父が無事に帰宅し、いつもの部屋で穏やかな顔で北枕で寝ていた。ただ、顔にも布団にも白い布がかけられて、部屋はお線香の香り。いつもの景色にそれがあまりに違和感があった。


準備の途中で宗派はどちらですか?と聞かれた。

え?!宗派?

慌てて父の「死んだら見てね」ファイルを開くと

曹洞宗

永平寺

道元

と書かれた紙が墓石契約の書類と共に挟まっていた。


「あ、曹洞宗です」と無事答えることができた。

私たちは父の父母の仏壇を見たことがないため、宗派が全くわからなかったので、このファイルの存在は有難い。どれだけ前から準備してくれていたのか…。

本当に父にはありがとうと頭を下げたい。


葬儀屋さんは本題を切り出した。

葬儀はどのようにいたしますか?と。


お通夜と告別式を行うか告別式のみにするか?

私はきちんとお通夜もあげたいと伝えると2人も賛同してくれた。


葬儀屋さんはお通夜と告別式ならこのコースがオススメですとファイルを広げて説明してくれた。

価格と内容を見比べながら、少々足りないかな?と思われるコースをベースに選び、必要なものや、こだわるものを加えていく方針にした。


葬儀屋さんにはお花が豪華な真ん中より少し上くらいの価格帯のコースを推されたけれど、家族葬なのだからそんなにお花の豪華さにこだわらなくてもよくない?


骨壷はコースについているこちらの白い一般的なものでよろしいですか?とパンフレットを広げてくれた。

骨壷は白い陶器に花の絵柄がついているものや、深い青色に金のラインが入ったものなど色々あった。その中でも透かし彫りの入った青磁のような骨壺が目に止まった。追加料金が七万円!素敵ではあるがずいぶん高い!その隣にあるグリーンの骨壷がなんだかとても父が気に入りそうだ。価格も少し上乗せすれば変更できるのもちょうど良かった。骨壷は父がお骨になったらずっと入っている場所だ。お墓に入るのも骨壷の状態でお墓に入るのだから、父が気に入ってくれそうなものを選べたことで、少し気持ちが軽くなった。


その後も香典返しの品物を選んだり、通夜振る舞いのメニューを選んだりと、葬儀屋さんに促されるままに色々決まっていく。


火葬場の予約をとり、そこから逆算してお通夜と告別式の日にちが決まっていった。