・評価:70点
「カジノロワイヤル」から今作まで5作でボンドを演じてきたダニエル・クレイグ。
当初こそあれこれ言われてきたが、原作のボンドに一番似ている点や、アクション面を含め、映画作品としての質の高さに関しては、他俳優が演じたボンドの作品を圧倒的にしのいでいると言える。
華やかさやカッコよさこそ劣るものの、這い上がる強さやしぶとさ、英国作品的なダークな雰囲気に関してほんと彼はマッチしていた。
で、そんな彼が最終作とした今作。
有終の美を飾るに相応しい力作であることに期待したが・・・。
結論としては、その期待に関し、「半分は答えてくれたが半分は裏切られた」
と言ったところだろう。
まず良かった点の最たるものはアクション。こと現代の撮影技術に鍛え上げられたダニエルの肉体を駆使してのパルクールや殴り合いは、他のアクション映画と比べても十分に高水準にある。
冒頭から最後までその点に関しては、ダニエル版ボンド作品にふさわしい完成度だ。
かわるがわる登場するボンドカーのかっこよさとカーアクションも白眉。特に、DB5のかっこよさたるや、車好きなら悶絶確定。
ストーリー面も良い。ネタバレなので書けないが、身をとして愛する者を守ったラストは、ダニエル版ボンドシリーズの集大成を飾るに相応しい見事なものであった。
作品を飾る女性たちも、マドレーヌ役のレア・セドゥー、パロマ役のアナ・デ・アルマスの2人は文句なく美人で魅力的。
とここまでは褒めてきた。大枠では最終作に相応しくはあったが、その割に評価点が低いのにはいくつか見逃せない大きな瑕疵があったからだ。
1つは、多くの人が批判しているようにストーリーやキャラ設定が雑なこと。今回特に、ラスボス役の行動原理や存在意義がいまいちつかめないまま最後まで行ってしまったことは大きな不満点だ。
で、前作のタイトルでありボンドの宿敵であるスペクターの扱いもあんまり過ぎる・・・。
他にもいくつかあるが、まあ、そもそも007自体がストーリー面やキャラ設定面で優れた作品でも何でもないことであり、それはファンは理解していることだろうから、減点とはなっても全体への評価をそうそう貶めるものとはならない。
個人的に許せないのは、ここ10年くらい、いわゆる欧米を席巻する「ポリコレ」による作品の品質や根本的な世界観や積み重ねてきた歴史を踏みにじる行為に尽きる。
ダニエル版ボンドシリーズは今までにない良さも数多くあったが、一方で今までにない決定的にダメな点がこれだ。本来の原作シリーズではありえない、有色人種や性的マイノリティーへの配慮がとにもかくにも、今作の質を貶めている。
Q役の同性愛設定もいかがなものかと思ったが、やはり当初から避難ごうごうであった「黒人女性007」の存在がほんとにもう酷いったらありゃしない。
一体何のために存在するのか。こういう無駄な設定・無駄なキャラのために無駄な場面を作ることとなり、今作は3時間弱の上映時間と相成った。時間が長すぎるという批判も多々あるが、正直こんな腐れた「黒人女性007」やラスボスに絡む描写を削り、あくまでボンドとマドレーヌに絡む物語の描写に注力した方が、今作を考える上で心底良かったと思う。
ほんと、何でこんなことするかな。
つい先日明らかになったスーパーマン新作のバイセクシャル設定もそうだけど、ここまでくると作品への冒涜とすら思う。
もちろんマイノリティーや有色人種への差別はなお続く許されない深刻な問題であり、政治的・社会的な配慮や救済が必要なのもわかる。
が、それをなんでもかんでもエンタメの世界にも持ち込むのだけは、やめてほしいと心底思わずにはいられない。
日本もアメリカも欧州も、格差拡大に対する「縮小路線」への動きを見せている。「ポリコレ」に関しても、それに対する動きが出てきてほしい。観ていてうっとおしいし息苦しくてならない。こういう行為がエンタメに関わる自らの足を引っ張っていることに何故気づかないのだろうか。
・評価:80点
ジョニー・デップ主演。日本においても歴史的な大問題となった「象徴的公害」と言える「水俣病」。
その特徴と惨状とを世界に知らしめることに大きな役割を果たした、
戦争カメラマンとして名声を得ていたユージン・スミスと、その当時の妻、アイリーン・美都子・スミス
を通して「水俣病」を描いた社会派映画。
正直、個人的にジョニー・デップは俳優として好きでもないし、あまり評価もしていない。
ただ、元来の映画好きの要素に加え、学生時代に受けた環境社会学の授業が水俣病であったこと。個人的に写真を趣味にしていること。
各レビューサイトや雑誌での評価が上々であったこともあり観ることにした。
ただし、人気のシネコンであったにも関わらず、観客は自分一人という、久しぶりの「単独鑑賞」となってしまったのは、残念。
既に水俣病が知られてから50年もの月日が経ち、中年世代以降にとっても「教科書で学ぶ過去のこと」
という印象が強いが、この作品を観ると、それがいかに間違いであることを教えられる。
いや、21世になっても、令和になっても、東電の原発問題を筆頭に、日本のみならず、世界においても尚、企業による公害や薬害、過労死、事故死、
といった企業による災厄、いや犯罪行為が減っていない。
人を豊かにするはずの社会活動の一環である企業活動が、人を幸せにしていない現実は、今の日本の格差問題をみても明らか。
今作は「水俣病」だけでない、様々な企業による社会問題を改めて考えさせる強烈な動機となろう。
そういう観点で考えると、非常に優れた作品と言える。
正直、この作品でも、ジョニー・デップであることが分からない彼の見た目とその演技は微妙としか思えない。この人の何が良いのか、いまだに理解できずにいる。
ただ、それとは対照的に、國村準、浅野忠信、加瀬亮、真田広之といった日本人役者の演技が見事。
こと、チッソへの訴訟のリーダーとなった人物を演じた真田の演技と存在感は本当に素晴らしかった。国際的に通用する日本を代表する役者だ。
アイリーンを演じた美波も、その美しさと魅力が際立っていた素晴らしかった・・・。
しかし、だからこその見逃せない瑕疵も少なからずあった・・・。
ロケ地が日本ではなくモンテネグロメイン。セットづくり・映像づくりにかなりの手間暇と資金をかけていること
は明確にわかるが、少なくとも義務教育で学ぶ日本地理の知識程度もあれば、「日本感」があまりないことに、嫌でも気づかされる。
しかし、漁船が少なすぎ。あっても物凄く小さい手漕ぎの船ばかり。エンジン付きの小型船すらないのはいかがなものか?
また、スミス夫婦が来日した序盤に、村の少女をユージンが撮影したが、この子、どうにも日本人には見えない。というか、ハーフでとてもかわいい女の子だが、何故この子をここで出演させる必要があったかの理由が全く分からない。
この子がその1人であるのかはわからなかったが、公害訴訟リーダーの娘?孫?の女の子も日本人には見えなかったのが気になった。
真田広之演じるヤマザキミツオという名で検索しても、彼が外国人女性と結婚していた、どころか、何もわからずじまいであった。
これ、事実でなかったとしたら、何のためにそうしたのかが全く分からない。
映像や作品を通して描いた内容が良かっただけに本当に残念。
しかし、一番残念なのは、こういう作品を「日本人」が「日本」で作らなかったことに尽きる。
イーストウッドの「硫黄島の手紙」でもそう感じたが、
過去の歴史・事実から学び、未来へとつなげていく観点からも、東電問題やコロナ問題で今尚揺れている日本において、「水俣病」を題材とした映画を作ることの意味・意義があったはず。
そういう着眼点を持てない、日本の映画関係者や配給会社は今こそ猛省すべきだと思わずにはいられない。
ジョニー・デップ主演。日本においても歴史的な大問題となった「象徴的公害」と言える「水俣病」。
その特徴と惨状とを世界に知らしめることに大きな役割を果たした、
戦争カメラマンとして名声を得ていたユージン・スミスと、その当時の妻、アイリーン・美都子・スミス
を通して「水俣病」を描いた社会派映画。
正直、個人的にジョニー・デップは俳優として好きでもないし、あまり評価もしていない。
ただ、元来の映画好きの要素に加え、学生時代に受けた環境社会学の授業が水俣病であったこと。個人的に写真を趣味にしていること。
各レビューサイトや雑誌での評価が上々であったこともあり観ることにした。
ただし、人気のシネコンであったにも関わらず、観客は自分一人という、久しぶりの「単独鑑賞」となってしまったのは、残念。
既に水俣病が知られてから50年もの月日が経ち、中年世代以降にとっても「教科書で学ぶ過去のこと」
という印象が強いが、この作品を観ると、それがいかに間違いであることを教えられる。
いや、21世になっても、令和になっても、東電の原発問題を筆頭に、日本のみならず、世界においても尚、企業による公害や薬害、過労死、事故死、
といった企業による災厄、いや犯罪行為が減っていない。
人を豊かにするはずの社会活動の一環である企業活動が、人を幸せにしていない現実は、今の日本の格差問題をみても明らか。
今作は「水俣病」だけでない、様々な企業による社会問題を改めて考えさせる強烈な動機となろう。
そういう観点で考えると、非常に優れた作品と言える。
正直、この作品でも、ジョニー・デップであることが分からない彼の見た目とその演技は微妙としか思えない。この人の何が良いのか、いまだに理解できずにいる。
ただ、それとは対照的に、國村準、浅野忠信、加瀬亮、真田広之といった日本人役者の演技が見事。
こと、チッソへの訴訟のリーダーとなった人物を演じた真田の演技と存在感は本当に素晴らしかった。国際的に通用する日本を代表する役者だ。
アイリーンを演じた美波も、その美しさと魅力が際立っていた素晴らしかった・・・。
しかし、だからこその見逃せない瑕疵も少なからずあった・・・。
ロケ地が日本ではなくモンテネグロメイン。セットづくり・映像づくりにかなりの手間暇と資金をかけていること
は明確にわかるが、少なくとも義務教育で学ぶ日本地理の知識程度もあれば、「日本感」があまりないことに、嫌でも気づかされる。
しかし、漁船が少なすぎ。あっても物凄く小さい手漕ぎの船ばかり。エンジン付きの小型船すらないのはいかがなものか?
また、スミス夫婦が来日した序盤に、村の少女をユージンが撮影したが、この子、どうにも日本人には見えない。というか、ハーフでとてもかわいい女の子だが、何故この子をここで出演させる必要があったかの理由が全く分からない。
この子がその1人であるのかはわからなかったが、公害訴訟リーダーの娘?孫?の女の子も日本人には見えなかったのが気になった。
真田広之演じるヤマザキミツオという名で検索しても、彼が外国人女性と結婚していた、どころか、何もわからずじまいであった。
これ、事実でなかったとしたら、何のためにそうしたのかが全く分からない。
映像や作品を通して描いた内容が良かっただけに本当に残念。
しかし、一番残念なのは、こういう作品を「日本人」が「日本」で作らなかったことに尽きる。
イーストウッドの「硫黄島の手紙」でもそう感じたが、
過去の歴史・事実から学び、未来へとつなげていく観点からも、東電問題やコロナ問題で今尚揺れている日本において、「水俣病」を題材とした映画を作ることの意味・意義があったはず。
そういう着眼点を持てない、日本の映画関係者や配給会社は今こそ猛省すべきだと思わずにはいられない。
・評価:70点
名手、東野圭吾の人気シリーズの第2弾にして劇場2作目。
「ホテルコルテシア東京」で起きると予告された事件を、「ホテルの従業員」「ホテルの従業員に扮した警察官たち」「ホテルを利用している様々な秘密を持った様々な人々」を通して描いている手法はなかなかに面白い。
こと、「刑事モノ」で鉄板要素である「バディー」の設定を「男性警察官」と「女性コンシェルジュ」
とした東野のアイデアには感嘆しかない。
共にそれぞれ所属している組織において、頭脳明晰で観察眼に優れ、洞察力もある優秀な人物として評価されているが、
「男と女」
「人を疑い、人の秘密を暴く仕事と、人を信じ人の秘密を受け入れる仕事」
「事件捜査が第一、お客様の満足が第一」
とそれぞれの立場や信念に基づく対立を描きつつ、
「人を見、観察眼と分析力を駆使して相手に先んじて行動していく」
「人のために尽くす」
「組織の連携プレイの重要さ」
といった共通要素も同時に描き、事件解決へと導く構成は、ベタながら秀逸。
役者の実力も魅力も安定しており、さらに原作が優れているので、とても安心して観ていられる、のだが・・・。
それでも佳作レベルの評価しか出来ないのは、
事件の進行やホテルの各所で生じる各々のシチュエーションを明快に理解できる原作小説に比べると、
作中の人物の多さが故に、時間と映像という制約を受ける映画版では、どうしても全体的な落ち着きのなさやわちゃわちゃ感、描写の詰めの甘さが否めなかったことが残念。
そして、もう1つ。前作の評でも書いたけれど、やはり主役の1人である新田を演じた木村拓哉がどうにも。
存在感は確かにあるし、演技も安定している。
でも、そういったことを台無しにするのは、彼の実年齢。
作中設定では新田は30代半ばぐらい。青臭さ全開の若手でもなく、かといって組織にまかれ且つ肉体的な衰えで気の抜けた中高年でもなく、自分の優れた実力に見合った評価を得たいと向上心と野心に溢れる中堅一歩手前の役どころだ。
既にアラフィフが見えてきた木村が演じるのは厳しい・・・。
彼がどんなに演技者として優れていても、かっこよくても、年齢設定は覆せない。数歳ならいざ知らず、10歳以上はあり得ない。
設定年齢にそぐわない実年齢がもたらす絵面への違和感が終始ぬぐえないことが、今作を高く評価できない唯一にして絶対の理由。設定の年齢に合う役者に演じて欲しかった。
とは言え、コロナで上映数が減っている今年の邦画の中では十分に良作とは言える。
名手、東野圭吾の人気シリーズの第2弾にして劇場2作目。
「ホテルコルテシア東京」で起きると予告された事件を、「ホテルの従業員」「ホテルの従業員に扮した警察官たち」「ホテルを利用している様々な秘密を持った様々な人々」を通して描いている手法はなかなかに面白い。
こと、「刑事モノ」で鉄板要素である「バディー」の設定を「男性警察官」と「女性コンシェルジュ」
とした東野のアイデアには感嘆しかない。
共にそれぞれ所属している組織において、頭脳明晰で観察眼に優れ、洞察力もある優秀な人物として評価されているが、
「男と女」
「人を疑い、人の秘密を暴く仕事と、人を信じ人の秘密を受け入れる仕事」
「事件捜査が第一、お客様の満足が第一」
とそれぞれの立場や信念に基づく対立を描きつつ、
「人を見、観察眼と分析力を駆使して相手に先んじて行動していく」
「人のために尽くす」
「組織の連携プレイの重要さ」
といった共通要素も同時に描き、事件解決へと導く構成は、ベタながら秀逸。
役者の実力も魅力も安定しており、さらに原作が優れているので、とても安心して観ていられる、のだが・・・。
それでも佳作レベルの評価しか出来ないのは、
事件の進行やホテルの各所で生じる各々のシチュエーションを明快に理解できる原作小説に比べると、
作中の人物の多さが故に、時間と映像という制約を受ける映画版では、どうしても全体的な落ち着きのなさやわちゃわちゃ感、描写の詰めの甘さが否めなかったことが残念。
そして、もう1つ。前作の評でも書いたけれど、やはり主役の1人である新田を演じた木村拓哉がどうにも。
存在感は確かにあるし、演技も安定している。
でも、そういったことを台無しにするのは、彼の実年齢。
作中設定では新田は30代半ばぐらい。青臭さ全開の若手でもなく、かといって組織にまかれ且つ肉体的な衰えで気の抜けた中高年でもなく、自分の優れた実力に見合った評価を得たいと向上心と野心に溢れる中堅一歩手前の役どころだ。
既にアラフィフが見えてきた木村が演じるのは厳しい・・・。
彼がどんなに演技者として優れていても、かっこよくても、年齢設定は覆せない。数歳ならいざ知らず、10歳以上はあり得ない。
設定年齢にそぐわない実年齢がもたらす絵面への違和感が終始ぬぐえないことが、今作を高く評価できない唯一にして絶対の理由。設定の年齢に合う役者に演じて欲しかった。
とは言え、コロナで上映数が減っている今年の邦画の中では十分に良作とは言える。
今、対人関係に思い悩んでいる自分にとって、何もしても観ても、不感症のごとき状況に相成っている。
無理やりにでも気を紛らわせようと、気になった表題2作品を観たのだけれど・・・。
共に恋愛作品であり、気晴らしどころかより心的状況を悪化させただけ・・・。
と、個人的な話はさておき、この2作品をサクっと評価していく。
・「うみべの女の子」 60点
浅尾いにおの同名コミックの実写映画化。原作コミックは18禁指定だが、映画ではR指定となっている。
作中人物を演じた役者は、主役を演じた石川を始め実際の中学生ではない。とは言え、セックスを軸とした中学生の恋愛模様を主題とする今作を、実写化したその一点だけでも、このご時世において、「良くやったとの」との感がまずある。
いわゆるAVのようなエロ重視、シチュエーション重視のエンタメ的エロとは一線を隔す、「生生しいセックス描写」は、当然賛否を伴うが、とかくヒロイン石川の健闘ぶりと、「あるある感」漂うかわいらしさ、コケティッシュなエロさが光る。
ただ、原作コミックがそうであるように、作中主要人物の行動原理や人物描写に共感し得るものはほぼなく、正直に言って「石川の裸」以外にさして見どころは見いだせない。
唯一良かったのは、男性主人公が、ヒロインに対する思わせぶりな態度や行動を見せていたにも関わらず、最後、ヒロインより魅力的で心惹かれた女性と出会うや否や、何のためらいもなくそちらにあっさりと乗り換える
点か。
自分も同様のことをされたこともあるし、したこともある。
過去のやりとりの積み重ねや気持ちの通じ具合もあっさり無となってしまう恋愛の恐ろしさの一端の描写は非常に良かったと思う。しかし、この点と石川の裸以外に見どころはなかったか・・・。
・「子供はわかってあげない」 65点
こちらもコミック原作の実写映画化作品。監督は文学作品の実写映画化に定評のある沖田修一。PG12となっていることが不思議であったが、観て納得。未成年への飲酒強要シーンがあるからか・・・。
「うみべの~」のような暗さや生々しさはこちらにはなく、ティーンズの恋愛作品王道のさわやかさや幸福感に溢れている。
ひと夏における同級生の少年との出会いと、少女の生き別れ的状態となっていた実父との再会と交流とを通して、心的に成長を遂げる、
という王道中の王道作。
映像つくりもさることながら、主役を演じた上白石と細田両名の魅力と演技力が今作を良きものとしている。
作中随所にちりばめられているギャグは正直すごく面白いものではなく、かなりずれてはいるが、クスっと笑わずにはいられない妙な魅力と勢いとがある。こういう所は沖田監督の手腕なのだろう。
凄い美人とかスタイルが良いとかではないが、瑞々しさと健康美に溢れる上白石の制服姿・競泳水着姿は必見。
全体的に良くできている作品であるが、個人的に最後両想いとなる男性同級生との、そこへと至る過程の描写をもう少し丁寧にしてほしかったと思う。反面、父親との描写がやや冗長であった。新興宗教絡みの設定は必要だったのか?
2時間越えの作品であるだけに、全体の配分がもう少し調整されていたら、傑作と言ってよい作品になりえたと思う。惜しい!!
無理やりにでも気を紛らわせようと、気になった表題2作品を観たのだけれど・・・。
共に恋愛作品であり、気晴らしどころかより心的状況を悪化させただけ・・・。
と、個人的な話はさておき、この2作品をサクっと評価していく。
・「うみべの女の子」 60点
浅尾いにおの同名コミックの実写映画化。原作コミックは18禁指定だが、映画ではR指定となっている。
作中人物を演じた役者は、主役を演じた石川を始め実際の中学生ではない。とは言え、セックスを軸とした中学生の恋愛模様を主題とする今作を、実写化したその一点だけでも、このご時世において、「良くやったとの」との感がまずある。
いわゆるAVのようなエロ重視、シチュエーション重視のエンタメ的エロとは一線を隔す、「生生しいセックス描写」は、当然賛否を伴うが、とかくヒロイン石川の健闘ぶりと、「あるある感」漂うかわいらしさ、コケティッシュなエロさが光る。
ただ、原作コミックがそうであるように、作中主要人物の行動原理や人物描写に共感し得るものはほぼなく、正直に言って「石川の裸」以外にさして見どころは見いだせない。
唯一良かったのは、男性主人公が、ヒロインに対する思わせぶりな態度や行動を見せていたにも関わらず、最後、ヒロインより魅力的で心惹かれた女性と出会うや否や、何のためらいもなくそちらにあっさりと乗り換える
点か。
自分も同様のことをされたこともあるし、したこともある。
過去のやりとりの積み重ねや気持ちの通じ具合もあっさり無となってしまう恋愛の恐ろしさの一端の描写は非常に良かったと思う。しかし、この点と石川の裸以外に見どころはなかったか・・・。
・「子供はわかってあげない」 65点
こちらもコミック原作の実写映画化作品。監督は文学作品の実写映画化に定評のある沖田修一。PG12となっていることが不思議であったが、観て納得。未成年への飲酒強要シーンがあるからか・・・。
「うみべの~」のような暗さや生々しさはこちらにはなく、ティーンズの恋愛作品王道のさわやかさや幸福感に溢れている。
ひと夏における同級生の少年との出会いと、少女の生き別れ的状態となっていた実父との再会と交流とを通して、心的に成長を遂げる、
という王道中の王道作。
映像つくりもさることながら、主役を演じた上白石と細田両名の魅力と演技力が今作を良きものとしている。
作中随所にちりばめられているギャグは正直すごく面白いものではなく、かなりずれてはいるが、クスっと笑わずにはいられない妙な魅力と勢いとがある。こういう所は沖田監督の手腕なのだろう。
凄い美人とかスタイルが良いとかではないが、瑞々しさと健康美に溢れる上白石の制服姿・競泳水着姿は必見。
全体的に良くできている作品であるが、個人的に最後両想いとなる男性同級生との、そこへと至る過程の描写をもう少し丁寧にしてほしかったと思う。反面、父親との描写がやや冗長であった。新興宗教絡みの設定は必要だったのか?
2時間越えの作品であるだけに、全体の配分がもう少し調整されていたら、傑作と言ってよい作品になりえたと思う。惜しい!!
・75点
柚月裕子原作の広島やくざ叙事詩。作風柄、今日ではウケが悪いのではと思いきや、想定を超えるヒットと評価を受け、作られた第2作目となる今作。
やくざ映画と言えば、「仁義なき戦い」というこの先も金字塔として君臨し続けるシリーズがどうしても壁となる。
北野武も「アウトレイジ」シリーズで挑んだものの、やはりこのシリーズを超えられなかった・・・。
それは、「虎狼の血」シリーズにも言えるだろう。
とは言え、エンタメ界隈にポリコレの嵐吹きすさぶ令和。
やくざと言えば、アングラなVシネの世界か、ラブコメやギャグ作品などで作品を盛り上げる1つのアクセント程度に成り下がっているのが実情。
今年では「やくざと家族」が先行して上映されたが、この作品はやくざ映画の要素はあるにはあるが、どちらかと言うとその題名が示すように家族が主題となっており、「仁義なきシリーズ」や「アウトレイジシリーズ」、そしてこのシリーズとは一線を画している。
純度の高いやくざ映画とは到底言えない。
そういった社会的状況、エンタメシーンにおいて、
大手シネコンでこの手の作品が上映されるその1点のみでも、評価すべき点なのだろう。
いや、良くやってくれたと思う。
仁義なきシリーズにも通ずる、作中人物のハチャメチャなやりとり。コンプラ無視のドギツイシーン。医学・生物学無視の生命力、やくざ以上に下劣でワルな警察・・・。
小説と比べるとどうしてもこういった見てくれの要素が目立ち、映画作品としての中身を感じ取れないが、暴力一辺倒に振り切った潔いつくりは逆に好感が持てる。時代の空気感の再現も見事と言う他ない。
特に作中最強最悪のやくざを演じた鈴木亮平はすごすぎる。もちろん主役の松坂桃李も非常に良かったが、正直鈴木が全てもってしまったと言い切れるくらい、存在感も演技も際立ち過ぎた。
プロ中のプロなのだと思う。一人別格の境地を見せつけていた。
彼を観るためだけでも鑑賞料金を払う価値があるとすら思える。
この流れで行くと、シリーズ最終作も制作にも期待が高まる。
時代劇より先にエンタメシーンから消え去りそうな「やくざ映画」の最後の花火となるのではないだろうか。
昔の人間の1人として楽しみに待ちたい。
追記:その演技が毎度酷評されている元乃木坂46、西野七瀬。彼女が出ていることに不安を感じていたが、予想していたよりはるかに健闘していたと思う。大阪出身ということもあり、いわゆる西日本言語が有するイントネーションには問題がなく、声もしっかり出ていた。
業界広しで、腐るほど俳優はいるが、皆が皆素晴らしいわけではない。今作で言う所の鈴木亮平のようなものは、それこそ何年・何十年に1人ぐらいしか居ないだろう。
で、多くのちょっと出来る~ふつう~ちょっと出来ない~人物らでひしめく中、その成否を分けるのは、「良い作品」に出演できたかどうであろう。
良い監督、良い演出家が作る作品に出れば、役者の能力が引き出されるし、作品の良さにひっぱられ役者への評価も高まる。
そして、あまり才能がなくても、数をこなしていけば、少なくとも鑑賞できるぐらいにはなる。
ようは、そのチャンスが与えられるかどうか。技術の優劣ではない。
今作での西野を観ていて改めて痛感させられた。
柚月裕子原作の広島やくざ叙事詩。作風柄、今日ではウケが悪いのではと思いきや、想定を超えるヒットと評価を受け、作られた第2作目となる今作。
やくざ映画と言えば、「仁義なき戦い」というこの先も金字塔として君臨し続けるシリーズがどうしても壁となる。
北野武も「アウトレイジ」シリーズで挑んだものの、やはりこのシリーズを超えられなかった・・・。
それは、「虎狼の血」シリーズにも言えるだろう。
とは言え、エンタメ界隈にポリコレの嵐吹きすさぶ令和。
やくざと言えば、アングラなVシネの世界か、ラブコメやギャグ作品などで作品を盛り上げる1つのアクセント程度に成り下がっているのが実情。
今年では「やくざと家族」が先行して上映されたが、この作品はやくざ映画の要素はあるにはあるが、どちらかと言うとその題名が示すように家族が主題となっており、「仁義なきシリーズ」や「アウトレイジシリーズ」、そしてこのシリーズとは一線を画している。
純度の高いやくざ映画とは到底言えない。
そういった社会的状況、エンタメシーンにおいて、
大手シネコンでこの手の作品が上映されるその1点のみでも、評価すべき点なのだろう。
いや、良くやってくれたと思う。
仁義なきシリーズにも通ずる、作中人物のハチャメチャなやりとり。コンプラ無視のドギツイシーン。医学・生物学無視の生命力、やくざ以上に下劣でワルな警察・・・。
小説と比べるとどうしてもこういった見てくれの要素が目立ち、映画作品としての中身を感じ取れないが、暴力一辺倒に振り切った潔いつくりは逆に好感が持てる。時代の空気感の再現も見事と言う他ない。
特に作中最強最悪のやくざを演じた鈴木亮平はすごすぎる。もちろん主役の松坂桃李も非常に良かったが、正直鈴木が全てもってしまったと言い切れるくらい、存在感も演技も際立ち過ぎた。
プロ中のプロなのだと思う。一人別格の境地を見せつけていた。
彼を観るためだけでも鑑賞料金を払う価値があるとすら思える。
この流れで行くと、シリーズ最終作も制作にも期待が高まる。
時代劇より先にエンタメシーンから消え去りそうな「やくざ映画」の最後の花火となるのではないだろうか。
昔の人間の1人として楽しみに待ちたい。
追記:その演技が毎度酷評されている元乃木坂46、西野七瀬。彼女が出ていることに不安を感じていたが、予想していたよりはるかに健闘していたと思う。大阪出身ということもあり、いわゆる西日本言語が有するイントネーションには問題がなく、声もしっかり出ていた。
業界広しで、腐るほど俳優はいるが、皆が皆素晴らしいわけではない。今作で言う所の鈴木亮平のようなものは、それこそ何年・何十年に1人ぐらいしか居ないだろう。
で、多くのちょっと出来る~ふつう~ちょっと出来ない~人物らでひしめく中、その成否を分けるのは、「良い作品」に出演できたかどうであろう。
良い監督、良い演出家が作る作品に出れば、役者の能力が引き出されるし、作品の良さにひっぱられ役者への評価も高まる。
そして、あまり才能がなくても、数をこなしていけば、少なくとも鑑賞できるぐらいにはなる。
ようは、そのチャンスが与えられるかどうか。技術の優劣ではない。
今作での西野を観ていて改めて痛感させられた。
評価:80点
コロナ禍で延期祭となっていた今作。1作目からすべて映画館で観ているシリーズ愛好家として、まずはようやく観れたことに感謝しかない。
(ただし、「X3 TOKYO DRIFT」はシリーズの作品として個人的に認めていない。)
ただ、そういう思いと作品の評価とはまた別だ。
もはやこのシリーズは、カーアクションものとして世界の映画史上最も成功したそれと断言出来る。「成功がさらなる成功をもたらす」。格差社会で言えば最上位に君臨するこのシリーズは、だからこその圧倒的な資金源に裏打ちされた、「ド派手」としか言いようのないアクションの、
その質、迫力、完成度、発想すべてが他を寄せ付けない。
アイデアや思いがあっても、たいていはそれを具現化できるお金や撮影箇所の確保が出来ないといった制約が立ちはだかる。
もちろんお金だけが全てではない。が、お金があれば出来ることの選択肢は増える。
「テネット」のクリストファー・ノーラン監督の作品と共に、このシリーズは世界でも最もやりたいことをやれている作品だろう。
最新作でもその点は如何なく発揮されている。作品を重ねる度、いい加減アクションのアイデアも枯渇するだろうと思っているが、毎度毎度その思いをいい意味で打ち砕いてくれる。
ただ、「マグネットパワー万能!!」とも言うべき、今作の核となる磁石アクションは、すさまじいのだけれど、多くの方が突っ込みを入れずにはいられないだろう。
まあ、それを打ち消す勢いは文句なしにあるが・・・。
それと、どうあれ、「かっこいい車」「かっこいい男」「いい女」、そして「家族愛」という主題を1ミリもブレずに貫いている点は、このシリーズがこのシリーズである所以であり、成功し続けている根源でもある。
シリーズ9作目となっても完成度は高い、アクションも凄い、ドミニク役のヴィン・ディーゼルは最高にかっこいい。
しかし、しかしだ・・・。だからこその不満もある。
1つは既に書いたように、磁石アクションが発想はともかく、その使い方に雑さが否めなかったこと。
2つ目は、唐突に登場し、このシリーズの適役となったドミニクの弟、ジェイコブ役の俳優が個人的には微妙だったこと。
ヴィン・ディーゼルは無論、今作では登場しなかったドウェイン・ジョンソンやほぼ出番のなかったジェイソン・ステイサムらといった「最高にかっこいい男」らに比べると、顔の魅力が劣る。男は顔だけではもちろんないのだけれど、正直それを埋めるものを個人的には見いだせなかった。
それと相変わらずかっこいい車を惜しみもなく出し、その点に関しては毎度満足してはいるが、「MEGA MAX」以降顕著になった、「ストリートレース」ものとしての作品性をほぼ失してしまっていることがある。まあ、この作品以降の変化がなければ、今日へと至る評価も成功も得られなかったことは理解できるが・・・。
贅沢な不満なのだろう。
あと、当然のことながら主要メンバーの加齢も気になる。もう1作目から20年が経つ。
ヴィン・ディーゼルは思いのほか健闘しているが、女性陣は申し訳ないけど厳しくなっているなと・・・。
相変わらず最高レベルに面白い。今でも熱心なファンである。しかし、だからこその本音中の本音を言うと、ポール・ウォーカー最後の出演作となり、それに即した、個人的に映画史上屈指の名ラストシーンと言いきれる「SKY MISSION」(2015年)でシリーズを終えておくべきであったと思わずにはいられないのだ。
もともとこのシリーズはヴィン・ディーゼル演じるドミニクとポール・ウォーカー演じるブライアンをダブル主演とし、この2人を核とした家族愛や物語を描いていった。
ファミリーではあれど、ドミニクと唯一対等な人物はブライアンのみ。
ポールの死後はドウェイン・ジョンソンやジェイソン・ステイサムといった魅力あふれる役者が、ブライアンの穴を埋めるかのように露出を増やしていったが、やっぱり何かが違う。
既にファミリー的な関係となりつつあるも、ドミニクの妹と結婚し、子を設け、友人であるとともに本当の家族でもあるブライアントと、出演当初は仇敵ともいえる存在であった上記2人とは決定的に違うのだ。
その結果、「SKY MISSION」以降の作品はドミニク1人の露出と存在感が圧倒的になる。作品としては十二分に素晴らしいものの、満足しきれないのは、ブライアンがいないに尽きる。これはもうどうしようもない。が、
彼が亡くなって以降のこのシリーズを観て毎度思うのは、彼が存命であったのなら作品がどうなっていたのかということだ。おそらく人物関係や物語の根幹が変わり、より完成度が増したように思えてならない。
最新作では久しぶりにブライアンの妻でありドミニクの妹であるミアも活躍することになり、設定上はブライアンが生きている、ということになっているが、どうにもこれは容認出来ない。この2人は既にドミニクとは別の道を歩んだ、ということにしてほしかった・・・。彼はもう居ないのだから。
そうこうしている内に、このシリーズがあと2作、2024年で完結となることがアナウンスされた。おそらくシャーリーズ・セロン演じるサイファーとの決着が描かれるのだろう。
それでいいと思う。
このシリーズが始まった20年には予想だにしなかったコンプライアンス規制の嵐が吹きすさぶハリウッド。
性的マッチョイムズが強く、美しい女性を良くも悪くも見世物的・添え物的扱いとしている感がある今作への批判が今後強くなってくることは十分に予想される。
故に、あと2作・2年で終わらせるという判断には賛意を表したい。
それにしても、毎度毎度ぶっ壊されまくる高級車やスポーツカーを観ていて泣けてくる。
トム&ジェリーの演出のように、目が「$」になっているのではとすら思う。
ともあれ、ラスト2作、楽しみにしたい。
コロナ禍で延期祭となっていた今作。1作目からすべて映画館で観ているシリーズ愛好家として、まずはようやく観れたことに感謝しかない。
(ただし、「X3 TOKYO DRIFT」はシリーズの作品として個人的に認めていない。)
ただ、そういう思いと作品の評価とはまた別だ。
もはやこのシリーズは、カーアクションものとして世界の映画史上最も成功したそれと断言出来る。「成功がさらなる成功をもたらす」。格差社会で言えば最上位に君臨するこのシリーズは、だからこその圧倒的な資金源に裏打ちされた、「ド派手」としか言いようのないアクションの、
その質、迫力、完成度、発想すべてが他を寄せ付けない。
アイデアや思いがあっても、たいていはそれを具現化できるお金や撮影箇所の確保が出来ないといった制約が立ちはだかる。
もちろんお金だけが全てではない。が、お金があれば出来ることの選択肢は増える。
「テネット」のクリストファー・ノーラン監督の作品と共に、このシリーズは世界でも最もやりたいことをやれている作品だろう。
最新作でもその点は如何なく発揮されている。作品を重ねる度、いい加減アクションのアイデアも枯渇するだろうと思っているが、毎度毎度その思いをいい意味で打ち砕いてくれる。
ただ、「マグネットパワー万能!!」とも言うべき、今作の核となる磁石アクションは、すさまじいのだけれど、多くの方が突っ込みを入れずにはいられないだろう。
まあ、それを打ち消す勢いは文句なしにあるが・・・。
それと、どうあれ、「かっこいい車」「かっこいい男」「いい女」、そして「家族愛」という主題を1ミリもブレずに貫いている点は、このシリーズがこのシリーズである所以であり、成功し続けている根源でもある。
シリーズ9作目となっても完成度は高い、アクションも凄い、ドミニク役のヴィン・ディーゼルは最高にかっこいい。
しかし、しかしだ・・・。だからこその不満もある。
1つは既に書いたように、磁石アクションが発想はともかく、その使い方に雑さが否めなかったこと。
2つ目は、唐突に登場し、このシリーズの適役となったドミニクの弟、ジェイコブ役の俳優が個人的には微妙だったこと。
ヴィン・ディーゼルは無論、今作では登場しなかったドウェイン・ジョンソンやほぼ出番のなかったジェイソン・ステイサムらといった「最高にかっこいい男」らに比べると、顔の魅力が劣る。男は顔だけではもちろんないのだけれど、正直それを埋めるものを個人的には見いだせなかった。
それと相変わらずかっこいい車を惜しみもなく出し、その点に関しては毎度満足してはいるが、「MEGA MAX」以降顕著になった、「ストリートレース」ものとしての作品性をほぼ失してしまっていることがある。まあ、この作品以降の変化がなければ、今日へと至る評価も成功も得られなかったことは理解できるが・・・。
贅沢な不満なのだろう。
あと、当然のことながら主要メンバーの加齢も気になる。もう1作目から20年が経つ。
ヴィン・ディーゼルは思いのほか健闘しているが、女性陣は申し訳ないけど厳しくなっているなと・・・。
相変わらず最高レベルに面白い。今でも熱心なファンである。しかし、だからこその本音中の本音を言うと、ポール・ウォーカー最後の出演作となり、それに即した、個人的に映画史上屈指の名ラストシーンと言いきれる「SKY MISSION」(2015年)でシリーズを終えておくべきであったと思わずにはいられないのだ。
もともとこのシリーズはヴィン・ディーゼル演じるドミニクとポール・ウォーカー演じるブライアンをダブル主演とし、この2人を核とした家族愛や物語を描いていった。
ファミリーではあれど、ドミニクと唯一対等な人物はブライアンのみ。
ポールの死後はドウェイン・ジョンソンやジェイソン・ステイサムといった魅力あふれる役者が、ブライアンの穴を埋めるかのように露出を増やしていったが、やっぱり何かが違う。
既にファミリー的な関係となりつつあるも、ドミニクの妹と結婚し、子を設け、友人であるとともに本当の家族でもあるブライアントと、出演当初は仇敵ともいえる存在であった上記2人とは決定的に違うのだ。
その結果、「SKY MISSION」以降の作品はドミニク1人の露出と存在感が圧倒的になる。作品としては十二分に素晴らしいものの、満足しきれないのは、ブライアンがいないに尽きる。これはもうどうしようもない。が、
彼が亡くなって以降のこのシリーズを観て毎度思うのは、彼が存命であったのなら作品がどうなっていたのかということだ。おそらく人物関係や物語の根幹が変わり、より完成度が増したように思えてならない。
最新作では久しぶりにブライアンの妻でありドミニクの妹であるミアも活躍することになり、設定上はブライアンが生きている、ということになっているが、どうにもこれは容認出来ない。この2人は既にドミニクとは別の道を歩んだ、ということにしてほしかった・・・。彼はもう居ないのだから。
そうこうしている内に、このシリーズがあと2作、2024年で完結となることがアナウンスされた。おそらくシャーリーズ・セロン演じるサイファーとの決着が描かれるのだろう。
それでいいと思う。
このシリーズが始まった20年には予想だにしなかったコンプライアンス規制の嵐が吹きすさぶハリウッド。
性的マッチョイムズが強く、美しい女性を良くも悪くも見世物的・添え物的扱いとしている感がある今作への批判が今後強くなってくることは十分に予想される。
故に、あと2作・2年で終わらせるという判断には賛意を表したい。
それにしても、毎度毎度ぶっ壊されまくる高級車やスポーツカーを観ていて泣けてくる。
トム&ジェリーの演出のように、目が「$」になっているのではとすら思う。
ともあれ、ラスト2作、楽しみにしたい。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20210802/23/badtzmaru4649/75/16/j/o0789052614981416071.jpg?caw=800)
インスタグラムもちょびっとやっていますが、こちらでも少しずつ写真をアップ出来たらと考えています。
もともとフィルム時代から時折写真を撮っていたのですが・・・。
簡単に写真機遍歴を述べますと、
フィルム時代はオリンパス。で、デジタルはサンヨーのコンデジから入り、それ以降は、特にこだわりとかないまま、ただただ宮崎あおいファンということで、オリンパスのOM-D E-M10シリーズを購入。そして3年程前から、この機種のマーク3とパナのG9 Proを併用し続けてきたのですが・・・。
令和以降の各社フルサイズの動きもあり、マウント替えしようと画策していた昨年、パナのS5にしようと9割がた決まっていたところに登場したのが、フジフィルムのX-S10。
いや、ほんとこの機種には驚きましたね。
フジは全く選択肢に入っていなかったのですよ。どうにもあの独特な操作体系と手振れ補正技術の遅れもあって・・・。
フルサイズ化していく業界の流れもあって、値段的な不満やレンズの大きさといった不満はあれど、フルサイズ購入の流れに抗えないと思っていたさなか・・・。
パナのS5はほぼ良いのですが、センサークリーニングが振動式、AFジョイスティックはG9同様、縦横しか動かず・・・。
また、フィルター機能の操作性がG9より遥に劣るのもパナ使いとして気になったところ・・・。
競合で候補に考えていたZ6 マーク2は撮影機能や操作性は良いのですが、センサークリーニングの問題が・・・。手振れ補正ないですし。
両方ともレンズ込みだと高額なだけにこういった欠点を個人的に容認出来なくて・・・。
そうこうあって購入に踏み切れない時に、この機種が出てきたのは僥倖としか言いようがなかったですね。
Wズームレンズキットで14万程。G9とE-M10マーク3及び単焦点レンズを売れば、カバン、フィルター、電池などを購入しても尚お釣りが出る出る。
そして何より、上記フルサイズカメラに不満があった、
・価格の高さ
・センサークリーニング
・手振れ補正
・AFジョイスティックあり
をすべて払拭するだけでなく、フジならではのフィルムシミュレーションと、この機種ならではの、他メーカーからの乗り換えからもすぐ順応できる操作性が良かった。
実際に手に取ってみても、手が小さめの自分にとって扱いやすいことも+評価。
もう少しファインダーの大きさと画素数が良ければ完璧だったんですけどね・・・。
もし、将来的にX-S20とかが出る際には、ここの所改善して頂けたらと思います。
あと、パナ並とは言わないまでも、動画性能もあと少し良くなれば・・・。
画質は当然フルサイズには勝てない部分もありますけれど、プロでも何でもない自分の使用範囲でそれが問題になることはありません。大きなサイズで印刷して貼りだすこともありませんし・・・。
思いの他、暗所での撮影に強いこともあり、自分の使用範囲ではこの機種の登場でフルサイズを利用するメリットはなくなりました。
コロナ禍で厳しい部分はありますが、可能な範囲でX-S10を持って撮影をし続けています。
F値やシャッター速度やらに拘る方ではないですが、フィルター効果や露出、構図を考えながら撮影することは、スマホカメラにはない面白さと深さがあるように思います。
と、前置きが長くなり過ぎましたが、
東京が誇る写真好き名スポット、国立新美術館。何回行っても、撮っても良いですね。腕が試されますね。
他にもいっぱい撮りましたが、いずれまた少しずつUP出来たらと思っています。
☆「総評」
上半期に関しては、ここで選出しなかった「名探偵コナン」を含め、コロナ禍で公開延期を繰り返したアニメ3作品が流石の完成度を見せつける結果となった。それぞれ作風や主題こそ違えど、日本のアニメならではの素晴らしさを存分に示したように思う。
その中においても、「エヴァ」「ガンダム」と何十年以上もの間、日本、いや世界のアニメ、ロボットアニメシーンを引っ張ってきた歴史的作品たるこの2作の新作が、世界観や質の面で頭抜けていたと言える。
こと「エヴァ」に関しては、とにもかくにもどころか、しっかりと大部分の鑑賞者が納得できる形で「父と息子の相克の物語」に決着をつけた点に、TVシリーズからリアルに作品を観続けてきたオールドファンは高評価を付けざるを得ない。ほんと「おめでとう!!」とか「気持ち悪!!」的、トラウマ決着にならなくて良かった・・・。
「ガンダム」はまだ続編があるので評価は未確定であるし、ベースを映画版の「逆襲のシャア」にしているのか小説版のそれにしているのかで不安があるが、進化した映像技術がもたらしたMSの戦闘シーンは理屈抜きに感動があった。
一方、その華麗なMSの戦闘シーンの足元で命を失う恐怖におびえる庶民らの描写は、今尚変わらない、テロへの恐怖、戦争への恐怖を嫌でも想起させる。ここの部分は今作の秀逸極まりない点だ。
一応富野ガンダムの正史と言うべき今作ではあるものの、MSの造形、戦闘シーン、人物造形などで過去のガンダム作品とは違う特異な点が多い異色とも言うべき作品であるこのシリーズが今後どのような展開を見せ、終わりを迎えるのか、楽しみでならない。
一方、実写に関しては、コロナ禍で撮影やそもそもの映画製作の計画すら滞った影響があったのか、全体的に小粒な印象が否めなかった。
大作、話題作と言える作品は「るろうに剣心」や「ファブル」らとかなり少なかった。自分が観る観ない、とか、好き嫌い関係なく、メジャーの娯楽作は映画文化を維持発展させていくうえで重要だ。年に1・2回しか行かないような観客に、また映画館に足を運んでもらえるような実写作品がほんと欲しい所であるが、残念ながら今年の上半期は、それに該当する作品がなかったように思う。
反面、健闘したのが、地方が舞台となった「いとみち」と、東京都の世田谷区ではあるが、昭和・平成初期の古の雰囲気を過分に残した下北沢という限定地域が舞台となった「街の上で」。特に「街の上で」は限定された地域で当人の知らずの内に織りなされる「人間関係の相互作用」の描写が秀逸で笑わずにはいられなかった。
映画の完成度としてはやや劣る面があったが、ヒロインを演じた駒井蓮のかわいらしさと、見事な三味線演奏、津軽の美しい自然を堪能できる「いとみち」と共に、今年を代表する作品だと思う。コロナ禍で人々の関りが断たれがちになりがちだからこそ、改めて人の関係性や地域性を打ち出した良作が出てきたことは、時代や文化の流れとしても必然なのだと思う。
この2作は同じ理由で「思いのほか良かったで賞候補作」にも選出した。
大金と有名俳優を豪華に出せばよい映画を作れる、というわけではないことを、この2作には改めて教えられたように思う。
他の各賞について話を進めていく。
最優秀主演男優賞候補に関しては、
坂口健太郎、佐藤健、綾野剛らを候補にしようか最後まで悩んだが、該当者なしとの結論に。
皆、それぞれがよい演技をしていたし魅力もある。が、その経歴・実績を考えると、少し物足りなさが否めなかった。それが何かを突き詰めていくと、やはり作品のストーリーなり演出なりと、何らかしらで満足できなかった点が影響していたと思う。
また、「るろうに剣心」では新田真剣佑の存在やド派手なアクションシーン。「ヤクザと家族」では舘ひろしや尾野真千子、磯村勇斗、市原隼人、小宮山莉渚といった役者の健闘。「シグナル」では北村一輝の演技やトランシーバーで過去と未来がつながるという話の面白さ、
など、主役の演技以外に良い点があったことも影響している。もっとわかりやすく言えば、作品の主役への依存度が「最優秀主演女優候補」で選出した女優が出演している作品よりも低いということ。
最優秀主演男優候補と同様に、最優秀主演女優候補が出演した作品も、傑作とは言えないが、
駒井蓮はやはり努力の跡が顕著に見て取れる方言演技と三味線の演奏、美しい黒髪やスレンダーな体形がもたらす美しさが素晴らしかったので。
芳根京子は「Arc」では、正直難役極まりない設定である主役を完璧に演じきれたとは思えないところがあるが、それでも、やはり自分が監督でも彼女以外の人にオファーはしないだろうなと思えるくらいには健闘していたし、癖もない整った顔立ちが「加齢しない」という設定に即していたので。
尾野真千子は既に確固たる評価と実力があるベテランであるにも関わらず、ヌードシーンありの汚れ役を見事に演じきった女優魂を評価して。
といった点が選出理由となった。女優の技量と魅力、努力があってこその作品、と男優以上に感じられた。
最優秀助演男優賞候補に関しては、「るろうに剣心」で縁を演じた新田の独壇場であったと思う。あのアクションのキレと迫力は、ぜひとも中国やアメリカの作品で観てみたいと思わずにはいられない。
最優秀助演女優賞候補に関しては、
「ファーストラブ」で主役2人を食うダークな演技を見せつけた芳根京子、「街の上で」で作品中盤から後半にかけて不思議な存在感と魅力とを見せつけた中田青渚、「茜色に焼かれる」で尾野真千子に引けを取らない魅力と存在感、尾野と同様、底辺役に徹した片山友希
が印象に残った。
今年の下半期に関しても、以前コロナ禍の影響から脱しきれないだろうが、1作でも良い作品が出てくれることを、この苦境下だからこそ、より一層願わずにはいられない。
上半期に関しては、ここで選出しなかった「名探偵コナン」を含め、コロナ禍で公開延期を繰り返したアニメ3作品が流石の完成度を見せつける結果となった。それぞれ作風や主題こそ違えど、日本のアニメならではの素晴らしさを存分に示したように思う。
その中においても、「エヴァ」「ガンダム」と何十年以上もの間、日本、いや世界のアニメ、ロボットアニメシーンを引っ張ってきた歴史的作品たるこの2作の新作が、世界観や質の面で頭抜けていたと言える。
こと「エヴァ」に関しては、とにもかくにもどころか、しっかりと大部分の鑑賞者が納得できる形で「父と息子の相克の物語」に決着をつけた点に、TVシリーズからリアルに作品を観続けてきたオールドファンは高評価を付けざるを得ない。ほんと「おめでとう!!」とか「気持ち悪!!」的、トラウマ決着にならなくて良かった・・・。
「ガンダム」はまだ続編があるので評価は未確定であるし、ベースを映画版の「逆襲のシャア」にしているのか小説版のそれにしているのかで不安があるが、進化した映像技術がもたらしたMSの戦闘シーンは理屈抜きに感動があった。
一方、その華麗なMSの戦闘シーンの足元で命を失う恐怖におびえる庶民らの描写は、今尚変わらない、テロへの恐怖、戦争への恐怖を嫌でも想起させる。ここの部分は今作の秀逸極まりない点だ。
一応富野ガンダムの正史と言うべき今作ではあるものの、MSの造形、戦闘シーン、人物造形などで過去のガンダム作品とは違う特異な点が多い異色とも言うべき作品であるこのシリーズが今後どのような展開を見せ、終わりを迎えるのか、楽しみでならない。
一方、実写に関しては、コロナ禍で撮影やそもそもの映画製作の計画すら滞った影響があったのか、全体的に小粒な印象が否めなかった。
大作、話題作と言える作品は「るろうに剣心」や「ファブル」らとかなり少なかった。自分が観る観ない、とか、好き嫌い関係なく、メジャーの娯楽作は映画文化を維持発展させていくうえで重要だ。年に1・2回しか行かないような観客に、また映画館に足を運んでもらえるような実写作品がほんと欲しい所であるが、残念ながら今年の上半期は、それに該当する作品がなかったように思う。
反面、健闘したのが、地方が舞台となった「いとみち」と、東京都の世田谷区ではあるが、昭和・平成初期の古の雰囲気を過分に残した下北沢という限定地域が舞台となった「街の上で」。特に「街の上で」は限定された地域で当人の知らずの内に織りなされる「人間関係の相互作用」の描写が秀逸で笑わずにはいられなかった。
映画の完成度としてはやや劣る面があったが、ヒロインを演じた駒井蓮のかわいらしさと、見事な三味線演奏、津軽の美しい自然を堪能できる「いとみち」と共に、今年を代表する作品だと思う。コロナ禍で人々の関りが断たれがちになりがちだからこそ、改めて人の関係性や地域性を打ち出した良作が出てきたことは、時代や文化の流れとしても必然なのだと思う。
この2作は同じ理由で「思いのほか良かったで賞候補作」にも選出した。
大金と有名俳優を豪華に出せばよい映画を作れる、というわけではないことを、この2作には改めて教えられたように思う。
他の各賞について話を進めていく。
最優秀主演男優賞候補に関しては、
坂口健太郎、佐藤健、綾野剛らを候補にしようか最後まで悩んだが、該当者なしとの結論に。
皆、それぞれがよい演技をしていたし魅力もある。が、その経歴・実績を考えると、少し物足りなさが否めなかった。それが何かを突き詰めていくと、やはり作品のストーリーなり演出なりと、何らかしらで満足できなかった点が影響していたと思う。
また、「るろうに剣心」では新田真剣佑の存在やド派手なアクションシーン。「ヤクザと家族」では舘ひろしや尾野真千子、磯村勇斗、市原隼人、小宮山莉渚といった役者の健闘。「シグナル」では北村一輝の演技やトランシーバーで過去と未来がつながるという話の面白さ、
など、主役の演技以外に良い点があったことも影響している。もっとわかりやすく言えば、作品の主役への依存度が「最優秀主演女優候補」で選出した女優が出演している作品よりも低いということ。
最優秀主演男優候補と同様に、最優秀主演女優候補が出演した作品も、傑作とは言えないが、
駒井蓮はやはり努力の跡が顕著に見て取れる方言演技と三味線の演奏、美しい黒髪やスレンダーな体形がもたらす美しさが素晴らしかったので。
芳根京子は「Arc」では、正直難役極まりない設定である主役を完璧に演じきれたとは思えないところがあるが、それでも、やはり自分が監督でも彼女以外の人にオファーはしないだろうなと思えるくらいには健闘していたし、癖もない整った顔立ちが「加齢しない」という設定に即していたので。
尾野真千子は既に確固たる評価と実力があるベテランであるにも関わらず、ヌードシーンありの汚れ役を見事に演じきった女優魂を評価して。
といった点が選出理由となった。女優の技量と魅力、努力があってこその作品、と男優以上に感じられた。
最優秀助演男優賞候補に関しては、「るろうに剣心」で縁を演じた新田の独壇場であったと思う。あのアクションのキレと迫力は、ぜひとも中国やアメリカの作品で観てみたいと思わずにはいられない。
最優秀助演女優賞候補に関しては、
「ファーストラブ」で主役2人を食うダークな演技を見せつけた芳根京子、「街の上で」で作品中盤から後半にかけて不思議な存在感と魅力とを見せつけた中田青渚、「茜色に焼かれる」で尾野真千子に引けを取らない魅力と存在感、尾野と同様、底辺役に徹した片山友希
が印象に残った。
今年の下半期に関しても、以前コロナ禍の影響から脱しきれないだろうが、1作でも良い作品が出てくれることを、この苦境下だからこそ、より一層願わずにはいられない。
邦画編に移ります。今回は選出のみ。総評は次回で行う予定です。
尚、記事作成中に鑑賞した先月公開の映画、「いとみち」(75点)も選出の対象作と致します。
年間総評への布石となりますので、やや甘めの選出しております。
また、選出と映画評価の点数とが必ずしも一致するわけではありません。
☆「最優秀邦画作品賞候補作」
・「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」
・「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」
・「街の上で」
・「いとみち」
☆「最優秀主演男優賞候補」
・該当者なし
☆「最優秀主演女優賞候補」
・駒井蓮(「いとみち」)
・芳根京子(「Arc」)
・尾野真千子(「茜色に焼かれる」)
☆「最優秀助演男優賞候補」
・新田真剣佑(るろうに剣心 最終章 The Final」)
☆「最優秀助演女優賞候補」
・芳根京子(「ファーストラブ」)
・中田青渚(「街の上で」)
・片山友希(「茜色に焼かれる」)
☆「思いの他良かったで賞」
・「街の上で」
・「いとみち」
尚、記事作成中に鑑賞した先月公開の映画、「いとみち」(75点)も選出の対象作と致します。
年間総評への布石となりますので、やや甘めの選出しております。
また、選出と映画評価の点数とが必ずしも一致するわけではありません。
☆「最優秀邦画作品賞候補作」
・「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」
・「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」
・「街の上で」
・「いとみち」
☆「最優秀主演男優賞候補」
・該当者なし
☆「最優秀主演女優賞候補」
・駒井蓮(「いとみち」)
・芳根京子(「Arc」)
・尾野真千子(「茜色に焼かれる」)
☆「最優秀助演男優賞候補」
・新田真剣佑(るろうに剣心 最終章 The Final」)
☆「最優秀助演女優賞候補」
・芳根京子(「ファーストラブ」)
・中田青渚(「街の上で」)
・片山友希(「茜色に焼かれる」)
☆「思いの他良かったで賞」
・「街の上で」
・「いとみち」
各賞の選出を行っていきます。
☆「最優秀洋画作品賞候補作」
該当作なし
☆「最優秀主演男優賞候補」
該当者なし
☆「最優秀主演女優賞候補」
該当者なし
☆「最優秀助演男優賞候補」
該当者なし
☆「最優秀助演女優賞候補」
・ムチミヤ(「プロジェクトV」)
☆「思いの他良かったで賞」
・「アオラレ」
☆「総評」
まあ、最優秀助演女優賞候補と「思いのほか良かったで賞」以外、すべて該当なし、というかつてないダメダメな結果に。
そもそも新型コロナの影響で、軒並み観たいと思える話題作の上映がとん挫し、鑑賞数が異常に少ないことに加え、可も負もないか、趣味性・作品性の高い作品ばかりの鑑賞
となってしまったことが、この結果の根本であり全てであったとしか言いようがない。
そういう中において、助演女優賞候補に選んだムチミヤ。エキゾッチクなルックスに、ムチムチでお色気タップリのナイスバディ。それでいて、「めちゃくちゃ強くてアクションでも大奮闘する美女」、
というジャッキー作品のお約束、ジャッキーファンが抱く期待に見事に応えたと言える。
ただ、かようなファンが喜ぶ彼女のような美女のビジュアルや活躍ぶり、お色気の振りまきは、ジャッキーファンであろう中高年以上の男性鑑賞者にとっては「眼福」
以外の何者でもないが、昭和・平成初期の「古の価値観」であることに相違ない。
昨今、エンタメを筆頭に各所で、「ポリコレ」やら「フェミニズム」やら「ジェンダー」やらと特定少数の声の大きい連中にとって格好の餌食となろう。
まあ、それでどうこうなる前にジャッキーの引退の方が先来ると思うが、ジャッキー作品のジャッキー作品たらしめるかような設定や演出は近い将来、堂々とできなくなるかもしれない。残念だけれど・・・。
「思いほのか良かったで賞」は「アオラレ」一択。
心の底から期待していなかったし、乱暴な展開やオチに首を傾げたくなる所もあったが、所得格差や文化格差、差別、銃犯罪、IT問題、スマホリテラシー、煽り運転、孤独、精神病といった世界に共通し、アメリカで極めて顕著に出ている社会問題・文化問題
について予想以上に鋭く抉ってる点が面白く、刺激を受けた。
正直、「銃犯罪」以外に関しては程度の差こそあれ日本もアメリカと同じ。確実に日本も同じ道を爆走している。
その点に関して今作は「社会派要素」が強く、考えさせられる所もある。
だが、「アオラレ」という近年まれに見るレベルの「あほな邦題」を見て、今作がかような作品であることを想起する人はいないと思う。
そしてそれは、鑑賞者の作品に対する期待と実際の映画の作風とのミスマッチさをもたらす。当然、この作品への評価にも影響する。
非常に残念だ。
作品性を示し、今作への期待を喚起させるような「タイトル」であったなら、世間からの今作の評価はもう少しましになったのではと思う。
こういうトラップは映画をよく観る映画ファンにとっても、年に数作も観ない「非映画鑑賞者層」にとっても「害」でしかない。
こういうところ、関係者にもう少し考えてほしいと思わずにはいられない。
☆「最優秀洋画作品賞候補作」
該当作なし
☆「最優秀主演男優賞候補」
該当者なし
☆「最優秀主演女優賞候補」
該当者なし
☆「最優秀助演男優賞候補」
該当者なし
☆「最優秀助演女優賞候補」
・ムチミヤ(「プロジェクトV」)
☆「思いの他良かったで賞」
・「アオラレ」
☆「総評」
まあ、最優秀助演女優賞候補と「思いのほか良かったで賞」以外、すべて該当なし、というかつてないダメダメな結果に。
そもそも新型コロナの影響で、軒並み観たいと思える話題作の上映がとん挫し、鑑賞数が異常に少ないことに加え、可も負もないか、趣味性・作品性の高い作品ばかりの鑑賞
となってしまったことが、この結果の根本であり全てであったとしか言いようがない。
そういう中において、助演女優賞候補に選んだムチミヤ。エキゾッチクなルックスに、ムチムチでお色気タップリのナイスバディ。それでいて、「めちゃくちゃ強くてアクションでも大奮闘する美女」、
というジャッキー作品のお約束、ジャッキーファンが抱く期待に見事に応えたと言える。
ただ、かようなファンが喜ぶ彼女のような美女のビジュアルや活躍ぶり、お色気の振りまきは、ジャッキーファンであろう中高年以上の男性鑑賞者にとっては「眼福」
以外の何者でもないが、昭和・平成初期の「古の価値観」であることに相違ない。
昨今、エンタメを筆頭に各所で、「ポリコレ」やら「フェミニズム」やら「ジェンダー」やらと特定少数の声の大きい連中にとって格好の餌食となろう。
まあ、それでどうこうなる前にジャッキーの引退の方が先来ると思うが、ジャッキー作品のジャッキー作品たらしめるかような設定や演出は近い将来、堂々とできなくなるかもしれない。残念だけれど・・・。
「思いほのか良かったで賞」は「アオラレ」一択。
心の底から期待していなかったし、乱暴な展開やオチに首を傾げたくなる所もあったが、所得格差や文化格差、差別、銃犯罪、IT問題、スマホリテラシー、煽り運転、孤独、精神病といった世界に共通し、アメリカで極めて顕著に出ている社会問題・文化問題
について予想以上に鋭く抉ってる点が面白く、刺激を受けた。
正直、「銃犯罪」以外に関しては程度の差こそあれ日本もアメリカと同じ。確実に日本も同じ道を爆走している。
その点に関して今作は「社会派要素」が強く、考えさせられる所もある。
だが、「アオラレ」という近年まれに見るレベルの「あほな邦題」を見て、今作がかような作品であることを想起する人はいないと思う。
そしてそれは、鑑賞者の作品に対する期待と実際の映画の作風とのミスマッチさをもたらす。当然、この作品への評価にも影響する。
非常に残念だ。
作品性を示し、今作への期待を喚起させるような「タイトル」であったなら、世間からの今作の評価はもう少しましになったのではと思う。
こういうトラップは映画をよく観る映画ファンにとっても、年に数作も観ない「非映画鑑賞者層」にとっても「害」でしかない。
こういうところ、関係者にもう少し考えてほしいと思わずにはいられない。