買へと向かう。
昨日の授業で、ルーズリーフがなくなっていたのだ。
ルーズリーフを買い、階段を一足飛ばしで駆け上がる。
教室に入り、席に座る。
また、いつもと同じ一日が始まるはずだ。
「ちょっと、晃史聞いた?
新しい先生って、金髪のガイジンだったってさ。よし子が、職員室で見たって。」
右隣の鮎川優里が話しかけてきた。
そういえば、下駄箱の前で女子達が、今日から新しい教師が来るとか、どうとか話してた。
「へぇ。」
「もう、張り合いないんだから。
今から、そんなに無気力で、どーすんのよ。
だから、舞花と上手くいかなかったのよ。」
「それは関係ないだろ?」
春休み前に別れた、彼女を引き合いに出され、少し苛立たしい気持ちになる。
別に俺が無気力だから、別れた訳じゃない。
向こうが、他の男を好きになったから別れたんだと、心の中で毒づく。
「だって、晃史って、いっつも同じ反応じゃん?
へぇ、とか。
ふぅん、とか。
話してるほうが疲れちゃうんだよ。
だから、舞花にふられちゃったんだよ。」
「ハイ、ハイ、よくわかりました。
以後気をつけます。」
「ホント気をつけなよ。
それから、ハイは一回だけよ。
全く、中学の時から変わんないんだから。」
口喧しい、母親の様な口調だが、鮎川とは、中学生の時から同じクラスで、高校でも同じクラス、という腐れ縁だ。
だから、俺に対してずけずけと物を言ってくるし、その中に優しさが含まれているのも分かるが、もう少し、失恋した男子に対する思いやりが、欲しいというのは、贅沢だろうか。
キンコンカンコン。
HRのチャイムが鳴る。
それと同時に、担任の椙山先生が、鮎川が言っていた金髪のガイジンを連れて教室に入ってきた。
「チョーカッコイイ。」
「スゲえ、金髪だぜ。」
クラス中が、ざわめく。
「おーい、静かにしろ、新しい先生の紹介するぞ。
このクラスの副担任と、化学が受け持ちのリチャード・スミス先生だ。
先生は、イギリスのなんとかっていう凄い研究所から、わざわざうちの学校に来てくださった方だ。
そのため、始業式には間に合わなかったが、これからは、同じクラスの仲間として、一緒に学んでいく。
解らない事があったら、なんでも聞くんだぞ。」
「椙山センセ~、なんとかって研究所じゃわかりません。」
「先生っていつもテキトーだよね。」
「カノジョとかって、いるんですか。」
「勉強のことを聞け。勉強のことを。自己紹介するんだから、別にイイだろ。
それじゃあ、スミス先生、お願いします。」
金髪のガイジンが教壇にあがり、流暢な日本語で自己紹介をする。
「リチャード・天城・スミスです。
椙山先生から、先ほど紹介があったのですが、イギリスの王立科学学院というところで、化学の研究をしていました。
そのため、この学校で、化学を受け持つ事になりました。
教鞭を取るのは2年振りになります。
私は、こう見えても、日本人の母がいるので、日本語も話せます。
これから一年間、仲良く勉強していきましょう。
それから、……。
晃史、久しぶり。」
そう、金髪のガイジンは、何を隠そう、俺の従兄弟なんだ。
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