大賞
天牛の瑠璃は宙より賜りぬ
[ 群馬県邑楽郡 小林茜 ]
(評)天牛は「かみきり」と読み、
昆虫のカミキリムシのこと
です。天牛という表記は、
長い触覚が牛の角を思わ
せ空を飛んでくることに
由来すると言います。
この句では、漢字表記によ
る視覚効果を生かしている
のではないでしょうか。
中七下五では天牛の体色
を瑠璃色と表現し
「宙より賜りぬ」と謳いあげ
ています。
「宙」は「そら」と読みました。
音に注目すると一句の中に
「ら行」が散りばめられており
「天」や「宙」につながる明る
い大らかな印象に寄与して
いると思います。
作者の意識を天牛に集中し、
その果てに全宇宙の中で
天牛の存在を捉えて詩的表
現に結晶させた、
珠玉の一句です。
大賞
帰省規制おもひおもひの
意志久し
[ 岐阜県岐阜市 鈴木白湯 ]
(評)新型コロナウイルス感染症は
これまでの私達の価値観を
大きく変えてしまいました。
行動を制限されているので、
帰省することもままなりません。
写真俳句における写真は俳句
と対等の要素です。
俳句で説明してしまいがちな
写真を上手く合わせた良作品です。