エロビデオ
思い出話として、今まで、どうやってエロビデオを買ってきたかを、ただただ語っていくもの。
知り合いのオヤジに、この物語を伝えてみたことがあるが、
「そう、そう ・・ あっ、そうだね ・・ その通り ・・ ウン・ウン ・・ ソダネーッ ・・」
などと、相づちをくれるだけの反応、しかなかった。
話す手応えがない!
やっぱり、日本人のオヤジは、誰も殆ど同じ経験なんだな ・・
・・
だから、この話は、オヤジなんかより、女性に、聴かせたい ・・
自分の旦那が、どんなことを考えているか ・・
スタート
ビデオデッキを買ったのは、二十歳の時だった。
当時は、2種類のビデオテープの規格で、売されたばかり。
「標準で2時間の録画ができる」が売りの、ナショナルとビクターが開発した「VHSビデオテープ」と、
「画質が断然(VHSより)綺麗」が売りの、ソニーと東芝が開発した「ベータマックスビデオテープ」だ。
2種類のビデオテープが、生き残りをかけた「V対β戦争」となり、世間を盛り上げた。
ビデオデッキが発売されたばかりで、まだ1台15万円と高かったから、値下がりしたら買おうかな、と考えていた。
ある日、新聞のテレビ欄を見ると、
「アメリカのテレビドラマ『スパイ大作戦』を、平日の昼間に毎日再放送しています」と載っていた。
「スパイ大作戦」は中学生の時に何度が見て、面白い番組だな、いつか全部見てみたい。と、ずーっと気にしていた番組。
だから、仕事帰りに秋葉原に行き、大きなビデオデッキを買って電車で持って帰った。
翌日から、日中に留守番録画したものを、夜帰ってから1時間見る。
そういう、健全な生活を繰り返していた。
・・ 月日が経って、しばらくすると ・・
書店で、ロードショーなどで上映している映画の、ビデオテープを売り始めた。
当時売っていた映画ビデオのタイトルは覚えていないが、数年後には、タイタニック、トトロ、ハリーポッターなどのヒットビデオになった。
映画のビデオテープの値段は、1本4800円程度。
4人家族が、映画館にいく値段と、ほぼ同じだった。
4人家族だったら、ビデオテープを買って家で2回以上観れば、モトがとれるという値段の設定。
しかし、独り者には高い買い物だから、買おうと思ったことはなかった。
・・ 月日が経って、しばらくすると ・・
【日活ロマンポルノ】
書店で売っている映画のビデオテープの横に、「成人用ビデオ」が、ひっそりと置かれていた。
それを見つけた瞬間、『釣り針に刺さったミミズが、目の前に落ちてきて、しかもクネクネと動いてるのを見た魚』のように、喜び勇んでパクッと食いついた。
当時は、長野市はもちろん、中南信では松本、塩尻、諏訪、岡谷、飯田、伊那、駒ヶ根などの市や、箕輪町や木曽町のような大きな町には、2館以上の映画館があって、必ず1館は『ポルノ映画館』だった。
・・・・ 廃れちゃったな。
いま、中南信の映画館では、『塩尻東座』だけが、ポルノ映画を上映している。
ちなみに、今日の新聞を見たら「大坂、裏風俗。あんなんこんなん」、「ザ・完熟マダム、爛熟、義母・未亡人・不倫妻」、「白い肌の未亡人。私を辱めて」が紹介されていた。
「塩尻東座」以外のポルノ映画館は、中南信では存在しない。
そんな昔のポルノ映画館で上映していたのが、「日活ロマンポルノ」という会社が作ったエロ映画。
その日活ロマンポルノの映画が、ビデオで発売された。
一本の値段が、8000円。
しかし、その価格は安い! と思った。
これがあれば、周りを気にしながらコソコソと、ポルノ映画館に行かなくてもいい。
これがあれば、一人で、自宅で、自分の部屋で、ポルノ映画を見ることができる。
これがあれば、夜遅くても、または太陽ギラギラの昼間でも、ポルノ映画を見ることができる。
1本8000円 ・・? 安い、安い!
10回見れば ・・・・・ 一回800円じゃないか。
100回見れば ・・・・・ 一回たった80円じゃないか。
こんな、安い買い物はない!
・・ と真面目に考え、納得して購入した。
家に帰って、ビデオを再生する。
「・・・・あっ、凄い、凄い! 映画館と同じだ」
・・ そりゃそうだ。もとは映画館でやっているフィルムをビデオにしたもの・・
・・ つまり、タイタニックなんかを家で観るのと、同じじゃないか ・・
という突っ込みは無しにして、ちょっと興奮した。
でも ・・
10分ちょっと観たときに、
・・ このビデオテープを買ったのは、失敗だったな ・・ !
ということに、気がついた。
失敗の理由が、2つある。
まず一つ目。
『迫力がない』こと。
ロードショーを上映しているのは、大きくて綺麗な映画館。
一方、ポルノ映画館はというと、少しこじんまりとしているし、中は薄汚い。
しかし、腐っても映画館だ。
正面にドーンと広げられている、大きなスクリーンでは ・・
大きなおぱいが、ユッサ・ユッサと揺れる。
また、壁に埋め込まれたり、正面にドカッと置かれている、大きなスピーカーからは、
「アハン・・ ウフン ・・」
という声が、体を震わすほどの大音量で、聞こえる。
つまり、映画館は、本物以上 ・・ 実物以上 ・・ の迫力がある。
かたや、ビデオテープの再生画面は ・・
映っているのが、机の上に置かれた、14インチのブラウン管式カラーテレビ。
大きさは、こんなものだ。
(手で枠の大きさを表す。段ボール箱1つ分程度の大きさになる)
画面を見ると ・・
犬か猫のおぱいみたいなものが、コテコテ、と動いている。
そして、テレビの横の丸い穴からは、
「アフン、ウフン」と、
電池が切れかかった、トランジスタラジオのような音(声)で、聞こえるだけ。
さぁ、映画館とビデオ ・・ どっちがいいでしょう。
そして、2つ目の理由は、
『コストパフォーマンスが悪い』ことだ。
実は、これは、誤算だった。
大誤算、だった。
だって、テープ一本8000円? 安い安い。 10回観れば一回800円。 100回観れば一回80円じゃないか。
と、自信を持って買ったのだから ・・
しかし、どんなに素晴らしい映画でも ・・ 2~3回も観れば、飽きる。
よほど気に入った、人生ベスト5に入るくらいの映画でも、5回も観れば、もう満足となる。
エロビデオなんて、同じ物を3回も観ない。
一方の、映画館。
当時の入館料は、一人1000円。
映画館に入って、汚い狭い椅子にドカッと座る。
ポルノ映画は、3本立てが基本だから。立て続けに3本のエロ映画を観ることができる。
だから、エロの世界に、半日は浸ることができる。
2週間もすれば、上映する映画を入れ替える。
つまり、週を変えて8回行けば、3本×8回=24本の、ポルノ映画を大迫力で観られるわけだ。
さぁ、どっちがいいか ・・・・ って、決まりだな。
このとき以後、高いエロビデオテープを買うことは、(あまり)なくなった。